2次試験の事例Ⅲは生産・技術に関することがテーマです。
簡単に言うと「工場」が主な舞台です。
私は工場勤務の経験はありませんでしたので、この科目は苦手意識がありました。
しかし攻略ポイントがありますので説明していきます。
事例Ⅲのポイントは
- 事例Ⅲのストーリーは決まっている
- 問題点が割とわかりやすく書いてある
- 図表が出てきても慌てない、示している問題は単純
です。
特に知っておいてほしいのは
「型が決まっているので、それを理解すれば大崩れしない」
というところです。
これはこのブログで何度もお伝えしていることですが、中小企業診断士の二次試験は記述式です。
一次試験に合格した強者もマークシートに慣れてしまって記述式に対応できない人が多いです。
その結果、毎年80%前後落ちています。
ただ受験者の半分くらいが単に過去問を解いているだけで二次試験に対応する勉強ができていません。
二次試験攻略のポイントをしっかり押さえることで合格率を上げることはできます。
では説明していきます。
事例Ⅲの内容
事例は全部で4科目(事例Ⅰ~Ⅳ)あります。
それぞれテーマが違います。
事例Ⅲは「生産・技術」です。
工場の生産管理や生産統制、技術の共有化や伝承などに関する助言をすることが多いです。
そして自分たちが持っている技術を求める機会があるので、それをしっかり逃さないように強みをしっかり活かせる体制を整えます。
事例Ⅰほどではありませんが、企業の内部のことを中心に書いていく設問が多いです。
そして強みを機会に対応させます。
解答に必要な知識
生産管理
QCD、4M、3S(標準化・単純化・専門化)、5S、ECRS(改善の原則)、小集団活動、QCサークル
生産形態
受注生産・見込生産、少品種多量生産・多品種少量生産、個別生産・ロット生産、外段取り・内段取り
生産統制
進捗管理・現品管理・余力管理
品質管理
QC7つ道具、新QC7つ道具
IE
流動数曲線、歩留まり、多台持ち、工程分析
トヨタの7つのムダ
作り過ぎのムダ、手待ちのムダ、運搬のムダ、加工そのもののムダ、在庫のムダ、動作のムダ、不良品を作るムダ
ボトルネック(制約条件の理論)TOC:Theory Of Constraints
ボトルネックといういのは工程の中で一番生産性が低いところを言います。
ボトルの首の部分が細く通りにくくなっていることから名づけられています。
- ボトルネックを発見する(前工程の仕掛品がある、後工程が手待ち)
- 費用を掛けずにボトルネックの生産能力を徹底的に活用する
- ボトルネック以外の工程をボトルネックの生産のペースに合わせる
- ボトルネックの能力を向上させる
- 惰性に注意しながら繰り返して、全体の生産能力を向上させる
工場ではやけに仕掛品が溜まっている、手待ちが多いなどの工程など存在します。
そういったところに生産性向上のヒントが隠れています。
試験の難易度
実はそれほど難しくない
イメージがしづらいと言われるのが事例Ⅲですが、難易度としてはそれほど難しくありません。
製造業に全くなじみがなかった私でも合格点の60点を取ることができました。
私がここに書くことを頭の片隅に入れていただければ恐れることはありません。
パターンを知る
実は事例Ⅲはほとんどパターン化されています。
それをしっかり押さえることができれば大崩れしないです。
パターンは以下の通りです。
- 最初に必ずC社(事例企業)の強みに関する設問が出題される
- その後は2,3問ほど生産上の問題点について出題される
- 最後は外部の機会をどうとらえるかについて出題される
このストーリーでほぼ決まりです。
これを押さえておけば大丈夫です。
事例Ⅲ以外にも言えることですが、解答にはストーリーがあります。
事例Ⅱであれば
現状分析⇒ターゲッティング⇒経営資源を活かして外部環境のニーズをとらえる
というような感じです
事例Ⅳの財務に関してもなさそうですがストーリーがあります。
全科目とも意識すると得点アップにつながります。
問題点・機会はしっかり描いてある
「ストーリーは理解したけど問題点や機会って見つけることができるのか?」
まだ二次試験対策をしていない方はそう思われる方も多いと思います。
ご安心ください(^^)
結構しっかり書いてあります。
割とストレートに問題点を書いてくれていますので、探しやすいでしょう。
「ひっかけがあったり、もっと深い分析が必要だったりするかも?」
いいえ、書いている内容をそのまま表現すれば大崩れしません。
例えば与件文に
「資材購入は各部署がそれぞれ行っており、同じ資材でも納入価格が違う」
とか
「製造に関する標準書が作られておらず、ベテランの勘と経験で作成しているので若手従業員の技術習得が難しい」
といった感じです。
対策はストレートに
「購買部が一元管理して資材の購入を管理することで、仕入れ価格を抑えることができる」
「作業標準書を作成して若手従業員が習得できる環境を整備する」
で問題ありません。
丁寧に解答することを心がける
事例全般に言えることですが、解答についてはなるべく丁寧に回答するほうが良いです。
例えば
「営業を強化する」
という説明だけになってしまうと
- どうやって強化するのか?
