こんにちは!中小企業診断士のカズユキです。
私は仕事がら会社の経営者と話をする機会が多いです。
そこでは普段は言えないようなことも聞くことがあります。
今回は5S活動にも限界があること、しかし改善の土壌ができることをお伝えします。
先日ある会社の経営者との会話でこんなことがありました。
その会社では何年も前から5S活動をされていました。
しかし「生産性が上がらず、マンネリ化している。余計な時間ばかり取られるのでやめてほしい」
といった声が聞こえるようになってたとおっしゃられていました。
5S活動を進めると
- モノを探す手間が省けるようになる
- モノを使用する時に取り出しやすくなる
- どのにモノがあるかわかるので不要物を買わなくなる
- 結果コスト削減できる
といった感じで、生産性が向上します。
5S活動を通して、生産性向上を上げようとする会社は多いです。
実際に活動が浸透すると職場環境が向上して生産性は間違いなく向上します。
しかし留意点もあります。
それは、
「単なる整理整頓を中心とした5S活動でできるムダ取りや、生産性向上には限界がある」
ということです。
具体的に数値で表現してみます。
例えば、工場でいつも工具を探して作業をしているので、工具置き場の5Sを実施したとします。
5Sの成果で探す手間を1分削減することができました。
- 1時間当たりの労務費が2,000円とします。
- 工具置き場の利用する作業員は5人
- 工具を手にする作業は1日5回
- 操業日が240日
とすると、年間のコスト削減効果はいくらでしょうか?
まず削減できる労務費ですが、探していた1分が削減できるので、
2,000円÷60=33.333333・・・・
削減効果はおよそ33円です。
あとは作業員と作業する回数、操業日を掛け算します。
年間削減コスト=33.3円×5人×5回×240日≒200,000円
このように年間で削減できるコストは約20万円です。
改善は小さい変化で大きな成果を生むほど価値があります。
「なんだたったの20万円か。それならもっと大きなことをしたほうが効果が高いじゃん」
と思う人もいます。
例えば、
- 故障が多くなってきた設備を更新して不良率を低減
- 年間の生産計画を見直して、生産を平準化して残業時間を削減
- コストに見合わない工程は外注に切り替える
このように改善効果はもっと大きなことをすれば、高い効果を得ることができるかもしれません。
しかしこれらのことを実行するには、お金がかかったり生産計画や生産工程を変えたりする必要があります。
これを作業員だけで判断することは不可能です。
その点5S活動は誰でも出来ます。
効果もしっかりで出るので、達成感もあります。
しかし最初こそ成果がわかりやすく出ますが、いつしか限界が訪れます。
5S活動は不必要なものを捨てたり、必要なモノを並べたり、設備をキレイに掃除したりと眼に見えるものが主体です。
しかし生産性が悪くなっている原因は、単に目に見える部分だけではありません。
例えば
- 余計な作業のプロセスがある
- 作業員の習熟度が不十分
- 人や機械の配置といった経営資源の配分が不適切等々
このように一見する目に見えない部分が生産性を阻害している可能性もあります。
これらのことは5S活動では改善することが難しい領域です。
5S活動で生産性は確実に向上します。
5S活動が浸透すると会社にルールを守る文化が醸成されます。
当たり前のことを継続したり、決めたことを守る土壌を作らないと、その先へ発展させることはできません。
逆に言えばここまでたどり着けば、さらに発展させて改善活動を実施することができます。
例えば、生産性向上のために段取替え方法を会社として見直すことになったとします。
しかし、従業員がその新しい方法に対して「昔のほうがやりやすい」「新しいやり方は気に入らない」と言ってしまったらどうでしょう。
変化することになれていないと、せっかくの新しい良いやり方が受け入れられません。
どんなに正しい作業方法を示したとしても、現場で実行されなければ意味がありません。
5S活動をすれば変化することに対して柔軟に受け入れることができるようになってきます。
まずは5S活動でしっかりとした土壌を作って、更なる発展を目指しましょう!
今回も最後まで読んでいただき誠にありがとうございます!
これからも中小企業診断士としての知識と、仕事を通じて感じたことを書いていきます。
ちょっとでも役に立る情報を発信できるように頑張りますので、これからもよろしくお願いします(^^)
5S活動で組織を変えよう
私は5S活動の重要性をこのブログで発信しています。
また組織的に実行するための、ノウハウをまとめています。
参考書と違い、すぐに実行できるツールをふんだんに盛り込んでいます。
ぜひご活用くださいませ(^^)