こんにちは!中小企業診断士のカズユキです。
私は中小企業診断士試験をストレート合格して、40歳でコンサルタント会社に転職しました。
このブログでは、試験や実務のことについて書いています。
今回は「マズローの欲求5段階説と5S活動」というテーマで書いていきます。
5S活動で組織は変わる
「5Sで組織が変わる」という話をすると、「本当かな?」という顔をされることがあります。
確かにただの片付けが飛躍しすぎではないかと思う人は多いです。
「片づけくらいで人の気持ちが変われば、こんなに苦労はしていない!」
組織のリーダーから心の声が漏れ聞こえる時もあります。
私は5S活動の支援をしながら、組織が変化の様子を見てきました。
やはり5S活動は人の意識を変えて自発的に行動を起こすきっかけを作る仕組みです。
最近は考え方が多様化しています。
インフルエンサーが発信する、これまでとか違う理屈やインパクトの強い言葉がネットのニュースで流れています。
私も「なるほどなぁ」と思い参考にしています。
しかし組織を意識や行動を変えるのは、経営者やリーダーからの地道な呼びかけや、誰でも簡単に理解できる仕組みの導入です。
これを満たすのが「5S活動」です。
なぜ単なる片付けが組織力の向上につながるか?
そこには人間の欲求を満たすような仕掛けが入っているからです。
モチベーション理論で「マズローの欲求5段階説」を取り上げで説明していきます。
マズローの欲求5段階と5S活動
マズローの欲求段階説は前にもこのブログで触れました。
その時は中小企業診断士試験で出題される観点で説明しました。
今回は実務につなげて説明します。
マズローは、20世紀中盤の心理学者です。
彼は人間の欲求を5段階に分類しました。
(1) 食欲や性欲、睡眠などの生理的な欲求
(2) 住にかかわる安全の欲求
(3) 所属や友人を求める社会への欲求
(4) 他者から認められたいという自我の欲求
(5) 成長をしたいという自己実現の欲求
欲求段階説では、下位の欲求が満たされると関心がなくなり、次の段階の欲求へ移るとされています。
5S活動を実行することで、下位の欲求が満たされていきます。
活動が浸透することで、一番高い欲求である「自己実現の欲求」へと押し上げていきます。
例えば、5S活動によって整理・整頓が進むと、工場や職場がキレイになります。
不要なものがなくなることで、作業がより安全になります。
これは(2)の安全の欲求を満たします。
また、組織的に5S活動を進めていくにはメンバー間のコミュニケーションが必要です。
私は5S活動の真の目的は組織作りと位置付けています。
5S活動は新人からベテランまで平等に参加することができるので、コミュニケーションを取る仕組みとして最適です。
誰しも職場の人間関係を良くしたいという思いがあります。
そして良好な人間関係を構築できると、(3)の社会への欲求を満たします。
更に5S活動が成功すると、上司から認められます。
キレイな職場環境になれば、周りからも感謝されます。
これは(4)の承認の欲求ですね(^^)
集団の仲間として認められたい、他人から愛されたい(必要とされたい)という感情です。
5S活動に参加して「○○さんはいつも掃除に熱心だね」などと認められると、一層、承認の欲求を満たすことになります。
こうした欲求が満たされると、さらに、自分の可能性を求めるようになります。
これは最後の(5)の自己実現の欲求につながります。
「活動をもっと有効なものにしたい」という自発的な行動を促進します。
ここまでくると5S活動から一歩進んで、生産性の向上といった改善活動へと発展していきます。
5S活動はみんなの欲求を満たすツール
今回はマズローの欲求5段階説を交えて、5S活動の有効性を説明しました。
収納のよいアイデアを出す、仕事がしやすくなる置き方を考える、といったことは、役職や社歴、雇用区分にかかわらずできることです。
ある会社では、パートさんが伝票の保管をしやすくするため、ビニール製の透明なレターポケットを使ってはどうだろうかと提案をしました。
伝票を分類し、しかも伝票の中身が見やすく、取り出しやすい素晴らしいアイデアであることに、仲間からは大絶賛されたそうです。
その時のパートさんの気持ちは、ものすごく嬉しいものだったに違いありません。
日常の業務改善(生産性の向上や品質向上、新規顧客開拓)というテーマでは、このようにパートさんが革新的なアイデアを出し、認められることは難しいですが、5Sならば簡単にできるのです。
こんな出来事が、一人ひとりの従業員の心の中で次々に起こるとしたら、組織はきっと変わっていきます!
5Sは、社長だろうが部長だろうが社員だろうが、営業だろうが製造だろうが、男性だろうが女性だろうが、正社員だろうがパートだろうが、誰でも等しく取り組める活動です。
つまり、「みんながやることに、自分も参加する」という構図を作りやすいのです。
組織的な活動を成功させるためには、メンバーをいかに巻き込むかが重要です。
個人のリーダーシップやモチベーションだけで活動を進めようとすると、継続することが難しいです。
活動のセクションを分けて、どのような活動が必要かを解説しています。
うまく活用して組織活性化につなげてください(^^)