- なぜ強化が必要か?
という疑問が残ります。
そこまで説明しなくても出題者ならわかるだろうと思います。
しかしもう少し丁寧な説明が必要です。
「これまでの製品は営業力がそれほど必要なかったが、今後の製品は競争力が弱いので営業力が必要なので経験者を中途採用する」
といった説明がないと得点に結びつかないです。
更に
「なぜ中途採用が必要なのか、従業員を育成する方向は考えられないのか」
ということも疑問が残ります。
よくいう「なぜなぜ分析」になってきました(^^)
「競争が激しくすぐに結果が求められるため経験者を採用する」
こういった説明も必要になってきます。
これを限られた文字数の中で表現しないといけないので大変です(^^;)
ただ表現をいろいろ変えればねじ込むことはある程度可能ですので知恵を絞ってがんばりましょう!
図表が出題されてもあせらない
文章の他にも図表が掲載されているときがあります。
2016年では不良品の原因や特性要因図、2018年はマン・マシンチャートが出題されています。
しかし図表が訴えたいことはそれほど複雑なものではありません。
例えば不良品の原因は、
「不良の原因はさまざまあるがすべてを一気に取り組むことは時間も手間もかかる。よって不良原因の上位にスポットを当ててください」というメッセージが込められています。
またマン・マシンチャートでは、
「機械と人が同時に休んでいる時間がある。機械が稼働している間を利用して段取りや休憩をとれないか?」
「金型や材料を探している時間が非常に長い。もっとスムーズに段取りを終わらせることができないか?」という問題点が浮かび上がっています。
ちなみにこの事例では、人と機械の動きはチャートでしか判断できませんが部材を探している件に関しては「工場に乱雑に置かれているので、金型によってはベテランしかわからないものもある」と記載があります。
常識的な部分や一次試験の知識で気づくことはできます。
一瞬焦ることもありますが、ちょっと深呼吸して落ち着いて見れば大丈夫です!
まとめ
もう一度振り返ると事例Ⅲの攻略ポイントは、
- 事例Ⅲのストーリーは決まっている
- 問題点が割とわかりやすく書いてある
- 図表が出てきても慌てない、示している問題は単純
特に知っておいてほしいのは
「型が決まっているので、それを理解すれば大崩れしない」
です。そしてパターンは、
- 最初に必ずC社(事例企業)の強みに関する設問が出題される
- その後は2,3問ほど生産上の問題点について出題される
- 最後は外部の機会をどうとらえるかについて出題される
このストーリーでほぼ決まりです。
製造業になじみがなくても一次試験の知識で十分に解答できます。
苦手意識をなくして受けることができれば、得点を上乗せすることも可能です。
ちなみに実際の会社もこういった課題が山積みです。
中小企業の製造業って意外とできていないことが多いので興味深いですよ(^^)
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