財務・会計

税務会計|税効果会計について(財務・会計)

投稿日:2021年2月6日 更新日:

こんにちは!中小企業診断士のカズユキです。

今回は税務会計の「税効果会計」について解説します。

試験重要度 ★★☆☆☆

中小企業診断士一次試験の出題頻度は低めです。

繰延税金資産(負債)の概念がちょっとわかりにくいので、注意が必要ですね。

繰延税金資産は「会計上では払ってないけど税務上では払っているので、税金の先払いしている」って感じです。

繰延資産でも言いましたが、先払いは「権利」が発生します。

逆に繰延税金負債は「会計上では払ってるけど税務上では払っていないので、税金の未払いをしている」って感じです。

これも経過勘定の解釈でいくと、未払いは「義務」が発生します。

よって負債となります。

こんな感じで理由をつけておくと覚えやすいです(^^)

 

税効果会計とは

税務会計とは「企業の課税されるべき所得額を算出するための会計」です。

企業は事業活動て得た儲けに応じて、法人税等を納める必要があります。

この法人税は単純に会計上の利益ではありません。

税務上の「所得」を基にして計算されます。

 

ということは損益計算書の「税引前当期純利益」と「法人税等」の額は対応しません。

税引前当期純利益が0でも、費用である「損金」が認められなければ所得となってしまいます。

また「益金参入」のように所得のプラス要素が入っても、所得が増えます。

そうすると損益計算書上で利益が出ていなくても「法人税等」が発生します。

これでは、損益計算書の期間比較や会社間の比較が難しくなってしまいます。

 

例えば減価償却費は税務上では償却限度額が定められています。

当期の損金として認められなかった分については、次期以降に繰り延べされます。

これも、財務諸表に表示されないと、ステークホルダーへの報告が適切にできなくなってしまいます。

このような問題点を解消し、会計上の利益と税務による税金を対応させるための方法が「税効果会計」です。

 

また税効果会計では、繰り延べされた税金の額を財務諸表上に表示することができます。

ただし、税効果会計では実際の納税額は変わらずに、会計上の表示が変わるだけですので、注意してください。

 

ちなみに法人税についての解説は、下記リンクを参考にしてください。

税務会計|法人税について(財務・会計)

税効果会計の計算例

税効果会計については具体的な計算で説明したほうがわかりやすいです。

例えばこのような損益計算書があったとします。

具体例
収益 10,000
費用 6,000
貸倒引当金 2,000
税引前当期純利益 2,000
法人税等(40%) 800
当期純利益 1,200

 

収益と費用は仮でざっくりです。

費用の6,000とは別に貸倒引当金が2,000あり、税引前当期純利益は2,000となっています。

実効税率の金額は、法人税だけでなく、事業税や法人住民税を加えた実効税率により算出します。

この例では、実効税率が 40%とします。

 

税効果会計適応前

しかし会計上の貸倒引当金2,000のうち、1,000は損金不算入となりました(税法上の当期の損金として認められなかった)

このようになった場合、どのように処理されるかを解説します。

損金不算入になった貸倒引当金は次期に繰り越されます。

 

費用として認められないということは、所得が増えることになります。

この例であれば税引前当期純利益2,000に損金不算入になった1,000を足して、所得が3,000になります。

ですので実際の課税は3,000に40%が適応されて、1,200となります。

税効果会計を適用せずに損益計算書を作成した場合には、税引前当期純利益 2,000 から法人税等の額 1,200 を差し引いて当期純利益が 800 となります。

しかし、この損益計算書だけを見ると、税引前当期純利益に比べて法人税が大きくなっており、最終的な当期純利益は小さく表示されてしまいます。

一方、次期の損益計算書では、繰り越しされた貸倒引当金が損金算入されるため、所得が減り、法人税が少なくなります。

この場合は、損益計算書を見ると、税引前当期純利益に比べて法人税が小さくなり、最終的な当期純利益は大きく表示されてしまいます。

 

税効果会計の適応前
収益 10,000
費用 6,000
貸倒引当金 2,000
税引前当期純利益 2,000
法人税等(40%) 1,200
当期純利益 800

 

