こんにちは!中小企業診断士のカズユキです。
私は中小企業診断士の資格を活かして未経験で40歳から経営コンサルタントに転職しました。
いろんな実務を経験させていただいて、ブログで中小企業診断士がどのように活躍しているのかを発信しています。
今回は中小企業診断士が知っておきべき内容として「ものづくり補助金」について解説します。
「ものづくり補助金」とは
ものづくり補助金とは中小企業の設備投資を資金面で援助してくれるものです。
正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」です。
この補助金は単なる設備投資の応援ではありませんので、「機会が古くなっているから、新しい設備が欲しい」だけでは補助金をもらうことはできません。
この補助金には目的があります。
それは
「自社の強みと投資する設備・機器を組み合わせて、革新的なものづくりを応援する」
このような目的があります。
「中小企業が革新的なものづくりができるの!?」
と思われる方もいますが、革新的は「世界初」「日本初」でなくても良いです。
「○○県では珍しい」ぐらいの感じで良いので、ハードルはそこまで高くありません。
対象となるのは大きく分けると4パターンです。
- 新製品開発
- 新しい生産方式導入
- 新サービス開発
- サービスの新しい提供方法導入
ものづくり補助金と聞くと、製造業のものづくりがイメージとして浮かびますが、この補助金を利用している会社の業種は幅広いです。
サービスの提供も対象になっているところがポイントですね(^^)
採択されている企業を見ると、建設・建築業や医療を含めたサービス業といった業種も採択されています。
資金の半分以上を応援
ものづくり補助金では、補助額というのが設定されています。
通常は1/2ですが、枠によっては2/3になることもあります。
また補助額は上限が設定されています。
ものづくり補助金の場合は通常枠の最高補助額が1,000万円です。
これも枠によっては最高3,000万円もあります。
これだけ支援してくれるのは中小企業にとっては非常に大きいです。
ただし補助金がもらえるのは後からなので、一旦は建て替えができるように資金を準備する必要があります。
補助金を受け取ってから設備・機器を購入できるわけではありませんのでご注意ください。
申請は電子申請(Jグランツ)でする
ものづくり補助金の申請はJグランツで行います。
https://www.jgrants-portal.go.jp/
Jグランツとはデジタル庁が運営する補助金の電子申請システムです。
以前の紙の申請に比べると、24時間365日手続きができるようになったので便利です。
まあ締め切りに申請が重なってシステムダウンを起こすこともありますが(^^;)
Jグランツを利用するためには「GビスID」を取得する必要があります。
GビスIDの取得は2週間程度かかります。
実はけっこう時間がかかるんですよね(^^;)
補助金の申請を考えている会社の相談を受けた場合、まず「GビスID」を取得しているか必ず確認してください。
申請する時に提出するものは?
GビスIDが用意できれば、申請をすることができます。
次に疑問となるのが、
「申請はどんな書類関係が必要なの?」
です。
枠によって違いますが、最低限必要なところに絞ってお伝えします。
事業計画書
補助金の申請に必ずと言っていいほぼ必要になるのが「事業計画書」です。
事業計画書とは「事業の目的や目標が確実に遂行され、継続的に収益を出せる計画書」です。
簡単に言ってしまうと「儲けが出る考え」と言ってしまっても良いです。
事業計画書には、
- 具体的取組内容
- 将来の展望
- 数値目標等
このような内容をA4で10ページ程度にまとめます。
書き方は自由ですが、採点されるので公募要領似書いてある審査項目を参考にします。
文字だけでなく、わかりやすいよう図表もいれながらまとめていきます。
数値面においては、要件である付加価値額が年平均3%上げる必要があります。
付加価値額とは「営業利益+人件費+減価償却費」で計算されます。
補助金の付加価値額では、財務会計で学習する付加価値額よりも単純化されています。
よく登場しますので、覚えておいてください。
賃上げの誓約書
次に賃上げすることを従業員に約束する誓約書です。
補助金を申請する場合、賃上げをしなければなりません。
実はこれも要件としてあります。
基本要件として給与支給総額を年平均1.5%以上増加させる必要があります。
また、事業内最低賃金をその地域の最低賃金よりも+30円以上の水準にしなければなりません。
アルバイトやパートを多く雇っている事業所の場合、採択されても賃上げしなければならないので実質の補助額かなり減少します。
年1回はチェックされます。
やってなかったら最悪補助金を返還なんてこともありますので注意が必要です。
ここで疑問点、
「宣誓書なんてどうやって用意するの!?」
ってなりますよね(^^;)
直近の最低賃金と給与支給総額を明記し、それを引き上げる旨の誓約書を提出します。
決算書2期分
次に直近の財務状態を示す決算書が必要です。
直近2年間の貸借対照表・損益計算書等をPDF化して添付します。
また従業員数の確認資料も必要です。
法人の場合は「法人事業概況説明書の写し」、個人事業主の場合は「所得税青色申告書の写し」を添付してください。
採択のカギを握る「事業計画書」
補助金は助成金と違い、申請してももらえるわけではありません。
補助金は内容を審査されて、採択の可否が出ます。
採択される確率は、補助金の種類やタイミングによって前後しますが50%程度です。
ちなみに助成金の場合は条件を満たすと100%もらえます。
金額は補助金のほうが多い傾向があります。
採択は何で行われるか?
