コンサル実務 人事制度

人事制度を構築する3つの制度②「評価制度」

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こんにちは!中小企業診断士のカズユキです。

前回から人事制度を構築する3要素である「等級制度」について解説しました。

 

等級制度は、役割に応じて社員のランクを分けます。

能力や成果が認められた結果、昇進や昇格にて上位等級に昇格していく制度です。

昇進や昇格は動機づけに影響を与えるので、人材活用と育成の観点からも重要です。

等級の見直しは一般的に、1年に1回行なわれます。

あらかじめ昇格条件を決めておくことで判断します。

 

今回は2つ目の「評価制度」について解説していきます。

 

評価制度とは

評価制度とは「従業員の働きぶりをある一定の基準を持って判定する制度」です。

判定された結果は処遇に反映されます。

一定の条件を満たすことで上の等級に昇格できます。

また評価が高い場合は昇給に影響を与えます。

 

評価と聞くと、マイナスなイメージを持っている方が多いです。

「評価されるのってなんかイヤ」

「うちの会社の評価は適正でない」

「そもそもどこを評価されているのかわからない」

なんて声をたくさん聞きます。

 

これは適正に運営できていないことが原因です。

単に評価のために評価制度を使用すると、働いている人のモチベーションを下げてしまいます。

 

また、評価をつける側もプレッシャーと戦っています。

「自分の評価で給料や処遇が決まってしまうなんて・・・」

「何をどうやって評価すればよいのかわからない」

「悪い評価をつけたら部下から責められそうで辛い」

人の評価をつけることは本当に大変です。

これは適正に評価するためのノウハウが不足しています。

評価シートだけ渡されて、評価に対する目線合わせや評価制度を実施する目的が共有できていないからです。

なぜ評価制度を実施するのか、評価する時に注視しなければならないことは何なのかを理解することで、評価制度が社内の活性化につながります。

そのためには「評価研修」をしっかり受けて臨む必要があります。

 

なぜ評価制度が必要か?

評価制度はなぜ必要なのでしょうか。

大きくは3つの目的があります。

 

ひとつは、あるべき人材像を社員に伝えることです。

評価項目や基準は、経営者が社員に対する期待を表しています。

社員もどんな働きをすれば評価されるのかは、非常に関心があることです。

当然評価が高くなると処遇が良くなるわけですからね。

しかし現実は評価制度を構築していない会社が多く、頑張っているけれども評価にリンクしているかわからず、不満を持っていることがあります。

また内容を一般的なものをコピペして作成して評価していることもあるので、経営者が社員に期待するものになっていません。

経営者側も社員が期待する働きを伝えないのは、もったいないです。

 

もうひとつは、人材育成への活用です。

評価によって「強みと弱み」や、「できていることとできていないこと」が明らかになります。

また自分ではできているつもりでも客観的には足りていなかったり、本人は自信がなくても十分能力を持っているようなこともあります。

このようなことを面談を通じて、目線を合わせていきます。

基本的には評価できる点を褒めて、改善点を少し伝える感じです。

出来ていない内容ばかり伝えると、自信を失ってしまったり、反感を買ったりします。

「3つ褒めて、1つ改善を促す」

ぐらいで十分です。

改善してほしい点も、ある程度絞って伝えます。

個人ごとに得意なことと苦手なことが異なります。

苦手なことを克服するのは、とてもエネルギーが必要です。

費用対効果も高くありません。

苦手なことは迷惑をかけない程度に改善してもらい、得意なことを伸ばすように育成していくのがポイントです。

 

最後に適材適所に社員を配置することです。

評価制度で判定し、面談を行うことで、その人が今の部署や仕事に適正なのかを把握することができます。

人は得意なことと苦手なことが存在します。

例えば、人と話すことが得意で営業に配属された方がいるとします。

しかし成績は振るわずに伸び悩んでいました。

そこで面談を実施することで、今の部署では実力を発揮できていないことを知ることができます。

その方は後方支援に回ることとなりました。

給料面は少し下がりましたが、細かい管理をしっかりしてくれるので、部署のミスが少なくなりました。

本人も自分の得意な面を仕事に活かすことができているので、以前と比べて明るさを取り戻しました。

 

このようにして会社が行動指針を示しているのですから、社員は評価項目を自分の目標にすればよいのです。

さらに、自分の弱点や不得意な部分を、会社の人材育成を活用して、補強すればよいのです。

 

評価制度は社員をふるいにかける制度ではありません。社員の成長を支援する制度です。

社員が成長することで、会社が発展していきます。

 

等級制度と評価制度の関係

前回の等級制度の構築と評価制度は関係性が深いです。

等級制度では、会社の役割に応じてランク分けします。

例えば下記のように、社歴や能力、役職に応じて等級を設定します。

評価制度ではどんな働きをして欲しいかを等級ごとに明らかにします。

役職がない「実務職」や、役職者である「管理職」の理想の姿をそれぞれ評価制度に組み込みます。

そうすることで構成で納得性の高い人事制度にすることができます。

もし等級に関わらず評価項目が一緒の場合はどうなるでしょうか?

一緒の評価項目であれば、社歴の長い人や役職者に有利に働いてしまいます。

社歴の浅い方はこれから徐々に会社に貢献できる力をつけていきますので、ベテランと同じ貢献は期待できません。

一律の評価内容では、そのような将来有望な人のモチベーションを下げてしまう恐れがあります。

一般的には、等級が低い人は働く意欲に代表される「行動」を重視して、等級が高くなると売上等に代表される「業績」を重視します。

このように評価制度を構築することで、公平性・納得性の高いものになります。

 

評価制度に「評価面談」は必要

私は評価制度で重要視しているのが「評価面談」です。

評価面談では、上司と部下が半年や一年間を振り返る場です。

評価制度は評価者が一方的に行なうものではありません。

評価者と被評価者の話し合いにより進められることが、重要です。

話し合いを行なう目的は以下の3点です。

 

第1点は、上司と部下の人間関係づくりです。

 

上司は部下に期待する役割を伝え、部下は上司の期待に応え、実行することを宣言します。

このようにして互いの信頼関係を基本として人間関係づくりが行なわれます。

 

第2点は、部下の動機づけです。

 

部下のヤル気はその達成感や、結果が認められることにより向上します。

上司は部下の結果を評価し、次につながる助言や指導を行なうとともに、部下のヤル気向上を支援します。

 

第3点は、評価の納得性を高めることです。

 

一方的に評価されることは、結果の良し悪しに関わらず不満につながります。

なぜ良いのか、なぜ悪いのかを説明しないと、納得しにくいものです。

ゆえに評価者は被評価者が納得するような根拠を提示して説明する必要があります。

 

以上のことを実践することにより、評価制度は人材育成として活用できるのです。

 

評価面談の注意点

次に評価を行ない、面接する時の注意点を3点述べます。

第1点は、評価者は評価項目を熟知した上で、日頃の部下の行動を観察しなければなりません。

評価前に慌てて行なうのであれば、正しい評価は望めません。評価期間を通じて行動を把握したいものです。

第2点は、良い点はほめて悪い点は改善を促します。

良い点と悪い点はバランスよく指摘したいものです。

第3点は、評価者は評価の根拠を示す材料を示さなければなりません。

特に評価者と被評価者の見解が異なる場合は、それを説明する材料がなければ、被評価者は納得せずに不満として残ります。

面接に望む前に準備したいものです。

以上の点を考慮して、評価制度を人材育成に活用するためにも、評価と面接を一体的に活用されることをお勧めします。

 

 

 

 

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