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事業再構築補助金の要件について

投稿日:2021年6月8日 更新日:

こんにちは!中小企業診断士のカズユキです。

最近は事業再構築補助金のことをブログに書いています。

今回は事業再構築補助金の補助対象者要件について解説します。

ここで紹介する要件を満たすことで、補助金の申請することができます。

 

ちなみに要件を満たしても申請ができるだけで、採択が約束されたわけではありません。

補助金の採択率は、高くても50%ぐらいなので厳しいです。

「お金がもらえる」と思って申請しようとすると、事業計画書を作成するのに挫折するでしょう。

かと言って専門家に丸投げはよしてくださいね(^^)

 

補助対象者の要件

補助対象者になるためには、要件を満たす必要があります。

要件はこんな感じのものがあります。

  • 事業再構築要件:定義に該当すること
  • 売上減少要件:売上が減少していること(緊急事態宣言枠は更なる減少が必要)
  • 認定支援機関要件:支援してもらっていること
  • 付加価値額要件:事業で付加価値額が増加すること
  • 事業再編等要件:中堅・大企業に成長すること(卒業枠のみ)
  • グローバル展開要件:グローバルな事業であること(グローバルV字回復枠のみ)

ざっと並べるとこのぐらいあります。

ちなみに事業再構築補助金の類型は4つあり、その枠特別の要件もあります。

どれがどの枠に該当するかを一覧にします。

 

各事業類型の要件

事業再構築補助金の累計は4つあります。

  • 通常枠
  • 卒業枠
  • グローバルV字回復枠
  • 緊急事態宣言枠

それぞれの累計で要件が少し違います。

これを一覧にしてみます。

「○」がついているところが求められる要件です。

通常枠 卒業枠 グローバルV字回復枠 緊急事態宣言枠
事業再構築要件
売上減少要件(10%減少)
売上減少要件(15%減少)
売上減少要件(30%減少)
認定支援機関要件
付加価値額要件(3.0%)
付加価値額要件(5.0%)
事業再編等要件
グローバル展開要件

 

このような感じで枠によって要件が少し違います。

同じ要件でも条件が違うものもあります。

グローバルV字回復枠はその名の通り、急回復するイメージなので売上減少要件が厳しめです。

また緊急事態宣言枠も売り上げ減少要件に30%以上があります。

飲食店やサービス業といった、感染症の影響をもろに受けた事業者を対象にしています。

では要件について一つずつ解説します。

 

事業再構築要件

最初に「事業再構築要件」ですが、公募要領に書いている内容を参考にします。

事業再構築指針に示す「事業再構築」の定義に該当する事業であること【事業再構築要件】

「事業再構築の定期とは何ぞや」と思います。

事業再構築指針に詳しく書いていますが、取り上げると長くなります。

詳しくは別の回でで書きたいと思いますが、一言で申し上げると、

「これまでと違ったことをして、新しい収益の柱を作る」

といった感じです。

指針には5つの方針がかかれています。

 

  • 新分野展開

(例)これまで作ってなかった新しい製品やサービスを開発する

  • 業種転換

製造業からサービス業に進出する

  • 業種転換

(例)飲食店からデリバリーに進出する

  • 業態転換

(例)直接サービスからオンラインサービスに切り替える

  • 事業再編

(例)企業を買収して新事業に進出する

事業再構築補助金に申請するためには、必ずこれらの要件を満たした計画でなければいけません。

 

売上減少要件

売上減少要件は「コロナの影響で売上が減少している」ということが要件です。

具体的にどれくらいの減少している必要があるかは、公募要領に記載されています。

2020 年 10 月以降の連続する 6 か月間のうち、任意の 3 か月の合計売上高が、コロナ以前(2019 年又は 2020 年 1 月~3 月)の同3か月の合計売上高と比較して 10%以上減少していること【売上高減少要件】

