こんにちは!中小企業診断士のカズユキです。
最近は補助金が盛り上がっていますね!
ものづくり補助金が通年公募となり、2021年からは補助額の大きい事業再構築補助金がスタートしています。
採択率は50%前後となっており、頑張って申請すれば大きな補助を得ることができます。
そこで今回はあらためて補助金とは何かについて解説いたします。
実務を通して感じたことや、意外とデメリットもあることをお知らせしたいです。
補助金とは
補助金とは国や地方自治体が、企業や個人の設備投資等に対して行う金銭的支援です。
補助金には達成したい目標があります。
たとえば「ものづくり補助金」では、
中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)等に対応するため、中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援するものです。
難しい表現ですが、設備投資を支援する補助金です。
最近注目されている事業再構築補助金にはこのように書かれています。
本事業は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、当面の需要や売上の回復が期待し難い中、ウィズコロナ・ポストコロナの時代の経済社会の変化に対応するために新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編又はこれらの取組を通じた規模の拡大等、思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援することで、日本経済の構造転換を促すことを目的とします。
これも難しい表現ですね(^^;)
これはつまり「コロナで今の事業がヤバい事業者に、新しい事業に挑戦する支援をします」ということです。
補助金は設備投資にかかる費用の全額まで負担をしてくれません。
1/2や2/3が多いです。
つまり半分ぐらいは自分でお金を出さないといけません。
それでも大きな設備投資の場合、補助があると投資意欲が刺激されますね!
補助金にはメリットが多いように感じますが、デメリットも含まれています。
今回はそれを解説していきます。
補助金のメリット
基本的には返済不要
補助金は融資と違い返済の必要がありません。
ですので、資金調達方法としては非常に魅力的で人気が高いです。
あまりの魅力の高さから、
「どうやったらもらえるの?」とか
「採択されるいい感じの事業計画書を作ってくれ」
何て言われたりします(^^;)
助成金よりも補助額が高額
補助金によって上限額が異なりますが、高額な補助金が多いです。
地方公共団体が実施している補助金の上限は数十万円クラスですが、ものづくり補助金の通常枠では上限が750万円~1,250万円です。
2,000万円の設備投資を計画している場合、ざっくり言うと1/2である1,000万円が支給されます。
コロナ後に実施している事業再構築補助金では最高1億円です。
大きな投資が必要な製造業にとっては大変ありがたい制度です。
ですので製造業以外にもいろんな業種が補助金を利用しています。
たとえば建設・建築関係もIT化を進めているので、補助金を利用する事例が増えてきました。
最近は歯医者さんなんかの採択事例もあります。
ちなみに似たような仕組みで「助成金」というのがあります。
助成金は厚生労働省が行っている、雇用や職場環境向上を目的とした金銭的支援です。
例えば経営状態が良くない中でも雇用を維持するための支援である「雇用調整助成金」や、賃上げする会社の設備投資を支援する「業務改善助成金」などがあります。
条件によっては100万円を超える補助を受けることもできますが数十万円程度が相場です。
補助金の注意点
補助金のことを詳しく知らない方の中には、簡単にもらえるイメージを持っていることもありますが、そんな簡単ではありません。
以下の注意点を参考に申請するかどうか検討してください。
書類作成が大変
補助金の申請にはたくさんの書類を提出する必要があります。
決算書や登記簿、事業計画書、その他補助金の様式に沿った提出物がたくさんあります。
無事に採択された後にも、投資する設備・機械の見積書が必要です。
しかも金額の妥当性を示すために相見積もりも必要となってきます。
設備の導入後は完了報告書の作成、その後5年間の報告等が必要です。
とにかく大変で担当者は大変です(^_^;)
採択されるとは限らない
申請するためにいろんな書類を準備したにもかかわらず、補助金をもらえないことがあります。
補助金の財源は税金を使っているため、いまいちな事業には投資しません。
採択される確率は50%前後です。
助成金の場合は条件を満たしていれば支給されるのですが、補助金は条件があっても不採択になることが良くあります。
貰える前提で事業を進めることはリスクが高いです。
事業計画書の作成が必要
補助金が支給されるには、優れた事業であることを提案する必要があります。
優れた事業内容であるかどうかを「事業計画書」にまとめます。
ものづくり補助金ではA4に10ページ以内にまとめます。
しかしそんなノウハウを持っている人が少なく、
「そんな文章作れない・・・」
となってしまい申請を諦める事業者も少なくありません。
よって事業計画書の作成を専門家に依頼する経営者は多いですね。
ちなみに中小企業診断士は事業計画書を作成できるノウハウを持っていることが多いです。
なぜなら、試験合格後に実務補習という実際の企業を診断する機会があるからです。
実務補習ではその会社がどのようなアクションをすれば良いかを50ページ以上にわたってまとめます。
この訓練を受けるので、文章作成能力を鍛えられています。
時期が限られている
補助金はいつでも募集しているわけではありません。
締め切りまでに申請する必要があります。
たとえば、第11次ものづくり補助金では5月26日に公募開始され、8月18日に締め切られました。
これを逃すと申請することはできません。
ものづくり補助金や小規模事業者持続化補助金のような全国的な補助金は情報が集まりやすいのですが、地方の補助金はいつの間にかスタートしていることが多いです。
検索して「これは使える!」と思って申請を検討してみたところすでに終わっているなんてことも珍しくありません。
情報を集めるのは難しいので、専門家に確認してみたり、補助金支援をしている会社のメルマガに登録しておくとよいでしょう。
