企業経営理論

報酬について(企業経営理論)

投稿日:2020年12月6日 更新日:

こんにちは!中小企業診断士のカズユキです。

ここ最近は人的管理について解説しております。

私も実務で関わることが多いので、じっくり研究したいところです。

 

今回は特に皆さん興味がある「報酬」についてです。

報酬では会社が得た利益を従業員に分配します。

報酬は従業員に強い動機付けを行うことができます。

最近は非金銭的な動機づけに注目が集まっていますが、報酬が得られないと元も子もありませんね(^^)

 

しかし報酬は簡単に高くすることはできません。

会社の収益以上に報酬を上げることはできません。

この限られた資源をどのように分配するか、適切な仕組みを作っておかなくてはなりません。

 

給与の詳細

給与はさまざまな要素から成り立っています。

給与明細にいろいろ載っていますよね(^^)

それらを少し紹介します。

年齢給

年齢給は年齢が上がるにつれてもらえる額が上昇します。

同じ要素として「勤続給」もあります。

勤続給は勤続年数が上がると貰える額が上昇します。

 

ただし勤続給の場合、中途採用の方が不利になりやすいです。

その場合は年齢給にしておくと、中途採用でもある程度の賃金を確保することができます。

 

職能給

職能給は仕事の習熟などによって昇給します。

日本では職能資格制度において職能資格によって支給額が決定します。

仕事の能力に対して給与が支払われるという、日本企業独特のものです。

 

職務給

職務給は仕事の内容で支払われる給与です。

当然職務の難易度が高いほど、高い賃金が支払われます。

欧米では職務給が一般的です。

日本では一人であれもこれも担当することが多いですが、欧米ではきっちり担当する仕事が分かれています。

そして担当する仕事には賃金が決められています。

職務給は日本においても導入しようとしています。

しかし日本で導入するには、これまでの文化が違いますので、職務給に年齢給などをミックスした形が現実的です。

 

業績給(成果給)

業績給は成果主義の評価制度を基に支給額を決定します。

目標の達成度に応じて昇給額が決まります。

成果を出した従業員が高い賃金を得ることは自然なことですが、あまり行き過ぎるとモチベーションの低下を招きます。

内勤など、仕事の成果が見えにくい部署は業績給の判断が難しいです。

また研究開発など、すぐには成果に結びつかない部署とは相性が良くありません。

導入することでメリットがあるかどうかは、それぞれの会社によって違います。

 

手当について

手当についても解説します。

手当については会社がある程度任意に設定することができます。

ただし、法律上必ず支払わないといけないものも存在します。

必ず支払わないといけない手当と、任意の手当てについて例を挙げていきます。

 

必ず支払わなければならない手当

時間外手当(残業手当)・深夜労働手当・休日出勤手当

いわゆる残業ですね。

これらは支払い義務が発生します。

詳しい内容は別の機会に解説します。

 

会社が任意で支給する手当

役職手当・通勤手当・住宅手当・家族手当・資格手当・皆勤/精勤手当

役職手当は「課長」「部長」などの役職に就くと支払われます。

通勤手当は、交通機関を利用して出勤する代金に対して支払われます。

住宅手当は主に転勤等が多い会社で、住宅にかかり費用の一部を補填してくれます。

家族手当は扶養家族に対して支払われます。

資格手当は、仕事で必要なものや会社が求める資格に対して支払われます。

皆勤/精勤手当は、病欠などなく出勤した従業員に対して支払われます。

 

このようにいろんな手当がありますが、手当を適応するかはあくまで任意です。

ですので会社によって手当の内容は違います。

 

昇給について

給与は仕事の習熟や年齢・役割等で昇給します。

主には自動昇給や査定昇給があります。

そして査定と関係なく昇給するベースアップがあります。

自動昇給

自動昇給は年齢や勤続年数によって自動的に昇給します。

年齢や勤続年数が上がるにつれて習熟度が上がる考えです。

会社によっては「職能給」ともいいます。

仕事の成果によって賃金が決まるわけではないので、成果主義とは相いれない仕組みです。

日本では終身雇用制度が根強く、職能給との相性が良いです。

査定昇給

査定昇給は1年間の仕事の成果や行動などを評価して昇給額を決めます。

自動昇給と違って評価の結果によっては昇給額が異なります。

会社によっては面談を実施して、個人のアピールの場を設けます。

最近は終身雇用制度から少しずつ変化してきています。

ほとんどの会社が高い業績を上げたいと考えています。

そう考えれば貢献度の高い人に分配することは自然な流れです。

 

