二次筆記試験の事例Ⅳは財務に関する助言です。
計算問題が中心ですが、事例のストーリーも考えながら答えます。
事例Ⅳのポイントは以下の3点です。
- 基本は計算問題だが、最近は記述問題も増えている
- 徹底的に計算問題の練習をしておく
- 記述問題は何か書けば点数になるので諦めない
です。
対策を簡単に言うと
「毎日計算問題を練習して慣れておく」
です。
一次試験終了後から対策することを想定すると、計算問題はできるだけたくさん解いておくほうが良いです。
まことしやかに言われていることですが、
「事例Ⅳを制する者が、二次筆記試験を制する」
といわれます。
この科目で足切りにあってしまって不合格になってしまうなど、事例Ⅳが合格にカギを握っています。
事例Ⅳの内容
事例は全部で4科目(事例Ⅰ~Ⅳ)あります。
それぞれテーマが違います。
事例Ⅳは「財務」です。
現在の財務状況を分析したり、今後の意思決定に採算性があるかを判断したりする内容です。
事例Ⅰ~Ⅲまでは文字数制限がある解答用紙でしたが、事例Ⅳは計算結果を記入するので解答用紙が他の科目と違います。
計算過程を書けるスペースがあるので、たとえ計算結果が間違っていてもプロセスを評価されて部分点をもらえることもあります。
ただし、自分の計算結果を使って次の問題を解くような問題が多いので大崩れする可能性があります。
例えば、設問1の(1)で資本コストを計算して(2)で企業価値を計算するという流れです。
この場合、資本コストの計算を間違えると当然企業価値も合いません。
更に結果に対して60文字以内で答えよとか出題さると絶望です。
部分点をもらえる可能性がありますが、大崩れすることがお分かりになったのではないかと思います。
ちなみに電卓使用がOKです。
というか電卓なければ解けません。
出題される内容
経営分析
基本的には3つ押さえておけば良いです。
- 収益性:売上高総利益率、売上高営業利益率など
- 効率性:有形固定資産回転率、棚卸資産回転率など
- 安全性:流動比率、自己資本比率など
CVP分析
CVP分析というのはどれだけの利益が出るかを計算します。
粗利や数量が変化した際に良くなるか悪くなるかを判断します。
このCVPというのが
- C:コスト(費用)
- V:ボリューム(数量)
- P:プロフィット(利益)
という内容なので、覚えておくとよいでしょう
キャッシュフロー計算
一次試験でもよく出るテーマですが、二次試験は記述式なので難易度が上がっています。
営業活動・投資活動・財務活動の3つが絡むような問題も出題されることがあります。
3つを足したときにB/S(貸借対照表)の現金に一致することを覚えておくと間違いに気づきやすいです。
設備投資の経済性計算
新しい設備を導入するときに採算が取れるのか、また古い設備と取り換えたときに生産性の向上と減価償却費の節税効果など業績に貢献するのかを判断します。
難しい取り換え投資の処理は以下の通りです。
〈取り換え投資の考え方〉
- もし現有機械をそのまま使った場合はどうか
- 現有機会を売却して新機械を買った場合はどうか
この2つの差額が新機械の投資異常に効果があれば「投資をする」というわけです。
〈取り換え投資の処理手順〉
- 現有機械の減価償却費・売却損益の計算
- 新機械の減価償却費・売却損益の計算
- 実質投資額の計算
- 操業費の節約額の計算
- 減価償却による節税額の計算
あとで図で説明します。
不確実性の意思決定
デジョンツリーと呼ばれます。
先行きが不透明な状態の中、ある程度のヒントを基にしてより良い意思決定をします。
例えば
- A案件:ハイリスクハイリターン
- B案件:ローリスクローリターン
この2つの案件がどちらが良いかを判断します。
企業価値
その企業がどれくらい価値があるかを計算式で求めます。
具体的にはフリーキャッシュフローや収益を計算、資本コストを計算して導き出します。
リスク管理
ファイナンスの問題です。
外国との取引をするときに貨幣の価値が変わるので、為替予約やオプション取引をしてリスクヘッジをします。
どういった行動をするとリスクがどれだけあるかを計算します。
試験の難易度
4つの事例の中では最も高難度
知識ゼロからのスタートだった私にとって一番難易度を高く感じました。
一次試験のマークシートのように解答の候補が書いてくれていません。
自分ですべての答えを出さなくてはならないような感じで計算していて常に不安でした。
先ほども書きましたが、いったん崩れるとどんどん崩れていくような出題形式なので緊張感がすごいです(^^;)
計算問題は常に練習
とにかく一次試験のように計算問題を解いていると二次試験では通用しません。
出題のテーマ自体はあまり変わりがないですが、電卓を使用するために複雑になっています。
考えているうちに頭が混乱することもしばしばあります。
どのように対策するか?
