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第10次「ものづくり補助金」変更点について|中小企業診断士が知っておきべき情報

投稿日:2022年3月28日 更新日:

こんにちは!中小企業診断士のカズユキです。

ものづくり補助金が通年公募となり、年中支援の話が来るようになりました。

今回の第10次締切分については、大きな変更点があります。

今回は変更点をまとめていきます。

「ものづくり補助金」って何?って方は以前のブログに概要を書いています。

そちらをまず参考にして下さい。

変更点①従業員規模

従業員数に応じて、補助額の上限が細かく設定されるようになりました。

これまでは従業員数に限らず通常枠は1,000万円でした。

第10次からは従業員数が多いほどに補助額の上限が優遇されます。

具体的には下記の表を参考にしてください。

従業員数 第9次まで 第10次
5人以下 1,000万円 750万円
6~20人以下 1,000万円
21人以上 1,250万円

従業員が多いほど賃上げの要件が重く、より多い付加価値額が必要です。

今回の変更はそれを反映した形です。

従業員数は「常時使用する従業員」が該当します。

これにはパート、アルバイト、派遣社員、契約社員等も含まれます。

 

変更点②補助対象事業者の見直し・拡充

変更の2つ目は「補助対象事業者の見直し・拡充」です。

具体的には「特定事業者を対象として拡大したこと」と「再生事業者への補助率アップ」です。

特定事業者を対象として拡大

特定事業者は中小企業よりも規模が大きい事業者を指します。

つまりこれまで対象でなかった大企業も一部ですが補助対象事業者になります。

対象の要件としては2つあります。

「従業員数」と「資本金」です。

従業員数は中小企業の定義のように、業種によって上限数に違いがあります。

下記図表を参考にしてください。

業種 常時従業員数
製造業、建設業、運輸業 500人
卸売業 400人
サービス業又は小売業(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く) 300人
その他の業種(上記以外) 500人

資本金は10億円未満です。

その他の条件で特定事業者に該当することもあります。

詳しくは公募要領を参考にしてください。

これにより、これまでよりも対象の事業者が広がりました。

基本的に規模の小さい会社は、補助金の申請にかけるリソースが少ないので、大きな企業がライバルとして参入するのはイヤですね(^^;)

再生事業者への補助率アップ

再生事業者とは「経営が危うく、中小企業再生支援協議会等から支援を受けて再生計画を策定している事業者のこと」です。

現在再生計画を策定中か応募締め切り日から3年以内なら過去に策定して再生計画が成立したものでも構わないとのことです。

再生事業者は補助率が2/3にアップします。

 

従業員数が6名以上の会社を例に実際の金額で考えてみましょう。

通常枠(補助率1/2)であれば1,500万円の投資金額であれば、補助額は750万円です。

しかし再生事業者であれば同じ投資額でも1,000万円補助を受けることができます。

同じ投資額でも250万円違いますので、該当するのであればぜひ活用したいところです。

ちなみにですが、小規模事業者は通常枠でも補助率が2/3です。

小規模事業者に該当するのであれば、わざわざ再生事業者に該当しなくても良いです。

 

再生事業者に認められるためには、「再生事業者に係る確認書」を提出する必要があります。

「確認書」は、事業再生支援を受けた支援機関等が発行してくれるケースがほとんどです。

支援を受けた支援機関等へ連絡して発行を依頼してください。

しかし、補助金を活用すると採択までに2か月程度時間がかかるので、再生事業者の計画を進めるスピードとして大丈夫かな・・・なんて思います(^^;)

再生事業者の細かい定義については「公募要領の別紙4」を参考にしてください。

 

変更点③3つの新枠を創設

3つめは新しい枠が増えました。

これまでは「通常枠」と「グローバル展開型」の2種類でしたが、「回復型賃上げ・雇用拡大枠」「デジタル枠」「グリーン枠」が追加されました。

かなり複雑になってきたので、それぞれの枠の補助額と補助率を一覧にします。

カテゴリ 補助額 補助率
通常枠 750万円~1,250万円 1/2(小規模事業者は2/3)
回復型賃上げ・雇用拡大枠 750万円~1,250万円 2/3
デジタル枠 750万円~1,250万円 2/3
グリーン枠 1,000万円~2,000万円 2/3
グローバル展開型 3,000万円 1/2(小規模事業者は2/3)

