財務・会計

企業の結合会計(財務・会計)

投稿日:2021年2月8日 更新日:

こんにちは!中小企業診断士のカズユキです。

今回は企業の結合会計について解説します。

結合会計には、

  • 合併会計
  • 連結会計

といったものがあります。

試験重要度 ★★☆☆☆

中小企業診断士試験においては、それほど出題はされていません。

他のテーマや科目の勉強が足りないと感じる場合は、後回しにしても良いです。

 

合併会計

近年では、企業の M&A が多く行われるようになっています。合併会計は、M&A などによって合併した複数の企業の財務諸表を 1 つにする処理です。

 

合併の会計では「パーチェス法」いう方法で処理を行います。

「パーチェス法」は、合併企業が取得した被合併企業の資産及び負債を「時価」で評価する方法です。

 

企業を合併する際には、被合併企業の株式を合併企業が時価で取得します。

このときの取得価額と、時価評価した純資産額、つまり「資産-負債」の金額に差がある場合は、その差額を「のれん」という勘定に計上します。

 

のれんについて

「のれん」というのは、「売買される企業の将来性や収益力、ブランドなどを表した仮想的な資産」です。

こうした価値があるとみなされる企業は、時価で表現される価格以上に投資する必要があります。

のれんは無形資産の一種です。

 

ちなみに逆に時価よりも安く変えた場合の差額は「負ののれん」と呼ばれます。

将来性や収益性が乏しい企業は安く買いたたけるような感じです。

この場合の差額は損益計算書の特別利益に計上されます。

 

なお、「のれん」は 20 年以内に償却する「繰延資産」です。

 

合併会計の具体例

ここからは合併の具体例で確認していきましょう

 

ここにA社がB社の株式を取得しようとしています。

B社の貸借対照表は以下の通りです。

B社の貸借対照表(時価)
資産 12,000 負債 4,000
資本金 5,000
利益剰余金 3,000
合計 12,000 合計 12,000

A 社が B 社を合併した場合を考えます。

A 社は期末に、B 社の株式 1,500 株を 1 株あたり時価 6 で取得して B 社を合併しました。

このときの取得価額は 9,000 となります。

 

パーチェス法では、B 社の資産・負債を時価で引き継ぎます。

問題等では簿価の貸借対照表が示されていることがありますので、ご注意ください(^^)

 

取得価額は 1,500株×6=9,000 でした。

時価評価した純資産額は 8,000 となっています。

つまり、時価の純資産額よりも、取得価額の方が 1,000 大きい状態になっています。

この差額分は「のれん」として計上します。

 

この合併の仕訳を見ていきます。

合併の際に、取得価額 9,000 のうち、5,000を資本金に、4,000 を資本準備金に組み入れたとします。

このときの仕訳は、

借方 貸方
資産 12,000 負債 4,000
のれん 1,000 資本金 5,000
資本準備金 4,000

となります。資産と負債が時価になっています。

そして純資産は5,000+4,000=9,000なので取得価額になっています。

さらに、貸借の差額が「のれん」として計上されていることがわかります。

 

連結会計

連結会計とは「親会社、子会社などを含めた企業グループ全体での財務諸表を作成し報告すること」です。

企業グループ全体の財務諸表を「連結財務諸表」と呼びます。

連結財務諸表

個別の財務諸表だけでなく、連結財務諸表を必要とされるかは理由があります。

それは「単体の企業では正しい業績を判断することができないから」です。

 

大規模な企業になってくると、生産や販売などの一連の事業活動を親会社、子会社で分担していることがあります。

このような場合は、親会社だけの財務諸表を見ても事業全体の業績を正確に判断できません。

 

具体例を挙げてみます。

自動車を生産する親会社と、その自動車を販売する子会社がありました。

親会社は生産した自動車を子会社にすべて販売しています。

親会社では生産したすべての商品を販売できていますので、利益が出ています。

しかし実態は、子会社に在庫がたまっている状態です。

子会社では仕入はたくさんしているが、販売に苦戦をしていました。

当然業績は芳しくありません。

企業単体で見ると親会社は順調で子会社は赤字になっていますが、両社は関係が深いので全体で考えなくては本当の業績はわかりません。

 

そこで、企業グループ全体を見る連結財務諸表が必要となってくるのです。

実際にかつて損失を子会社に押し付けて業績を良く見せようとする企業がありました。

取引する企業や投資家にとってはこのようなズルをしていると、正しい判断をすることができません。

何か子供がテストの成績が悪かったことを隠すような感じですね(^^;)

 

連結財務諸表には

  • 連結貸借対照表
  • 連結損益計算書
  • 連結株主資本等変動計算書
  • 連結キャッシュ・フロー計算書

などがあります。

 

連結の範囲

連結財務諸表は、企業グループ全体の財務諸表ということはわかりました。

次の段階としては、「じゃあどこまでを企業グループなの?」

となりますね(^^)

連結の範囲を決めるルールが必要です。

 

この連結の範囲は「支配力基準」という基準で決定されます。

支配力基準とは例えはこんな感じです。

  • 議決権のある株式の過半数超を所有している
  • 議決権のある株式の過半数超を所有している会社の子会社
  • 過半数を所有していなくても、他の会社の意思決定を実質的に支配している場合
  • 自社と子会社合わせると株式の過半数超を所有している

このような関係性になっている場合に子会社として支配しているとみなします。

 