「練習して慣れること」
です。
最初は複雑な問題に対して
「こんなのムリだ」
と思います。
しかし繰り返し練習することでだんだんと問題が解けるようになってきます。
問題が解けるようになってくると、自信がついてきます。
自信がついてくると問題を楽しめるようになってきます(^^)
私は一次試験終了から事例Ⅳに時間を掛けました。
計算問題は頻繁に解くようにしました。
10月の直前期に間違いまくってめちゃくちゃ焦りました(^^;)
計算結果は必ず再確認
普段の学習していてもポカミスは起こります。
仕事をしていてもどうしてこんなミスをしたのかということが起きます。
ヒューマンエラーにはいろいろありますが、
- 問題の意図を勘違い
- 問題の数値やけたを勘違い
- 電卓に入力するときにミス
ということが考えられます。
これらのことをすべて防ぎながら一発で正しい答えに到達すること自体が難しいです。
そのために普段から計算結果を振り返ることを癖づけておくとよいでしょう。
その時に私がしていたのは
「2種類の解き方で確認する」
です。
損益分岐点比率に関しては
=損益分岐点売上高÷実際売上高
=固定費÷限界利益
この2種類があります。
振り返る時に違るルートで計算することで解答の精度を高めることだできます。
当然ですが2つの式は変形して導き出すことができます。
式の導き方ですが以下の通りです。
分数にしてちょっとわかりやすくしてみました。
図表にして視覚的に理解する
単に数値を見ているだけでは混乱します。
自分で表にすることで視覚的に理解しやすくなります。
そうすると問題全体を把握しながら進めることができるのでミスが減ります。
例えば設備投資の経済性計算で登場した取り換え投資で表現してみます。
まず服主ですが取り換え通しの考え方と進め方は以下の通りです。
〈取り換え投資の考え方〉
- もし現有機械をそのまま使った場合はどうか
- 現有機会を売却して新機械を買った場合はどうか
つまり「古い設備から新しい設備にして儲かるか?」ということです。
考えないといけないことは以下通りです。
ちなみに期間が終了したら設備を処分する(売却・除却)ことになります。
〈もし投資をしなかったら〉
- 現有機械の減価償却費
- 現有機械の操業費用
- 現有機械の売却・除却
ちなみに期間が終了したら設備を処分する(売却・除却)ことになります。
〈もし投資をしたら〉
- 現有機械の売却
- 新機械の購入
- 新機械の減価償却費
- 新機械の操業費用
- 新機械の売却・除却
これだけのことを考えないといけません。
しかもこれに時間のことも考慮に入れる必要があります。
つまり将来手に入るような収益や発生する費用は現在の金額とは価値が違います。
いわゆる「現在価値に割り引く」というやつです。
考え方としては現在の100万円は銀行などに預けると利子が付きます。
将来は100万円以上になります。
逆に将来手に入る100万円は現在の価値は100万円もありません。
利子の分だけ価値が減る計算です。
時間軸を意識するには表が効果的です。
運転期間は3年間とします。
発生のタイミングを「〇」で表示します。
0年目というのは投資判断する今まさにこの瞬間と思ってください。
〈もし投資をしなかったら〉
現有機械 | 0年目 | 1年目 | 2年目 | 3年目 |
減価償却費 | 〇 | 〇 | 〇 | |
操業費用 | 〇 | 〇 | 〇 | |
売却 | 〇 |
〈もし投資をしたら〉
新機械 | 0年目 | 1年目 | 2年目 | 3年目 |
現機械売却 | 〇 | |||
新機械購入 | 〇 | |||
減価償却費 | 〇 | 〇 | 〇 | |
操業費用 | 〇 | 〇 | 〇 | |
売却 | 〇 |
こうすると視覚的にわかりやすくなります。
逆にこうしないと把握するのは難しいです。
それぞれのタイミングで発生する収益と費用を現在価値に割り引いて差額を計算します。
差額がわかればどちらの選択が儲かるかがわかります。
このように自分で工夫して表にしながら解くことは絶対にするべきです。
問題用紙の白紙ページを活用してください。
ストーリーを意識する
二次試験の事例企業にはストーリーがあります。
強みを確認⇒問題点を指摘⇒機会取り込む
といった感じです。
事例Ⅳは計算問題なので計算することに意識が向いてしまいますが、やはりストーリーが存在します。
例えば、
現状把握⇒投資案件確認⇒意思決定
といった感じです。
もうちょっと具体的にいうと、
- 現状収益性が前年より悪化している。
- それは設備が老朽化しているからである。
- 今回新設備の導入を検討している
- 新設備に変えると収益性が向上、キャッシュフローも改善する
- 新設備導入へ意思決定
こんな感じです。
だいたい新しい設備の投資案件や新店舗のオープンや新しい事業への挑戦の話があります。
そして経済性は新規事業のほうが高いことが多いです。
まとめ
最後にもう一度事例Ⅳのポイントは以下の3点です。
- 基本は計算問題だが、最近は記述問題も増えている
- 徹底的に計算問題の練習をしておく
- 記述問題は何か書けば点数になるので諦めない
対策を簡単に言うと
「毎日計算問題を練習して慣れておく」
です。
おすすめの問題やテキストは別の記事で書きましたので参考にしてください。
事例Ⅳを制すれば合格に大きく近づきます。
私は72点獲得できました。
まさかの科目で一番高い得点でした。
今回はこれで終了です。
最後まで読んでいただいてありがとうございます!
参考になるように精一杯書きました(^^)
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