それは「事業計画書」の出来次第でしょう。
提出する書類から見ると、事業計画書以外で不採択になる理由は見当たりません。
いかに事業計画書が審査項目を満たしているかが重要です。
たまに提出書類に不備があったり、要件を満たしたなかったりして不採択になっている事例もあるみたいですが(^^;)
ポイントは「審査項目を満たしているか」です。
革新的で優位性の高い事業であったとしても、審査項目を満たしていなければ採択されません。
また補助金の目的の沿っていない計画書も採択されません。
例えば、審査項目に「課題を明確にしているか」「課題の解決方法が妥当か」といったものがあります。
たくさん文章や図表で事業にかける思いをアピールしたとしても、課題を設定してどうやって解決するのかを書いていないと採点されません。
こういった審査項目は「公募要領」に書いてあるのですが、あまり見ないで書いてしまっている事業者様が多いです。
公募要領に審査項目がしっかり書いていますので、それに合わせて書くようにしましょう。
まあこんな文字ばっかの公募要領を細かく見ている暇もないと思いますが(^^;)
少なくとも、概略版ぐらいは見ておくとよいでしょう。
この仕事をしていると、全く見ずに丸投げしようとする事業者様もいます。
せめて概略ぐらいは理解して欲しいですね。
それを理解していないと、コミュニケーションを取ることもできないので正直困ります。
事業計画書支援は中小企業診断士の成長を加速させる
今回はものづくり補助金について、簡単に説明しました。
ちなみにものづくり補助金総合サイト「公募要領」のページを紹介しておきます。
実務では補助金を申請したい事業者様の支援をすることがあります。
採択で一番重要な事業計画書を助言したり代筆したりします。
自分の専門分野ではない事業内容を理解するのは大変ですが、事業計画書作成は中小企業診断士の能力を向上させることができます。
例えば、事業内容を理解する必要があるので、事業者様にヒアリングをします。
限られた時間内に必要な情報を得なければならないので、ヒアリングの能力が上がります。
打ち合わせでは自分の考えをわかりやすく伝える必要があるので、プレゼン能力を必要とします。
また、事業計画書を作成する時にストーリーを考えて構成する必要があります。
- 事業者様の強みは何なのか?
- この事業のニーズや市場はあるのか?
- 事業を始めるために克服すべき課題は何なのか?
- この事業は他社よりも優位性が高いのか?
考えることが多いので、ロジカルシンキングを必要とします。
また、代わりに事業計画書を作成すれば文章能力も向上します。
中小企業診断士試験では一次試験の科目「中小企業経営・政策」で補助金を暗記するぐらいですが、実務として関わるとめちゃくちゃ勉強になります。
「中小企業診断士として成長するためにはどうすればよいですが?」ともし聞かれることがあれば、
間違いなく「事業計画書の支援」をおすすめします。
限られた時間内に、専門知識がない事業の計画書を書くのは骨が折れます(^^;)
しかいそれ以上に得るものが多いので、ぜひチャレンジしてみてください!
「事業計画書の作成方法を知りたい」という方は、私のノウハウをまとめたものを要しています。
有料ですが、実際の事業計画書をサンプルとして提供しています。
事業計画書の流れを知ることで、経営コンサルタントとして成長できますので参考にしてください。