こんにちは!中小企業診断士のカズユキです。
事業再構築補助金のルールブックである「公募要領」を解説しています。
今回は「該当しない事業計画」について解説します。
これに該当すると、問答無用で不採択になります。また、採択された後でも該当することが発覚すれば、交付取消となります。交付取消になると補助金は出ません。
かなり細かい内容もありますが、気になるところだけチェックしていきます。
これから補助金に挑戦する方は要チェックです!
即不採択になる事業計画
自分でやらない事業
当たり前ですが、自分の会社でやらない事業は不採択です。
公募要領にはこうあります。
具体的な事業再構築の実施の大半を他社に外注又は委託し、企画だけ行う事業
つまりアイデアだけ出して後は他人任せはダメということです。
これは実際に事業をやる会社が事業計画を書けば良いので、該当することは少ないと思いますが。
事業の企画と実施が別会社だと、採択された時に補助金はどこに支払われるべきかわからなくなりますね(^^;)
後々トラブルにもなりそうです。
投資目的
投資はレートの上げ下げで収益を上げますが、新たな付加価値を生んでいるとは言えません
こうした事業は事業再構築の要件には合いません。公募要領にはこう書いてあります。
専ら資産運用的性格の強い事業
土地を活用して新しい事業をするのは良いですが、安く手に入れた土地を高く売るだけでは要件に合わないので注意してください。
賃貸するだけ
今回取得しようとしている建物や設備等を誰かに長期間貸して利益を得るような事業も要件に合いません。
公募要領の内容は次の通りです。
建築又は購入した施設・設備を自ら占有し、事業の用に供することなく、特定の第三者に長期間賃貸させるような事業
中小企業とリース会社が共同申請する場合は例外として認められています。
リース会社が機械装置を購入して中小企業に貸与することが想定されています。
一次産業
農業は林業・漁業は対象外です。
中小企業庁の補助金なので一次産業を含めると農林水産省の領域に入ってしまいます。
農業を行う事業者が単に別の作物を作る、飲食店が新しく漁業を始めるなど、新たに取り組む事業が一次産業(農業、林業、漁業)である事業
加工品を作る、作った農作物で料理を提供するなど、二次又は三次産業であれは補助対象に入りますが、それでも農作物の生産にかかる経費は対象外です。
風俗営業法の規制
公募要領の内容を下記に引用します。
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和 23 年法律第 122 号)第2条第5項及び同条第 13 項第2号により定める事業
※申請時に、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和 23 年法律第 122 号)
このように該当する事業は対象外と指定されています。
ではどんな事業者が対象外になるのかを、法律の条文を引用しながら解説します。
風営法第二条第5項目
スロットマシン、テレビゲーム機その他の遊技設備で本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができるもの(国家公安委員会規則で定めるものに限る。)を備える店舗その他これに類する区画された施設(旅館業その他の営業の用に供し、又はこれに随伴する施設で政令で定めるものを除く。)において当該遊技設備により客に遊技をさせる営業(前号に該当する営業を除く。)
パチンコ店やゲームセンターはダメそうですね。
風営法第二条第13項第2号
二 店舗型性風俗特殊営業
これはモロに風俗店はダメということですね。
ただし現在はこれに属する事業であっても、止めて新しい事業を開始する場合は支援対象となります。
例外についても公募要領に記載されています。
第2条第5項及び同条第 13 項第2号により定める事業を実施している中小企業等であっても、当該事業を停止して新たな事業を行う場合は、支援対象となります。
重複案件
公募要領の内容には重複する内容は不採用になると書いてあります。
重複にもいろんなパターンがありますので、ひとつずつ解説します。
・同一法人・事業者が今回の公募で複数申請を行っている事業
同じ会社が事業計画を2つも出すことはできないことです。
最近は電子申請なので、一つだけしか申請できなくなっています。
次に同一の事業内容でいろんな補助金の申請ができないことが記載されています。
・テーマや事業内容から判断し、(過去又は現在の)国(独立行政法人等を含む)が助成する他の制度(補助金、委託費、固定価格買取制度等)と同一又は類似内容の事業
例えば、ものづくり補助金で採択された事業内容を事業再構築補助金で申請はできませんということです。
類似内容の事業を判断できるのかはわかりませんが(^^;)
他にマネをしたらダメなことも書いています。
・他の法人・事業者と同一又は類似内容の事業
※他の法人・事業者と同一又は酷似した内容の事業を故意又は重過失により申請した場合、次回以降の公募への申請ができなくなりますので、十分ご注意ください。
第1回目の事業再構築補助金では、同じ事業内容で申請した会社が多数発覚しました。
採択公開後に類似する事業計画名を指摘されて問題に発展しました。
他社の事業計画のコピペは絶対やめてください。
今回は事業再構築補助金の不採択・交付取消要件について解説しました。
補助金の原資は税金で賄われていますので、補助金の目的に沿うものなのか審査があります。
そのため苦労して事業計画書を作成して、有意義な事業であることを示します。
しかし今回紹介した内容に該当すると、どんなに事業計画が素晴らしくても不採択になってしまいます。
手間暇かけて作った事業計画が、中身を見る前に不採択が決まってしまうのは残念です。
公募要領の内容を理解して、申請しるようにお願いします。