こんにちは!中小企業診断士のカズユキです。
ここ最近は組織論を中心に解説しています。
今回は経営管理について解説します。
経営管理の手法がどのように発展してきたかをテイラーの管理法と人間関係論から説明します。
では早速いっていみましょう(^^)
経営管理が考えられる以前
経営管理に関する理論は20世紀の前半から考えられてきました。
それまでの管理手法は場当たり的な管理がほとんどでした。
成り行き管理とも言います。
この成り行き管理では、目標設定もなく生産効率が悪くなっていました。
また労働者の非協力的な姿勢も問題となっていました。
そこで登場したのがテイラーです。
テイラーはもっと科学的に経営を管理する必要があると提唱しました。
そこで考えられたのが、「テイラーの科学的管理法」です。
テイラーの科学的管理法
ではテイラーの科学的管理法とはどういったものだったかを解説していきます。
この手法は結構ドライな印象を受けるかと思います(^^;)
作業を科学的に分析し「課業管理」を主張
テイラーは一日の課業を設定することで、生産効率を上げようとしました。
作業の標準時間の設定や作業の手順を標準化することにより、一日で行える目標を設定したのです。
いまでは目標を設定することが当たり前ですが、当時は行き当たりばったりの作業がほとんどでしたので画期的でした。
時間研究や動作研究を行い科学的に目標を設定して「課業管理」をすることを主張しました。
4つの管理原則
課業をどう管理するかは、4つの管理原則としてまとめられました。
- 課業を設定する
- 標準的な条件を設定
- 達成者には高い報酬
- 未達成なら報酬を減額
標準時間と手順を設定すれば、一日にできる作業量が決まります。
それを達成できるかどうかで報酬が変わってきます。
当たり前と言ったら当たり前なのですが、結構ドライな感じですよね。
急に「目標を設定されて、達成したら報酬がもらえます」と言われても、その目標って本当に適正なんですかって感じです(^^;)
私の実務においては目標設定を一緒に行う際には、自分たちで決めてもらっています。
あたえられる目標ではモチベーションや主体的な行動に結びつかないからです。
それにしても達成しなかったら減額なんて・・・鬼ですね(>_<)
科学的管理法の功罪
科学的管理法には良い部分と悪い部分がありました。
良い部分は「現在の経営管理の基礎が作られた」ことです。
IE(industrial Engineering)という経営工学の発展に貢献しました。
時間研究や動作研究は、まさにIEの考え方です。
一方で悪い部分もあります。
それは「あくまで工場限定の考え方なので、全社目線ではない」こと、
「効率を重視しすぎて労働者を人間として扱っていない」というところです。
こんなドライな管理方法だと離職率が高くなりそうです(^^;)
「人間は機械なんかじゃない!」ってことですね。
テイラーの科学的管理法は「経済人モデル」
このように人間を科学的手法でドライに管理する見方を「経済人モデル」と呼びます。
経済人モデルでは、人間は合理的な基準に基づいて行動します。
しかし人間は感情の生き物なので、必ずしも合理的選択をするわけではありません。
この問題に着目したのが次に紹介する「人間関係論」です。
人間関係論
人間関係論の発展はある実験からスタートしました。
それが有名や「ホーソン実験」です。
ホーソン実験とは
ホーソン実験は1920年代から30年代に行われました。
20世紀の序盤なので、科学的手法とあまり変わらないぐらいからスタートしています。
ホーソン実験とはアメリカのウエスタン・エレクトリック社が行って実験です。
ホーソン工場で行われたことからこう呼ばれています。
この実験の目的は当初違うところにありました。
労働条件や作業環境が変わると、生産性にどう影響が出るかを調べるためのものでした。
テイラーの科学的管理法によると、作業者にとって最も効率的である条件を標準化することで生産性が高まるロジックです。
その理論がどのように表れるかを実際に実験したものです。
ホーソン実験の結果
結論から言うと、「作業条件と生産性は期待されるような相関関係はなかった」という結果でした。
照明を暗くするなど作業条件を悪くしたにもかかわらず、生産性が向上する結果が出ることもありました。
また集団による出来高制を採用した場合、結果がどうなるかも実験しました。
仮説では給料を上げるために生産性が向上するはずだと予想していました。
しかし予想は見事に外れました。
それにしても、こんなに結果が伴わない実験を、よく最後までやり切ったなと思います(^^)
実際は作業能率を上げると標準量が上がってしまうので、みんなに迷惑をかけないように一定の水準に抑えるような行動が見受けられました。
この行動なんとなくわかります(^^)
非公式な集団の行動基準が存在していたことが発見されました。
ホーソン実験の成果
この実験の結果わかったことは、生産性に影響を与えるのは作業条件ではなく人間関係が深くかかわっているということです。
しかも公式的な組織の人間関係ではなく、非公式な人間関係が影響を及ぼしています。
ここから人間関係論をまとめたのが、レスリスバーガーという人物です。
彼はホーソン実験の中心メンバーでもありました。
レスリスバーガーは「社会人モデル」を提唱しました。
社会人モデルの特徴は
- 人間は感情を持った社会的な存在であり、感情の論理で行動する
- 人間は非公式な組織を形成し、公式な組織に大きな影響を与える
といった感じです。
非公式な組織を「インフォーマル組織」と呼びます。
英語のインフォーマルが非公式という意味です。
カッコいい言い方をしていますが、そのままです(^^)
合理的に行動すると考えられた「経済人モデル」から感情を伴って行動する「社会人モデル」へと発展しました。
これがホーソン実験の成果です。
人間関係論の問題点
この人間関係論にも問題点があります。
それは「感情を重視するだけでは、生産性は向上しない」ということです。
たしかに人間は感情で行動を起こしますが、常にそうではありません。
目的を持って自立的に進んで行動を起こすこともあります。
人間関係論では個人を動機付けして生産性を向上させることは不十分とされました。
では人間はそうすれば生産性を高めることができるのでしょうか?
それがモチベーション理論の始まりでした。
人間をどのように動機づけさせていくかは、モチベーション理論で研究されることとなります。
このモチベーション理論は中小企業診断士試験で良く出題されます。
まずここではその前提としての歴史について振り返りました。
今回のまとめ
今回はテイラーの科学的管理法と人間関係論について解説しました。
ざっくりまとめると以下のような感じです。
- 経営管理が提唱される以前は成行管理だった
- テイラーの科学的管理法は「経済人モデル」という、作業環境やインセンティブこそが生産性を上げる要素だと主張した
- 人間関係論は「社会人モデル」という、人間の感情や非公式な組織が生産性に影響を与えると主張した
- テイラーの科学的管理法・人間関係論ともに理論としては問題点があった
20世紀になり科学的に管理する手法が編み出された一方で、人間はインセンティブだけでは動こうとしないことがわかってきました。
このように難しい用語をたくさん使っていますが、言ってる内容自体はシンプルです。
現在の仕事においてもいえることですが、条件や給料だけでは継続して良い成果を出せないです。
そこで働く人間のチームワークも重要です。
社内の雰囲気が悪いと当然成果を出すことが難しいです。
たとえ成果を出す方法がわかっていても、貢献意欲がなくなると積極的に成果を出そうとはしません。
人間って難しいですからね(^^;)
これも難しい言葉が登場しますが、割と当たり前のことを言っています。
ただし試験対策で考えると、誰が提唱したか覚えるのが大変です(^^;)
また遊びに来てくれると嬉しいです。
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