新しい枠について、もう少し詳しく見ていきます。

回復型賃上げ・雇用拡大枠

回復型賃上げ・雇用拡大枠では事業の業況が厳しい中でも賃上げや雇用拡大を推進しようとする事業者を優遇する枠です。

補助額は通常枠と同じですが、補助率が2/3になっています。

つまり「儲かっていない会社が補助金に挑戦するなら優遇します」ということです。

そもそも、ものづくり補助金の要件には以下のような賃上げを必要とします。

  • 給与支給総額を年率平均1.5%以上増加
  • 事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上の水準にする

賃上げ要件は、通常枠においても満たさなければなりません。

最低賃金に近いパートやアルバイトをたくさん雇っている会社は重荷になるので、業況が良くない事業者さんは補助金への挑戦が億劫になっていました。

今回の新枠は「それでも頑張って補助金にトライしようとする事業者を優遇する制度」です。

つまり儲けが出ていないことを証明すれば、この枠に該当します。

更なる賃上げや雇用の拡大を求めているわけではありませんので、ご安心ください(^^)

 

この枠を適応されるためには、所得がないことを証明する必要があります。

もっと具体的に言うと「課税所得の状況を示す確定申告書類」が必要です。

応募締切時点の前年度の事業年度の課税所得がゼロであれば、この枠に該当します。

ただし常時使用する従業員がいる事業者に限ります。

ちなみに、採択後でも賃上げ要件等を達成できないと補助金を返還する必要がありますのでご注意ください。

 

デジタル枠

デジタル枠は「IT化」をする事業者への支援を優遇するものです。

グリーン枠もですが、国の大きな方針に寄与する事業者を優遇することはこれまでの補助金にもありました。

この枠に該当するには、事業内容が以下の2つのどちらかに該当する必要があります。

①DX(デジタルトランスフォーメーション)に資する革新的な製品・サービス開発

②デジタル技術を活用した生産プロセス・サービス提供方法の改善による生産性向上

これらに取り組むために必要な設備・システム投資等を支援します。

この条件はどちらかで良いです。

 

更に要件が2つあります。

  • DX推進の自己診断結果を提出
  • SECURITY ACTIONの宣言

これらを実施している独立行政法人情報処理推進機構(IPA)を通じて行います。

いずれも「認定」ではなく「提出」や「宣言」なので、出せばよいという条件です。

よって条件をクリアするのは、それほど難しくないでしょう。

 

グリーン枠

グリーン枠では、温室効果ガスの排出削減等に取り組む事業者を支援します。

デジタル枠と並んで国のカーボンニュートラルに寄与する取り組みを応援する内容ですね。

この要件を満たすには、事業内容が以下の取り組みに該当する必要があります。

①温室効果ガスの排出削減に資する革新的な製品・サービスの開発

②炭素生産性向上を伴う生産プロセス・サービス提供の方法の改善

更に必要なことが2つあります。

  • 炭素生産性を年率平均1%以上増加する事業
  • これまで実施してきた温室効果ガス排出削減の取組の有無を示す

これはデジタル枠よりも難しい内容ですね(^^;)

炭素生産性は計算方法が【様式2】に用意されています。

電力や燃料をどれくらい使用したかがわかれば計算ができます。

温室効果ガス削減の取り組みは有無を示すとのことなので、やっていなければ該当しないというわけではなさそうですね。

既に取り組んでいるほうが印象は良さそうですが(^^;)

 

第10次の公募要領についてはこちらからどうぞ

私は中小企業診断士として、補助金で必要な事業計画書作成の支援をしていますので、公募要領は読んでいます。

まあ細かいところは、面倒なのでしっかりとは読んでいませんが(^^;)

もし事業計画書作成のお手伝いをしたいと考えている場合は、一通り読んでおかないと対応できないです。

また補助金の活用を考えている事業者様であれば、概略版で十分です。

最後に私からのお願いがあります。

コンサルタントに依頼する場合であっても、丸投げはしないでください(^^;)

公募要領の概略版すら読まずに、依頼されても困ることが多いです。

打ち合わせで公募要領の基本的な内容を説明していたら時間が足りません。

申請をするなら当事者意識を持っていただけると、こちらもモチベーションが高くなります。

どうぞよろしくお願いいたしますm(__)m

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