こんにちは!中小企業診断士のカズユキです。
前回は消費者の購買行動について解説しました。
おさらいとして購入までのプロセスはコトラーいわく5段階ありました。
問題認知 | 消費者自身が問題を感じて何かの必要性を感じること |
情報探索 | 購入する商品・サービスを調べる |
代替品評価 | 購入する商品・サービスの候補を検討する |
購買決定 | 候補から欲しいと思った商品・サービスを購入する |
購買後の行動 | 商品・サービスを評価したり共有したりする |
今回はその続きで、消費者の購買決定について解説いたします。
購買決定のタイプは3種類
購買行動は商品・サービスによって違います。
例えば食パンやごみ袋などの日用品の買い物と、洋服や携帯などのちょっと考える買い物と、家や車などじっくり検討する買い物では違うということです。
これらの3種類を購買決定行動のタイプとしてわけます。
具体的な名前は
- 日常的反応行動
- 限定的問題解決
- 拡大的問題解決
です。
それぞれのパターンがどういったものか説明していきます。
日常的反応行動
日常的反応行動は、よく知っている商品を購入する時のパターンです。
また、商品のブランドについてはっきりとして基準があります。
つまり消費者はその製品についてよく知っているので、購入する基準がはっきりしています。
製品としては「最寄品」(もよりひん)に多い行動パターンです。
最寄品とは「価格が低くて頻繁に購入するもの」です。
具体的には、日用品です。
この場合は、いちいち詳しく調べたり、いろんな商品・サービスと比較検討する時間はかなり少ないです。
コトラーの理論で言うと、「情報探索」や「代替品評価」をあまりしません。
限定的問題解決
限定的問題解決とは、商品については知っているけれども選ぶ基準やブランドがはっきりしていないときの購買行動です。
「買回品」(かいまわりひん)に多いパターンです。
買回品は、いくつか候補を比較してから購入する商品のことです。
具体的には、洋服やスマホなどが挙げられます。
みなさん洋服やスマホは良く知っている商品ですが、新しいブランドが出たときはどのような行動をするでしょうか。
インターネットでデザインやスペックをいろいろ比較したくなりませんか(^^)
つまりコトラーの理論でいう「情報探索」や「代替品評価」をある程度やってから購入します。
限定的に情報を調べる感じで覚えると、次の拡大的問題解決と区別がつくと思います。
拡大的問題解決
拡大的問題解決は商品についても購入する基準についてもわからない場合の購買パターンです。
専門品に多い購買行動です。
専門品とは「深い知識が必要で購入頻度が低い高級品」という位置づけです。
家や車などが挙げられます。
こういった商品は購入するときに詳しい情報を知らないことが多いです。
消費者は「情報探索」や「代替品評価」に多くの時間を使うことになります。
個人の購買行動に影響を与える要素
消費者は商品を購入する時に、知らない間に何かの影響を受けていることがあります。
自分が欲しいと思っていても「これを買うとみんなから変に思われるかもしれない」といった感じで買うのを控えることもあります。
また「自分の年齢を考えると、違う商品にしたほうが良いかなぁ」と思うこともあります。
どういったことが購入するときに影響を当てえているかは4つの事象に分類されます。
- 文化的要因
- 社会的要因
- 個人的要因
- 心理的要因
知らない間に影響を与えていますが、言われてみると納得するのではないかと思います。
では解説いたします。
文化的要因
文化的要素というのは消費者が属している文化や社会階層のことです。
文化は日本はアニメが文化として根付いています。
アニメキャラクターを起用している商品のほうが魅力的に感じることもあります。
また社会階層では収入によって購入するかを決定します。
自分の経済的な事情で購入するものを決めることがあります。
社会的要因
社会的要因は自分の会社の地位や所属する集団、家族などのことです。
会社での地位が管理職になってので、あまり安いものは身につけたくないと感じます。
自分が買おうとしたけれども「家族に反対されそうだ」といったことも挙げられます。
大学時代の話ですが、携帯電話のブランドが私以外docomoを持っていましたので、自分もdocomoに変更しようか検討したことがあります。
ちなみに自分が所属する集団のことを「準拠集団」と呼ぶことがあります。
「準拠」という言葉には「拠りどころ」という意味があります。
