コンサル実務 5S活動

当たり前の環境は気が付きにくい(5S活動)

投稿日:2021年5月19日 更新日:

こんにちは!中小企業診断士のカズユキです。

今回は職場の問題点にどうして気が付かない人が多いのかについて解説します。

そしてその対処法についても書いていきます。

よろしくお願いいたします!

 

経営者の嘆き

企業の経営者や管理者の方が、共通して嘆くことがあります。

それは「なぜ気がつかないのか」ということです。例えば、次のようなことがあります。

  • ここにゴミが落ちているのに、なぜ気がつかないのか。
  • トイレの床や便器は一生懸命磨いているが、なぜペーパーホルダーの汚れには気がつかないのか
  • 工具の定位置を決め、ふちどりまで書いたのに、なぜそれを無視して違うところに置くのか

私が支援している会社に訪問するときにもよく聞きます。

従業員さんがいなくなって、2人だけで雑談になったときにぽろっと本音が垣間見えます。

これは整理整頓を徹底する「5S活動」を実践している会社でも見られます。

 

当たり前になると脳が処理しない

こういうことは、5Sに限らずによくあります。例えば、皆さんも日常生活で次のようなことはありませんか?

  • リモコンがないと思ってあちこち探していたが、実は目の前のテーブルに置いてあった
  • 指示書に目を通したはずなのだが、特記事項を見落としていて、作業ミスをしてしまった
  • メガネをおでこに乗せているのに「メガネメガネ」とメガネを探してしまった

あとで振り返ってみて、「なんでこんなことに気がつかなかったのだろう」ということはよくあることです。

これは、脳の働きに関係しているのです。

人間には、目に入るもの全てが見えているわけではなく、脳が処理してようやく「ものが見える」状態になるのです。

脳が適切に処理をしないケースは、大きく2つあります。

  • 長い間「当たり前」になった光景は、脳が処理をしない

(奥さんが美容院で髪をきったのに気づかないのは、関心がないわけではなく『変わらないはず』という思い込みがあるため)

  • その人にとって重要でないことも、脳が処理しない

(信号機の青は右側か左側かぱっと思いつかないのは、位置よりも色の方が重要なため)

 

ごみに気がつかない、汚れに気がつかないのは、「意識が低いから」ではなく、「脳が処理しないから」なのです。

存在するものを、全て完璧に見える人はいません。それが当たり前かどうか、重要かどうかは、人によって考え方が異なります。

(その人が長年をかけて培ってきた価値観や知識、経験などによる)

だからそこで「工具の定位置を決めたのに、そこに戻さないのはお前が悪い!」と言ったとしても、何の解決にもなりませんね。

 

多くの眼で問題点を見つける

ではどうすればいいでしょう?

対処方法としては

「できる限り多くの人を巻き込む」

です。

人によって見え方が違うので、できる限り多くの人の目を借りるのです。

視点が増えれば増えるほど、「見えない場所」が減っていくでしょう。

 

具体的には……

  • 自職場で気になる点、改善したほうがよい点は、全員で意見を出し合う
  • 職場の全員でも気がつかないところは、上司によるパトロールなど、第三者のフィードバックを参考にする
  • 職場で意見を出し合うことは、職場の改善が進んで初めて見えることもでてくるため、定期的にやる(例えば、レイアウトを変えて初めて床の汚れが目についた、など)

一人でできることは限られています。全員参加が5Sの基本です!

 

ものを決めた場所に戻す「仕掛け」

5Sをやっていると必ず問題になるのが、「ものを決めた場所へ戻す」という行為です。

整頓の基本ですね。

せっかく置場をきめても、ものが戻されなかったり、違う場所へ戻されたりすることはとてもガッカリです。

 

私が支援している5S活動では、とにかく何にでも「ふちどり」をしようと試みています。

ふちどりとは、市販のビニールテープを使い、ものの置き場所を明確に示すことです。

「ふちどり」があると、人は元に戻したくなります。

ずれていると、

「なんか気持ち悪い」

といった感じになります。

 

決めたことを守らせるということも大事ですが、守りやすい仕掛けを施しておくと良いです。

このようなちょっとした工夫で大きな成果が出ます。

少ない投資で大きな成果が出れば、費用対効果は抜群です!

最初から効果の高い改善は難しいです。

まずは思いついた方法を実践して見てください。

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