ベースアップ

ベースアップとは全社員が個人の評価とは関係なく昇給することです。

「ベア」といわれます。

よく春先などで大企業が「春闘」といって、企業側と労働者側が昇給額をどれくらいにするか争っています。

その時にベアがいくらになったかニュースになります。

 

自動昇給と似ていますが、自動昇給は会社が定めている賃金表に従って昇給させます。

ベースアップの場合は賃金表自体を改定します。

賃金表が書き換わるので、昇進や昇格をしなくても昇給するということです。

 

賞与について

賞与はその時の会社の収益や個人の評価によって支払われます。

ボーナスとよく言われます。

もはや生活給の一部と化していますが、給与と違い支給額が保証されているわけではありません。

あくまで利益が出ていることを前提として支払われますので、業績の状況によっては下げられたり、なくなったりします。

賞与の目的はこの部分にあります。

 

会社は人件費をある程度のところで抑えておきたいのですが、給与をいきなり減額することはできません。

そこで賞与の支給額を増減させて、人件費をコントロールします。

 

実際の支給額決定には基本給を基礎額として、平均支給月数と個人の評価を掛け算して決定していくことが多いです。

 

退職金について

退職金は長く勤めてくれた従業員への慰労を込めた目的で導入している会社が多いです。

しかし退職金は義務ではありませんので、会社によっては設定されていないこともあります。

 

退職金は給与の後払い要素もあります。

これは長く勤めることを良しとする、終身雇用制度を支える仕組みになっています。

 

あらかじめ退職金のためにお金を積み立てている会社もあります。

しかしこの退職金は会社にとっては負担が大きいです。

そのため、退職金の算定方法を見直す会社が増えています。

 

ポイント制退職金

ポイント退職金とは従業員のこれまでの勤続年数や会社への貢献などをポイント化します。

そしてポイントに単価をかけて退職金を算出します。

以前は基本給をベースに退職金を設定していましたが、長く勤めているだけで貢献が少ない人への退職金も高額になっていました。

この制度では会社への貢献度をポイント化できるので、どれだけ会社に貢献してくれたかによって算出することができます。

 

確定拠出型年金

確定拠出型年金とは

  • 企業や加入者が毎月一定の額を出し合って(拠出)自分で運用する
  • 運用次第によっては受け取れる額が変わってくる

といった感じです。

「日本型401K」と呼ばれています。

 

以前は確定給付型年金と言われるものが主流でした。

この給付型年金は、

  • 企業が支払った掛け金を金融機関が運用
  • 受け取れる年金額がある程度保証されている

といった感じです。

今までの確定給付企業年金は運用結果が悪くても退職金は一定額保証する必要がありました。

確定拠出型年金は運用成績によって額が異なるので、結果によって支給する額が異なります。

景気の見通しが悪く運用結果が芳しくなければ、支払いが少なくなります。

企業にとっては不景気の時に出ていくお金を抑えることができます。

 

その他報酬制度

その他の報酬制度についても解説します。

持株制度

持株制度とは、従業員が自社の株式を保有できる制度です。

毎月少しずつ積み立て自社株を購入できるような従業員持株制度などが挙げられます。

持株制度は従業員に自分の会社の株を持つことで、経営への参画意識を高める効果があります。

 

ストックオプション

ストックオプション制度は「決められた価格で株式を取得することができる権利」です。

これがなぜ報酬につながるのか?

例えばある価格(例えば500円)で株式を買うことができるストックオプションを従業員に付与するとします。

株価が上昇した場合(例えば1,000円)この権利を行使するとどうなるか。

この従業員は株式を500円で取得することができます。

この株式をすぐに売却すると1,000円ー500円=500円の差額利益を得ることができます。

 

従業員にストックオプションを付与することで、従業員側にも会社が業績を向上させたときのメリットが大きくなります。

優秀な人材を確保するための強い動機付けになります。

上場を目指しているベンチャー企業でよく使われます。

ただ株価が上昇しないとメリットはありません(^^;)

 

最後に

今回は報酬に関して解説いたしました。

 

報酬制度はとても大事なので、慎重に考えなくてはいけません。

従業員の動機づけに大きくかかわってきます。

適正な評価を賃金に反映させないと、優秀な人材のモチベーション低下を招きます。

 

賃金制度と評価制度を組み合わせて、動機づけをうまくおこなっていきましょう!

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