親会社は、原則としてすべての子会社を連結の範囲に含める必要があります。

また、親会社が直接過半数の株式を所有していなくても、他の子会社を通じて過半数の株式を所有している場合にも、その企業は子会社となります。

結構複雑ですが図や具体例があるとわかりやすいので、次に示していきます。

連結範囲の具体例

自社は、様々な企業の株式を所有しています。図の例で、自社の連結範囲はどこまでか確認していきます。

まずA 社は、自社が議決権の 50%を超えて直接所有しているため、自社の子会社です。

B 社は、自社の子会社である A 社を通じて、議決権の 50%を超えて間接所有しているため、自社の子会社です。

C 社は、自社の議決権の割合がちょうど 50%ですが、50%を超えていないため 自社の子会社ではありません。

したがって、D 社も、C 社が議決権の 50%超を所有していますが、C社が子会社でないため、D 社も子会社ではありません。

補足ですが、D 社は C 社の子会社となります。

E 社は、自社の議決権所有割合が 50%以下ですが、自社が E 社の意思決定権を掌握しているため、支配力基準で 自社の子会社です。

F 社は、A 社同様に、自社が議決権の 50%超を直接所有しているため、自社の子会社です。

G 社は、自社の子会社である F 社を通じて議決権を 40%間接的に所有しており、自社が直接所有している割合 20%を合計すると、60%所有していることになるため、G 社も 自社の子会社です。

 

よって、この場合は、A 社、B 社、E 社、F 社、G 社の 5 社が 自社の連結範囲です。

 

連結財務諸表は、通常は親会社の決算日である連結決算日に作成されます。

 

連結財務諸表の作成手順

連結財務諸表の作成手順は、

連結財務諸表は、親会社と子会社の個別の財務諸表に基づいて作成されます。

過去の解説では

  • 連結貸借対照表
  • 連結損益計算書

について作成手順を解説します。

連結財務諸表を作成する基本的な流れは、

  • 最初に個別の財務諸表を合算
  • 次にグループ内の取引や資産などを相殺消去
  • 非支配株主持分を計算する

という手順です。

「連結貸借対照表」作成の具体例

具体例を見ながら基本的な手順を確認します。

P 社が S 社の発行済議決権株式の 60%を期末に 600 で取得しました。

つまり

  • P 社が親会社
  • S 社は子会社

となっています。

P 社の企業グループとしての連結財務諸表がどうなっていくか使っていきます、

まず、連結貸借対照表の作成手順では、

最初に P 社の貸借対照表と S 社の貸借対照表を単純合算します。

ここで、P 社と S 社を 1 つの会社と考えた場合、P 社の保有する「関係会社株式」はS 社の資本のことなので二重に計算しています。

よって「投資と資本の相殺消去」を行う必要があります。

この例では、P 社は S 社の発行済議決権株式の 60%を取得していますので、その分を相殺消去します。

また、議決権株式の残りの 40%は P 社以外の会社が所有していることになります。

このように親会社が子会社の株式を 100%所有していない場合には、親会社の持分以外を、「非支配株主持分」として、連結貸借対照表の純資産の部に計上する必要があります。

例の場合、子会社である S 社の資本金 700 の 40%、つまり 280 が「非支配株主持分」になります。

また、子会社である S 社の資本金 700 の 60%、つまり 420 が親会社 P 社の持分となり、相殺消去する必要があります。

ここで、P 社が時価で取得した S 社の関係会社株式は 600でした。

よって、S 社の資本金の 60%である 420 と、P 社の関係会社株式 600 に差額があります。

このように「投資と資本の相殺消去」を行う際に差額がある場合には、「のれん」として無形固定資産に計上します。

ここまでの手順をまとめると、投資と資本の相殺消去を行う連結修正仕訳は

借方 貸方
S社資本金 700 関係会社株式 600
のれん 180 非支配株主持分 280

となります。

「非支配株主持分」と「のれん」の解釈が複雑ですが、計算は簡単なので仕組みを覚えたら試験にも対応できます。

この仕訳を、単純合算した貸借対照表に適用することで、連結貸借対照表が作成されます。

「連結損益計算書」作成の具体例

次は連結損益計算書の作成手順です。

連結貸借対照表と同様に、まずはP 社の損益計算書と S 社の損益計算書を単純合算します。

次に、企業グループ内での商品の売買などの取引を、相殺消去する必要があります。

同じグループ会社ではいちいちお金のやり取りはありません。

商品の移動と解釈します。

企業グループ内で販売した「売上」と企業グループ内で仕入れた「売上原価」を相殺消去します。

例では、P 社から S 社への売上が 100 あるため、この分を相殺消去します。

また親会社による子会社の所有割合が 100%未満である場合には、子会社の利益の一部は、親会社の持分以外である「非支配株主に帰属する当期純利益」とする必要があります。

持株比率によって利益を配分します。

例では、子会社の当期純利益は 400 ですが、このうち 40%分の 160 が「非支配株主に帰属する当期純利益」となります。

したがって、内部取引の相殺消去と非支配株主持分の振替を行う連結修正仕訳は、

借方 貸方
売上 100 売上原価 100
非支配株主に帰属する純利益 160 非支配株主持分 160

となります。

この仕訳を、単純合算した損益計算書に適用することで、連結損益計算書が作成されます。

なお、実際の連結会計の実務では、グループ内の債権と債務の相殺消去など、様々な連結調整が必要になります。

一緒のグループなら債務や債権も売上や仕入のように相殺します。

複雑ですがちょっとずつ慣れていきましょう!

 

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