税効果会計適応すると

税効果会計では、税引前当期純利益の額に応じた、法人税等の金額と当期純利益を表示するように調整をします。

まず調整後の結果から見ていきましょう。

例では、当期は税引前当期純利益が 2,000 でしたので、これに実効税率 40%を掛けると 800 となります。

これが会計の理論上の税額です。

また、当期純利益は、この 800 を引いた 1,200 となります。これが、税効果会計適用後の損益計算書に表示される当期純利益になります。

税効果会計を適応すると・・・
収益 10,000
費用 6,000
貸倒引当金 2,000
税引前当期純利益 2,000
法人税等(40%) 1,200
法人税調整額 ▲400
当期純利益 1,200

 

この調整は、次のように行います。

まず当期の損金として認められなかった貸倒引当金1,000に実効税率40%を掛けて税効果を計算します。

この場合は税効果が 400 となります。この税効果 400 を、法人税等からマイナスし、同時にマイナス分を「繰延税金資産」として計上します。

このときの仕訳は、

借方 貸方
繰延税金資産 400 法人税調整額 400

 

となります。また、繰延税金資産 400 は貸借対照表の資産の部に計上されます。

損益計算書には、法人税等 1,200 の下に、法人税等調整額 400 がマイナスで表示されるため、当期純利益は税引前当期純利益 2,000 から、法人税等 1,200 を引き、法人税等調整額 400 を足した、1,200 となります。

これは、先ほどの会計の理論上の税額から求めた当期純利益と同じになっていることを確認しておきましょう。

また、次期において、当期の損金として認められなかった貸倒引当金 1,000 が、次期の損金として認められた場合を考えます。この場合は、損金として認められた貸倒引当金1,000 に実効税率 40%を掛けた 400 が税効果となります。

この税効果 400 を、法人税等にプラスし、同時に当期の「繰延税金資産」を取り崩しします。このときの仕訳は、

借方 貸方
法人税調整額 400 繰延税金資産 400

となります。このとき、「繰延税金資産」が消去されることに注意しましょう。

また、損益計算書には、法人税等の下に、法人税等調整額 400 がプラスで表示され、当期純利益はその分少なくなります。

 

一時差異と永久差異

このように会計の「収益」と、税務の「所得」が差異が出ることがあります。

差異にも

  • 一時的に発生する「一時差異」
  • 差が埋まらない「永久差異」

があります。

一時差異

先程の貸倒引当金では、当期で認識されなかった損金が、次期に認められています。

このように、一時的に会計と税務で、費用を計上するタイミングが異なる場合を、「一時差異」と呼びます。

税効果会計は、この「一時差異」に対応しています。

「一時差異」は、会計と税務の差異のうち、将来、時間の経過によって解消されるものです。

一時差異には減算と加算がある

一次差異には、

  • 将来減算一時差異
  • 将来加算一時差異

があります。

「将来減算一時差異」は、将来の所得を減額する効果をもつ差異です。

「将来減算一時差異」には、具体例は

  • 貸倒引当金の超過額
  • 減価償却費の償却超過額

などがあります。

「将来減算一時差異」では、一時的な差異を「繰延税金資産」として貸借対照表の資産の部に計上します。

会計上では払ってないけど、税務上では払っているので、会計目線からは「税金の先払い」をした感じになっています。

先払いは「権利」と解釈できるので「資産」となっています。

 

「将来加算一時差異」は、将来の所得を増額する効果をもつ差異です。

「将来加算一時差異」では、一時的な差異を「繰延税金負債」として貸借対照表の負債の部に計上します。

 

永久差異

一方、会計と税務の差異のうち、将来、時間の経過によって解消されないものもあります。

このような差異を「永久差異」と呼びます。

 

「永久差異」の具体例は、

  • 受取配当金の益金不算入額
  • 交際費・寄付金の損金不算入額

などがあります。

永久差異はその名前の通り、差異が解消されることはありません。

「永久差異」には、税効果会計は適用されないので注意してください。

 

繰延税金資産の前提は「将来の所得確保」

一方、会計と税務の差異のうち、将来、時間の経過によって解消されないものもあります。このような差異を「永久差異」と呼びます。

「永久差異」には、「受取配当金の益金不算入額」や「交際費・寄付金の損金不算入額」などがあります。

「永久差異」には、税効果会計は適用されないので注意してください。

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