こんにちは!中小企業診断士のカズユキです。
前回からブランドについて解説しています。
ブランドはとても重要なテーマです。
中小企業診断士試験においても頻繁に出題されます。
今回はブランドの種類がどういったものがあるか解説します。
具体的には所有者による違いや、採用戦略と拡張戦略です。
ブランドの問題は覚えておかないと答えることが難しいです。
また採用戦略と拡張戦略はごちゃごちゃになりやすいです(^^;)
情報を整理したり、具体事例で覚えたりすることで解消されます。
では解説を始めます!
ブランドの所有者で区分
まずはブランドには所有者の違いで
- NB(ナショナル・ブランド)
- PB(プライベート・ブランド)
があります。
NB(ナショナル・ブランド)
ナショナル・ブランドは生産者のブランドです。
そのまま「生産者ブランド」ということもあります。
例えば、日清食品の「カップヌードル」やアサヒビールの「スーパードライ」なんかが該当します。
PB(プライベート・ブランド)
プライベート・ブランドは販売業者がつけるブランドです。
販売店舗がつけるブランドなので「ストアブランド」とも呼ばれます。
厳密にはプライベート・ブランドとストア・ブランドは違うと言われますが、大体似ていますのであまり気にしなくて良いです。
例えば、イオンの「トップバリュー」やセブンイレブンの「セブンプレミアム」が該当します。
ブランド採用戦略
ブランド採用戦略は「企業で生み出している製品を、どのようにブランド展開しているかによって区別したもの」です。
ブランド採用戦略はマトリックスで表すことができます。
区分けの軸は2つあります。
- 製品ラインが類似しているか
- 標的市場が類似しているか
これによって主に5つに区分されます。
- ファミリーブランド
- ダブルブランド
- ブランド・プラス・グレード
- 個別ブランド
- 分割ファミリーブランド
ちょっとわかりにくいので具体的な事例を挙げながら説明していきます。
ファミリーブランド
ファミリーブランドは製品ラインと標的市場が類似しているブランド採用戦略です。
基本的にはすべての商品に同じブランド名を採用します。
最近ではコンビニが自社ブランドで品質の高い製品を発売しています。
セブンイレブンの「セブンプレミアム」はまさにファミリーブランドです。
またソニーやトヨタ、コカ・コーラは企業名自体がブランド化しています。
こういったものも含めて「コーポレート・ブランド」や「企業ブランド」と呼ぶこともあります。
ダブルブランド
ダブルブランドは標的市場は同じような感じですが、製品ラインが異なるものです。
統一的なファミリーブランドに個別のブランド名をつける感じです。
例に挙げると「アサヒスーパードライ」「アサヒ淡麗生」「アサヒ・ドライゼロ」などです。
淡麗生やドライゼロだけだと個別ブランドに属します。
「どこのビール?」って思ってしまいますが、頭にファミリーブランドが付くことでブランドの信頼性がぐっと上がりますね(^^)
ブランド・プラス・グレード
ブランド・プラス・グレードは標的市場は違いますが、製品ラインは同じものです。
例えば自動車のメルセデスベンツはAからSクラスまで用意しています。
グレードを変えることで異なる層へ同じブランドを販売できるようにしています。
個別ブランド
個別ブランドは標的市場も製品ラインも異なるブランドです。
例えばネスレは自社名をファミリーブランドとして押し出すよりも個別の製品名が先行しています。
コーヒーの「ネスカフェ」やチョコレート菓子の「キットカット」は誰もが知る有名ブランドです。
「ネスレ・キットカット」で押し出さずに、シンプルに「キットカット」としているのがダブル・ブランドとの違いです。
分割ファミリーブランド
分割ファミリーブランドは似たような製品をグループ化してそれぞれにファミリーブランドをつける方法です。
以前の松下電器産業では、家電系など商品を「ナショナル」、通信系などのデジタル事業を「パナソニック」としていました。
2008年にはパナソニックにブランドも社名も統一されています。
現在はパナソニック株式会社として1種類だけのファミリーブランドです。
ブランド拡張戦略
ブランド拡張戦略は「新しい製品を世に出すときに、どのようにブランドを展開するか」を考えます。
方向性としては
- 製品が既存の延長か新しいか
- ブランド名が既存を使うか新しいか
この2軸で考えます。
そうするとブランド採用戦略のようにマトリックスで表すことができます。
ブランド拡張戦略は主に4つあります。
- ライン拡張戦略
- ブランド拡張戦略
- マルチブランド戦略
- 新ブランド戦略
どれが良いということはありませんが、新しいブランド名や製品で売り出すほうがリスクがあります。
ライン拡張戦略
ライン拡張戦略は既存製品を既存ブランドで発売する方法です。
簡単に言うと「既存製品のマイナーチェンジ」ですね。
すでに実績のあるブランドと製品なのでリスクが少ない戦略と言えます。
ブランド拡張戦略
ブランド拡張戦略は「ブランド名は既存のものを使うが、製品は新しいものに挑戦する戦略」です。
シャープやユニクロがマスクをコーポレートブランドで発売するような感じです。
新製品には実績がありませんが、ブランド名の実績があります。
ライン拡張戦略よりもリスクがありますが、ややリスクを避けた戦略です。
マルチブランド戦略
マルチブランド戦略は「製品は既存だが新しいブランド名をつける戦略」です。
コカ・コーラはコーラ以外にもファンタや綾鷹、アクエリアスなどいろんな清涼飲料水を発売しています。
製品の中には「これってコカ・コーラの商品だったんだ」っていうのもあります。
製品自体は同じ飲み物なので、複数のブランドを持つことでいろんな顧客層を取り込むことができます。
また商品の種類が多いとそれだけ広い陳列スペースを確保することができます。
一方で、ブランドが多いと育成に時間と手間がかかります。
また製品の属性が近いと、自社の製品同士で顧客を奪い合う「カニバリゼーション(共食い)」が起きるリスクがあります。
新ブランド戦略
新ブランド戦略は「製品もブランドも全く新しいものに挑戦する戦略」です。
製品もこれまでの実績がなく、ブランドもこれから育成しなくてはいけません。
4つの中では一番リスクがある戦略です。
個人で言うと、「販売店で最終顧客向けにサービスしていた人間が、製造業の開発業務に転職する」ようなものです。
なかなか苦戦しそうですよね(^^;)
私も販売の仕事から経営コンサルタントに転職したので苦労しました。
今回のまとめ
今回はブランドの種類を区分別・採用戦略・拡張戦略で見ていきました。
やっぱりブランドはややこしいですね(^^;)
ここに書ききれなかったブランドもありますので、本当にブランドは広くて深いです。
最後に今回の内容をまとめると、
ブランドの区分別は2つ
- NB(ナショナル・ブランド)
- PB(プライベート・ブランド)
ブランド採用戦略は5つ
- ファミリーブランド
- ダブルブランド
- ブランド・プラス・グレード
- 個別ブランド
- 分割ファミリーブランド
ブランド拡張戦略は4つ
- ライン拡張戦略
- ブランド拡張戦略
- マルチブランド戦略
- 新ブランド戦略
という内容でした。
今回も最後まで読んでいただいてありがとうございました!
引き続き魂を込めて書いていきますので、よろしくお願いいたします!!