財務・会計

キャッシュフロー計算書の概要について(財務・会計)

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こんにちは中小企業診断士のカズユキです。

今回は中小企業診断士の一次試験・二次試験共に重要なテーマ「キャッシュフロー計算書」について解説します。

 

試験重要度 ★★★★★

キャッシュフローは一次試験の財務・会計や二次試験の事例Ⅳにおいても頻繁に出題されます。

キャッシュフロー計算書は複雑ですが、手順は決まっています。

ですので、まずは解説で手順を学んだら問題を解いてみて下さい。

一次試験の問題であれば、それほど難しくはありません。

 

キャッシュフローとは?

キャッシュフロー計算書は「お金の流れを表す財務諸表のこと」です。

  • cash:お金
  • flow:流れ

訳せばそのまんまですね(^^)

 

「それなら貸借対照表や損益計算書でもわかるんじゃないの?」

と思いますよね。

 

たしかに貸借対照表があれば、今現在の資産状況がわかります。

また、損益計算書があれば1年間の活動結果を見ることができます。

しかし、貸借対照表ではどのような活動の結果で増減したかまでは見ることができません。

 

一方で損益計算書で表示される利益は、実際にお金が入金されているとは限りません。

これは、損益計算書が「発生主義会計」だからです。

例えば、商品を販売すれば売上が計上されます。

しかし企業間取引は商品・サービスを先に提供して代金は後払いという「掛取引」が基本です。

よって売掛金を回収するまではキャッシュは入ってきません。

また、工場の設備を購入すればその時点でキャッシュは大量に使います。

しかし会計上の費用は毎期に渡って減価償却費として計上されます。

このとき、減価償却の方法によって毎期の費用は変わってきます。

 

このように貸借対照表の資産状況と損益計算書の利益は、お金の流れを正確には表していません。

当たり前ですが、キャッシュが無くなれば企業は存続することができません。

昔からの言葉で「勘定合って銭足らず」と言います。

利益が出ていてもキャッシュが無くて倒産してしまう場合があります。

いわゆる「黒字倒産」です。

例えば、売上が急成長している会社があったとします。

今後も商品が売れることを見越して、たくさん仕入れました。

しかしキャッシュの管理ができておらず、仕入の代金を支払う時に手元に現金がほとんど残っていませんでした。

このようなケースで倒産する会社もあります。

キャッシュ・フロー計算書は、まさに現金主義で作成します。

つまり、主観が入らない現金の増減を表示することにより、企業の実態を正確に把握するのに役立ちます。

日本では、2000 3 月期から上場企業はキャッシュ・フロー計算書を作成するのが義務となっています。

 

どこまでがキャッシュ(お金)なのか?

キャッシュフロー計算書がお金の流れを見る財務諸表であることはわかったと思います。

ここで一つの疑問があります。

「どこまでがお金なの?」

です。

手元にある現金だけなのか、預金はどうなるのか、株はどうなのか・・・

どこで線を引くのか基準がないと個人によって変わってしまいます。

ですのでここでキャッシュ・フロー計算書で扱う「キャッシュ」の範囲を確認して目線を合わせておきます。

キャッシュ・フロー計算書の「キャッシュ」は、いつでも引き出せるお金のことを指します。

具体的には

  • 現金
  • 現金同等物

のことです。

 

まず「現金」ですが、手許現金だけでなく当座預金、普通預金などの預金も含まれます。

一方で定期預金は「現金」に含まれません。

いつでも引き出すことのできるキャッシュが
「現金」と考えるとよいです。

 

現金同等物は、「元本が保証されていて、3ヶ月以内に現金化できる」というのが要件です。

「現金同等物」は、容易に換金可能で、元本がほぼ保証される短期投資を指します。

短期投資とは、具体的には 3 ヶ月以内に現金化できるものとなります。

例えば、

  • 定期預金
  • 譲渡性預金
  • コマーシャルペーパー

などのうち、満期が 3 ヶ月以内のものが「現金同等物」となります。

ですので来月で満期になる定期預金でも6 ヶ月定期預金の場合は、「現金同等物」にはなりません。

ちょっとややこしいですね(^^;)

取得した日から満期までの期間が 3 ヶ月以内であることが「現金同等物」の基準です。

ちなみに譲渡性預金とは「市場で譲渡が可能な定期預金」です。

コマーシャルペーパーとは「企業が資金調達をするために発行する短期の約束手形のこと」です。

 

キャッシュ・フロー計算書は「営業」「投資」「財務」の3構造

キャッシュ・フロー計算書の全体的な構造を解説します。

キャッシュ・フロー計算書では、事業年度である1年間のキャッシュのインとアウト、つまり増減を表します。

キャッシュの増減は 大きく3 つの活動に分けられます。

この 3 つの活動とは

  • 営業活動
  • 投資活動
  • 財務活動

です。

営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動によるキャッシュ・フローは「企業の本業である、営業活動から得られたキャッシュの増減」を表します。

営業活動は、商品を仕入れて販売するような活動です。つまり企業の本業で得たキャッシュを表します。

 

投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動によるキャッシュ・フローは、企業が将来成長するために投資したキャッシュの増減を表します。

投資活動は、営業活動で得たキャッシュを元に、設備投資したり、関係会社へ投資したりするような活動です。

 

財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動によるキャッシュ・フローは、資金の調達・返済によるキャッシュの増減を表します。

財務活動は、営業活動や投資活動を支えるために、投資家や金融機関からキャッシュを調達したり、逆に返済するような活動です。

 

そして、この 3 つの活動のキャッシュ・フローを合計すると、全体のキャッシュの増減がわかります。

 

キャッシュフローの具体例

キャッシュ・フロー計算書の具体例を挙げてみます。

 

これは一般的に使用する「間接法」という手法を用いたキャッシュフロー計算書です。

中身については次回以降で詳しく解説していきます。

 

一旦注目してほしい箇所は「Ⅳ、Ⅴ、Ⅵ」の部分です。

下から 3 行目に「Ⅳ現金及び現金同等物の増加額」という項目があります。

これが、3 つの活動のキャッシュ・フローを合計した1年間でどれだけキャッシュが増えたのか、減ったのかを表しています。

その下の行である「Ⅴ現金及び現金同等物の期首残高」は、事業年度の期首におけるキャッシュの残高です。

一番下の行である「Ⅵ現金及び現金同等物の期末残高」は、事業年度の期末におけるキャッシュの残高です。

これらの残高は貸借対照表の「現金及び預金」の残高と同じになります。

計算する時に、残高と一致しなければ間違っているということです。

 

今回はここまでの解説で終わります。

キャッシュフロー計算書は中小企業診断士試験においてかなり重要なので、何回かに分けて詳しく解説をします。

次回は3つのキャッシュ・フローの内容を詳しく解説します。

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