コロナ前とは「2019年1月から2020年3月」のことを指します。

コロナ後は「2020年10月以降」のことを指します。

連続する6か月のうち任意の3か月の売上合計を図で見てみましょう。

例えばこんな感じです。

2020年 2021年
11月 12月 1月 2月 3月 4月
売上高(万円) 100 150 120 90 80 110

連続する6か月を選び、そこから売上高の少ない月をピックアップします。

この例では2020年の11月と2021年の2月と3月です。

合計は270万円です。

 

では次にどこと比べて10%以上減少している必要があるかを図で示します。

2019年 2020年
11月 12月 1月 2月 3月 4月
売上高(万円) 120 160 120 100 90 80

比較する売上高は同月の売上高です。

例の場合は2019年11月、2020年2月と3月の合計額を比較します。

売上高の合計は310万円です。

約13%減少していますので、要件に合います。

ちなみに、1月から3月までは2019年から選択することもできます。

例えば2019年2月と11月と、2020年3月のような感じです。

同月であれば2019年1月から2020年3月まで自由に選択が可能です。

更に災害の影響で2019年の売上が減少している場合は2、例外的に2018年の売上と比較することもできます。

 

グローバルV字回復枠では15%の減少が要件になっています。

 

緊急事態宣言枠では追加の要件があります。

それが売上減少30%です。

公募要領にはこのように書かれています。

令和 3 年の国による緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛等による影響を受けたことにより、令和3年 1 月~6 月のいずれかの月の売上高が対前年又は前々年の同月比で 30%以上減少していること【売上高減少要件】

つまり、2021年の売上高と2019年か2020年の売上高を比較します。

どれかひと月でも前年or全前年の売上と比較して30%減少していればOKです。

近年はネット申請が多くなってきました。

そのため申請時に自動計算されるので、要件を満たしていなければ申請することができなくなっています。

 

認定支援機関要件

次は「認定支援機関要件」です。

公募要領にはこんな感じで書かれています。

事業計画を認定経営革新等支援機関と策定すること。

補助金額が 3,000 万円を超える案件は認定経営革新等支援機関及び金融機関(金融機関が認定経営革新等支援機関であれば当該金融機関のみ)と策定していること【認定支援機関要件】

「認定経営革新等支援機関って何?」

聞きなれない言葉なので説明します。

認定経営革新等支援機関とは、

「中小企業・小規模事業者が経営相談等を受けることができる、専門知識や実務経験が一定レベル以上の個人や団体に対し国から認定された機関のこと」

です。

約35,000の期間が認定されています。

税理士事務所や経営コンサルタント会社、中小企業診断士事務所、金融機関が該当します。

略して「経営支援機関」と呼ばれることが多いです。

認定支援機関はネット上で検索をかければ出てきます。

 

事業再構築補助金はものづくり補助金やIT導入補助金と比べても、金額が大きいのが特徴です。

そんな大きな設備投資を企業だけで作成することは難しいです。

専門の機関に相談することで、より実現的な計画を作成することができます。

 

また投資額が3,000万円を超える場合は、金融機関と事業計画を策定する必要があります。

金融機関が認定支援機関になっていることもあります。

その場合は、金融機関が協力すれば要件を満たします。

卒業枠やグローバルV字回復枠は投資額が大きいので、金融機関の支援が必須です。

 

ちなみに質問で「近所の支援機関じゃないとダメですか?」と聞かれますが、任意で選ぶことができます。

出来れば近所のほうが連携が取りやすいですけどね。

 

付加価値要件

付加価値額の要件では、事業を行うことで収益が向上する計画を立てる必要があります。

公募要領にはこう書かれています。

補助事業終了後 3~5 年で付加価値額の年率平均 3.0%以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均 3.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること【付加価値額要件】

※グローバルV字回復枠では5.0%以上の増加が必要

付加価値額とは?ってなりますよね(^^)

付加価値とは「企業が労働手段を用いて新たに付け加えた価値」です。

企業の生産性分析に用いられる指標の一つです。

単純に利益だけではなく、人や機械の費用も足されます。

つまり付加価値額は「営業利益+人件費+減価償却費」で計算します。

 

付加価値はいろんな算出方法があります。

実はもっと複雑に計算する必要があります。

補助金で使用する付加価値額はシンプルに設計してあります。

人件費は製造原価の「労務費」、販管費の「給与」などが該当します。

賞与や福利厚生費も含まれます。

 

