こんにちは!中小企業診断士のカズユキです。
今回は財務・会計の費用について解説します。
費用とは「会社の利益を出すために使用された金銭」です。
費用については決算書の損益計算書に内訳が記載されています。
例えば損益計算書の事例を示すと次の通りです。
いろんな費用によって売上高から引かれて、最終的に利益が残ります。
売上高利益率が低い場合、どの費用が多くなっているかを分析します。
主な費用の分析に使用する指標を解説していきます。
売上高売上原価率
「売上高売上原価率」は、売上高の中にどれだけ原価があるかを示す指標です。
売上原価はものを作るときに使った費用のことを指します。
製造業であれば原材料費・労務費・経費などが該当します。
卸・小売業であれば商品を仕入れた費用が該当します。
式は、
売上高売上原価率=売上原価 ÷ 売上高
です。
当然ですが、売上原価が少ないほうが儲かるので、売上高売上原価率は低くすることを目指します。
売上高から売上原価を引くと売上総利益(粗利)になります。
よって、
売上高売上原価率=1-売上総利益率
の関係が成り立ちます。
例で示した損益計算書で売上高売上原価率を計算すると、
売上原価が1,000、売上高が2,000 ですので、50.0%です。
売上高販管費比率
「売上高販管費比率」は売上高の中に販売費及び一般管理費がどれくらいあるかを示す指標です。
販売費及び一般管理費は製品や商品を販売するためにかかった費用を表します。
例えば営業や事務の人件費、商品を売り込むための広告宣伝費、設備の減価償却費などが該当します。
製品を作るために使用した費用は該当しません。
式は、
売上高販管費比率=販売費及び一般管理費 ÷ 売上高
です。
この指標が大きくなっている場合は、人件費や広告宣伝費、減価償却費などの販管費が膨らんでいるということです。
ちなみに営業利益との関係性ですが、売上高から売上原価と販売費及び一般管理費を引くことで営業利益が求められます。
売上高営業利益率についても同じことが言えます。
売上高営業利益率=売上高総利益率-売上高売上原価率
売上高営業利益率=1-売上総利益率-売上高売上原価率
あまりこのような式を使うことはありませんが、関係性については把握しておきましょう
例の損益計算書から売上高販管費比率を計算すると、
販売費及び一般管理費が780、売上高が2,000 ですので、39.0%となります。
売上高人件費比率
会社経営では人に対する費用である「人件費」の割貝が大きいです。
特にサービス業なんかはかなり高くなります。
そこで売上の中に占める人件費がどれくらいかを見る指標として「売上高人件費比率」を見ます。
例えばボーナスの原資を決定するときや、給与改定で昇給する際に参考にします。
売上高人件費比率の式は、
売上高人件費比率 = 人件費 ÷ 売上高
です。
人件費は損益計算書の、給与、賞与だけでなく、福利厚生費や法定福利費など人員に対してかかる費用が対象となります。
それ以外にも、製造業の場合は労務費も人件費に集計します。
労務費は売上原価に入っているため、損益計算書では判断できないことがあります。
労務費は製造原価報告書に含まれています。
製造業では労務費も合わせて集計することに注意してください。
ちなみに労務費の割合だけを見る場合は「売上高労務費比率」という指標で分析します。
例の損益計算書から売上高人件費比率を計算すると、
人件費が給与手当+賞与+福利厚生費+法定福利費を合計、製造業ではないため製造原価報告書の労務費はありません。
よって人件費は520、売上高が2,000なので、26.0%です。