企業経営理論

組織の設計原則(企業経営理論)

投稿日:2020年11月18日 更新日:

こんにちは!中小企業診断士のカズユキです。

前回に続いて組織について解説します。

 

組織では仕事を分業して目的を達成していきます。

分業すると短時間で効率よく仕事を行うことができます。

効率よく行うことで、利益を生み出します。

 

そこで大事になってくるのは「分業した仕事をまとめること」です。

それぞれが行っている仕事に一貫性が出るように「すり合わせ」が必要です。

調整するって感じですね。

営業部が取ってきた仕事を製造部が製造して販売する、そして売掛を請求するといった一連の仕事の流れがあります。

営業の注文と違う製品を製造したり数量を間違えたり、納期を勘違いすると信用を失います。

更に見積金額と請求金額にずれがあろうものなら、下手をすれば二度と注文されません。

 

このように組織では「分業」と「調整」が必要です。

組織を設計する上で5つの設計原則がありますのでご紹介します。

 

組織の設計原則とは

では5つの設計原則について解説します。

 

以下の5つで構成されます。

  • 専門性の原則
  • 権限・責任一致の法則
  • 統制範囲の原則(スパンオブコントロール)
  • 命令一元化の原則
  • 例外の原則(権限移譲の法則)

けっこう有名なので、覚えておきましょう。

中小企業診断士試験でも頻繁に出題されるので、知識をインプットした後に過去問でアウトプットしていきましょう!

専門性の原則

専門性の原則では「それぞれ仕事を分業して専門性を高めていく」ということです。

先ほども触れましたが、会社にはいろんな部門があります。

「営業」では客先に訪問して仕事を受託します。また場合によっては売掛の代金を回収します。

「製造」では注文された製品の品質や納期を守り、より原価低減を目指します。

「購買」では品質・コスト・数量を見極めながら、必要な材料を購入します。

それぞれが自分の仕事に専念することで習熟度が早く高まります。

分業化をすることで効率を上げることができます。

 

権限・責任一致の法則

権限・責任一致の原則ではそのままの意味で、「権限と責任は同じでなければならない」ということです。

これが崩れるとモチベーションが大きく下がってしまいます。

例えば権限>責任の場合は、

責任が軽いわりに権限が大きいので「無責任な行動を行ってしまい、仕事に悪影響が出る」可能性が考えられます。

 

逆に権限<責任の場合は、

権限がないのに責任を押し付けられている状態です。

自分で仕事の進め方を決めることができないのに、成果の責任を取らされると・・・もうやってらんない!っ感じですよね(>_<)

 

このように権限と責任は釣り合うように設計しなければなりません。

 

統制範囲の原則(スパンオブコントロール)

統制範囲の原則は「スパンオブコントロール」ともいわれます。

英語が出たときは意味を理解しておきましょう

スパン:幅

コントロール:支配

英語の意味を解きほぐしていくと、わざわざ覚えなくてもすぐにわかります。

 

これは「一人の管理者が管理できる範囲は決まっている」ということです。

あまりにも管理する人数が多いと、管理することが難しくなり組織の生産性が低下します。

ルールを守ることができなくなりミスが増えたり、時間がかかったり、安全が確保できなかったりします。

 

例えば評価者が評価をするときに見ることができる人数が5~6名と言われています。

パートやアルバイトなど、繰り返しの仕事であれば10人程度は見ることができます。

 

また現場のオペレーションでは最大20人程度は見ることができると言われています。

管理者の力量にも左右されますけどね(^^;)

 

それ以上の人数を管理しなければならない場合は、組織を階層化して一人が管理する人数を調整します。

統制範囲の原則では。統制できる人数を考えて組織を設計します。

 

命令一元化の原則

命令一元化の原則では、「指示を受けるのは一人の上司から」という原則です。

これを行うことで指揮命令系統が明確になります。

もし二人の上司が存在するようなことになるとどうでしょうか?

「あの人とこの人とで言っていることが違う」

「どっちの命令を聞いたらいいのか?」

ということが発生します。

 

考える無駄が発生します。

命令系統が一元化されていると、こういったことがないので効率が良いです。

メンバーのストレスもありません。

現場ではたまに「ツーボス」が見受けられて混乱することがあります。

そうなると仕事の品質がばらついてしまってクレームにもつながってしまいます。

 

後から出てくる「マトリックス組織」では、ツーボスシステムになることがあります。

この場合においても、どちらの命令を優先させるのかを決めておく必要があります。

 

例外の原則(権限移譲の法則)

例外の原則は「繰り返しの仕事は作業者に任せて、管理者は例外的な意思決定をすること」です。

たまに見受けられますが、日常的な仕事も責任者が一緒になってやっていることがあります。

一見すると部下にやさしい協力的な上司ですが、組織的な観点からするとそうでもありません。

もしかすると、例外的な意思決定から逃げるための口実になっていろかもです。

 

日常業務に忙殺されると重要な意思決定ができません。

決断が遅れると大きな損失を生んでしまいます。

 

これは管理者だけでなく経営者にも言えることです。

従業員から見ると社長は、

「いつも暇そうにしている」

と思うかもしれません。

 

しかし重要な意思決定をするときに、忙しいと決断を誤る可能性があります。

ある程度余裕を持って考えて意思決定をしなければなりません。

だから社長は日常業務はしなくて良いです。

 

ある程度繰り返しの業務は管理者に任せてください。

そして管理者も繰り返しの作業は作業者に任せてください。

そうしないと本当に必要な仕事がおろそかになってしまいます(>_<)

 

例外の原則だと意味を覚えることが難しいですね(^^;)

権限移譲の原則で覚えたほうが良いですが、試験対策なら例外の原則で意味が分かるようにしておきましょう(^^)

まとめ

こんかいは「組織の設計原則」について解説しました。

内容をまとめると、

  • 組織の設計原則は5つ
  • 専門性の原則は「それぞれの道を極めよ」ということ
  • 権限・責任一致の法則は「権限と責任がずれるとやる気ダウン」ということ
  • 統制範囲の原則(スパンオブコントロール)は「管理できる範囲は限界アリ」ということ
  • 命令一元化の原則は「ボスは一人」ということ
  • 例外の原則(権限移譲の法則)は「日常業務は部下に任せて例外対応に備える」ということ

こんな感じでした(^^)

良く出題されるので、覚えてください!

丸暗記しなくても意味が分かれば大丈夫です。

何度も言いますが、一つのテーマを丸暗記できるぐらい繰り返していると、試験範囲をカバーできませんので(^^;)

最後に

組織は非常に奥深いです。

組織論だけで論文が書けます。

ただ、診断士試験では深堀すると合格が難しいです。

なるべく浅く広くを意識して勉強してください。

「まだあんまり理解していないので、もうちょっとだけテキスト読んでおきたい」

と思うことがあります。

 

でもちょっと後ろ髪惹かれるくらいでちょうどいいです。

一周で知識は定着しません。

たとえ深堀しても、次に過去問をやったときには忘れてしまっていることがあります。

中には中途半端に覚えていて間違えることもあります。

とりあえず一周するまでは、どんどん先に進んでいきましょう!

 

 

すでに一周して過去問に取り掛かっている人は、間違えたところや正解だったけど知識があいまいだったところを復習していきましょう。

過去問完全マスターで二週くらいやれば合格できるレベルに達していますよ(^^)

私の場合はこんな感じでした。

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量は半端ないですが(^^;)

それでも毎日ちょっとずつ積み重ねれば、無理なことはありませんので頑張りましょう!

 

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