ちなみに事業再構築補助金は電子申請なので、付加価値額が要件を満たさないと申請画面が進みません。

何とか付加価値額を満たすようにしなければなりません。

 

事業再編要件

事業再編等要件は卒業枠に設けられた要件です。

事業計画期間内に、事業再編、新規設備投資、グローバル展開のいずれかにより、資本金又は従業員を増やし、「2.補助対象事業者」に定める中小企業者等の定義から外れ、中堅・大企業等に成長すること【事業再編等要件】

卒業枠は事業を行って中小企業の枠から外れることが必要です。

中小企業の定義は資本金と従業員数があります。

この枠を両方とも超えることが条件です。

実際の数値は別で書きましたので下記を参考にしてください。

事業再構築補助金の対象者とは?

 

そして中小企業の枠から外れるプロセスについても指定があります。

下記の3つです。

  1. 事業再編
  2. 新規設備投資
  3. グローバル展開

事業再編は公募要領に具体的に書いてあります。

事業再編とは、会社法上の組織再編行為(合併、会社分割、株式交換、株式移転、事業譲渡)等を行い、新たな事業形態のもとに、新分野展開、事業転換、業種転換又は業態転換のいずれかを行うことをいう。

ざっくり言うとM&Aですね。

他社の事業を活用して新しい取り組みを行っていきます。

 

新規設備投資はこのように書いてあります。

新規設備投資とは、卒業枠による新たな施設、設備、装置又はプログラム等に対する投資であって、補助金額の上乗せ分の三分の二以上の金額を要するものをいいます。

???なんかわかりにくい文章ですね(^^;)

何度読んでも理解できなかったので、事務局に質問してみました。

「通常枠の限度6,000万円と卒業枠限度1億円の差額分である4,000万円から、2/3した2,666万円は設備投資して下さい」ということらしいです。

あんまり信じていませんが(ーー;)

正直事務局もあんまりわかってないですね。

 

仮に9,000万円の経費のうち、2,700万円が設備でそれ以外の6,300万円を販促費などの経費だったと場合、販促費がなぜこれだけかかっているのか説明する必要があります。

ですので、補助金額の2/3以上は固定資産への投資と考えたほうが良いかと思います。

 

グローバル展開はこの後の「グローバル展開要件」で説明します。

 

グローバル展開要件

最後にグローバル展開要件を説明します。

公募要領に書いてあるのは、

グローバル展開を果たす事業であること【グローバル展開要件】

説明が少ないですね(^^;)

もうちょっと読み進めると、詳しい内容が書いてありました。

ざっくり言うと「投資額の半分以上は海外向けにしてね」って感じです(^^)

具体的には4つの類型のいずれかを満たす必要があります。

①海外直接投資

投資額の半分以上を外国の支店や営業所、海外子会社にする

②海外市場開拓

海外の売上比率を50%以上にする事業

③インバウンド市場開拓

50%以上を外国人観光客をターゲットにしたものにする

④海外事業者との共同事業

外国法人との共同事業をする

グローバルV字回復枠ではこれら4つのどれかを満たす必要があります。

 

最後に

今回は事業再構築補助金の要件について解説しました。

要件のほとんどは、それほど難易度が高くありません。

売上減少要件は計算すればわかります。

認定支援機関要件は、メインバンクが該当している可能性が高いです。

付加価値要件は数値上で満たしておけばOKです。

まあ、付加価値を生まない事業計画は採択されないと思いますが(^^;)

 

問題は事業再構築要件ですね。

これは指針をしっかり読んで、要件を満たしていることを事業計画書に表現しなくてはいけません。

指針についてはしっかり解説したいので、別で詳しく書きたいです!

頑張って書きますので、また読んでください(^^)/

 

セミナー資料(無料ダウンロード特典)

私が以前実施したセミナーの内容をダウンロードできるようにしました。

事業再構築補助金とIT導入補助金について解説しています。

もしよければ参考にしてください。

事業計画書作成のポイントなんかも解説しています。

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