ちなみに以前はものづくり補助金は年間2回程度しか公募していなかったのですが、最近は3か月ごとに公募されているのでチャンスが多くなっています。
代表的な補助金の種類
ここで代表的な補助金を紹介します。
自社の目的等に合っているモノから申請を検討してください。
ものづくり補助金
正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」です。
中小企業が経営革新のための設備投資等に使える補助金です。
対象となっている事業は以下の4つです。
- 新商品開発
- 新たな生産方式の導入
- 新役務(サービス)開発
- 新たな提供方式の導入
もっとざっくり言うと「成果物が新しい」「プロセスが新しい」の2つです。
中小企業・小規模事業者が対象です。
上限額750万円~3,000万円となっています。
補助率1/2もしくは2/3です。
上限額や補助率は申請する枠や従業員数によって異なります。
事業再構築補助金
事業再構築補助金とは「ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するために、思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援する補助金」です。
簡単に言うと「今の事業がヤバいから新しい事業に挑戦する会社を応援する補助金」です。
どんなことをするのかは以下の5つに分類されます。
- 新分野展開
- 事業転換
- 業種転換
- 業態転換
- 事業再編
「新分野展開」「事業転換」「業種転換」は3~5年後に日本標準産業分類の変更があるかどうかで分類が変わります。
新分野展開では日本標準産業分類変更がないパターンが該当します。
逆に事業転換と業種転換は日本標準産業分類に変更があるパターンです。
たとえばお寿司屋さんが焼肉店をはじめるようなパターンで考えてみます・・・めっちゃ適当(笑)
焼肉店の売上が自社の売り上げ全体の10%以上で計画を考えている場合「新分野展開」に該当します。
この場合は日本標準産業分類に変更がありません。
事業前:日本料理店 → 事業後:日本料理店
また焼肉店の売上が自社の事業の中で一番の売上に成長する場合は「事業転換」となります。
日本標準産業分類の考え方は、その会社で一番の売上を上げている事業が該当します。
焼肉店の売上が成長した場合、日本標準産業分類の日本料理店から焼肉店に変更されます。
中分類以下が変更になる場合は「事業転換」に該当します。
業種転換は日本標準産業分類の大分類が変更になる場合です。
お寿司屋さんが魚屋さんに挑戦して売上が自社内で最も多くなるパターンが該当します。
大分類が「宿泊業,飲食サービス業」から「卸売業,小売業」に変わります。
業態転換は製造工程やサービス提供方法といったプロセスを大きく変更する場合に該当します。
これまで手作業でやっていた工程をIT化や機械化をする場合が該当します。
ただし、成果物の新規性が求められることがあります。
事業再編はM&A等により新しい事業に挑戦するパターンです。
新しい事業が「新分野展開」「事業転換」「業種転換」「業態転換」のどれかに該当する必要があります。
補助額や補助率は枠によって異なりますが、グリーン成長枠では最高1億円なのでかなり大きな事業展開を期待しています。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は名前の通り、小規模事業者を対象とした補助金です。
対象としているのは「販路開拓」です。
対象としている経費は幅広いです。
機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会等出展費、旅費、開発費、資料購入費、雑役務費、借料、設備処分費、委託・外注費などたくさんです。
ほとんど何でもOKって感じですね(^^)
投資により業務効率化や生産性向上につながる期待もしています。
補助上限は通常枠で 50万円ですが、卒業枠や創業枠では200万円とかなり高額です。
補助率は基本2/3ですが、賃金引上げ枠のうち赤字事業者については3/4となっています。
IT補助金
中小企業・小規模事業者等が自社の課題やニーズに合ったITツールを導入する経費の一部を補助するものです。
中小企業の課題は生産性の向上ですが、それを実現するためにはIT化が必要です。
人が手作業でしていることをIT化すれば業務効率化につながります。
しかしIT化を実現するためには、それなりに費用がかかります。
IT補助金では最高450万円までの補助を得ることができます。
条件によっては端末(スマホ・タブレット)といったものも対象となります。
最近は「セキュリティ対策支援枠」も始まりました。
デジタル化が進むと便利ですが、情報が流出しやすいリスクもあります。
企業の大切な情報を守る投資を最大2年間、100万円まで補助が出ます。
IT補助金は他の補助金よりも申請の手間が少ないので活用しやすいといえます。
IT導入支援事業者(ITベンダー)が申請に協力してくれるからです。
なぜ協力してくれるのかは、IT導入支援事業者のシステムが売れるからです。
IT補助金では、IT導入支援事業者が登録しているシステムから購入する必要があります。
ですので、申請する時にIT導入支援事業者から手厚い支援を受けることができます。
事業承継・引継ぎ補助金
事業承継・引継ぎ補助金は、事業承継を契機に新しい取り組みを行う、事業の再編や統合で経営資源の引継ぎを行う中小企業を支援する制度です。
この補助金には大きく3種類から構成されています。
- 経営革新事業
- 専門家活用事業
- 廃業・再チャレンジ事業
経営革新事業とは事業承継を行なった中小企業者の設備投資や販路開拓等にかかる取組費用の一部を補助する事業です。
補助額は上限500万円、補助率は1/2です。
専門家活用事業とは後継者不在により、事業継続が困難な中小企業者等が、事業再編・事業統合によって引継ぎを行う取組の経費を補助する事業です。
補助額は上限400万円、1/2です。
廃業・再チャレンジ事業とは廃業・再チャレンジを行う中小企業者等を支援する事業となります
補助上限は150万円、補助率は1/2です。
補助金支援について
補助金申請で一番大変なのが「事業計画書の作成」です。
採択されるためには魅力的な事業であることを伝えなければなりませんが、自社の業界のことを知っていない採点者に魅力を伝えるのは難しいです。
私は補助金で必要な事業計画書の作成を行っており、採択実績もあります。
ぜひご用命ください。