準拠集団には、自分が現在所属する集団はもちろんですが、所属していなくても「あこがれている集団」も含みます。
例えばあるアーティストにあこがれている人は、その人の言動や考え方、ファッションの影響を受けます。
それが商品を購入する時に影響を与えます。
個人的要因
個人的要因は、年齢やライフスタイル、職業といったことが挙げられます。
動画を見ることが多い人は「なるべくスペックの高いパソコンを買ったほうが良い」と考えるでしょう。
また、家族が増えてきたので自家用車も多人数が乗れるように買い替えることもあります。
最近はニーズが多様化しているので、当然のように売れていた自動車も売れなくなってきています。
ある程度の年齢になったら買って当然のような価値観が変わってきています。
それを脅威と捉える人が多いと思いますが、チャンスかもしれません。
従来の自動車では魅力を感じていないということなので、ニーズに見合った商品を開発すれば他社と差別化できます。
状況をプラスに捉えるかマイナスに捉えるかで大きく違ってきますね(^^)
心理的要因
心理的要因は商品の機能以外に働く要因です。
個人的要因に近い感じです。
コトラーがいうには4つがあります。
具体的には、「モチベーション」「知覚」「学習」「信念と態度」です。
モチベーションは「頑張ったご褒美で買う」
知覚は「デザインがかっこいいから買う」
学習は「インターネットで評価が良かったから買う」
信念と態度は「自分のこれまでの経験則で買う」
といった感じです。
ブランド力があると心理的要因に影響を及ぼすことができます。
ブランディングが成功するとデザインがかっこいいとか、これまで買って良かったので信頼できるとかで購入することが多くなります。
機能が一緒でもブランド力があれば、消費者の購買意欲を促進します。
組織による購買行動は個人と違う
組織の購買行動は個人の購買行動と少し違います。
自分たちも製品やサービスを開発して販売しているので、個人がプライベートで使用するとは違います。
それを理解しておきましょう。
組織の購買行動の特徴は主に3つです。
- 組織で購入を決定をする
- 長期的に取引することが前提
- 専門性が高い
組織で購入を決定をする
会社が何かを購入しようと検討する時には、いくつか見積もりを取ったり価格交渉をしたりします。
これらは個人においても行われますが、会社の場合は複数の人間が絡んで意思決定を行います。
社内で稟議書を通して承認を得るようなことをします。
金額によっては会議を行って綿密に意思決定を行っていきます。
長期的に取引することが前提
会社が購買をするときはある程度長く付き合うことを想定します。
個人で購入するよりもたくさん買いますので、慎重に交渉を進めます。
そうすると交渉に時間もかかりますので、そんなに頻繁に購入先を変えることはできません。
そんなことしていたら交渉や調整に時間が取られてしまって、肝心の稼ぐ活動をすることができません。
専門性が高い
会社は世の中に価値を提供して対価を頂き運営していきます。
そのためには品質の高い商品やサービスを開発していかなくてはいけません。
そうすると個人で購入するよりも高い専門性が必要になってきます。
個人で購入するときは自分で使うことを目的とした「消費財」と呼ばれます。
会社が購入する商品は「産業材」と呼ばれます。
この産業材は、会社が付加価値を加えて売れる商品を生み出すために使用します。
当然ながら高い品質を要求されます。
こういったところが個人で購入するところと違います。
まとめ
今回は消費者行動の購買決定について解説しました。
最後に凝縮してまとめます。
購買決定のタイプは3種類
- 日常的反応行動
- 限定的問題解決
- 拡大的問題解決
個人の購買行動に影響を与える要素4つ
- 文化的要因
- 社会的要因
- 個人的要因
- 心理的要因
組織による購買行動の特徴3つ
- 組織で購入を決定をする
- 長期的に取引することが前提
- 専門性が高い
こうやって解説をすると「けっこう当たり前じゃん」って思いませんか(^^)
みなさんもこういった知識は経験則で持っていることがあります。
しかし、人に説明する時には思ったように伝えることが難しいです。
こういった知識を知ることによって、考えをまとめたり人に伝えたりすることができます。
マーケティング知識は勉強するとためになって楽しいです。
ビジネスシーンでも使用する機会が多いので、ぜひ一緒に学んでいきましょう!