こんにちは!中小企業診断士のカズユキです。
今回は人事制度についてです。
私は実務で人事制度の構築を支援しています。
構築するときに、大事にしていることを紹介します。
従業員のやる気を高める制度か
私が人事制度を構築するときに大事にしているのは、
「社員さんのモチベーションを高める」
です。
「当たり前じゃん!」
ですよね(^^)
ただこれがそうでもなかったりします。
例えば助成金ありきで構築しようとすると、歪んでしまいます。
厚生労働省の助成金には「人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)」というのがありました。
※令和3年度から廃止になっています。
この助成金をもらおうと考えると、いろんな制約を受けます。
「何を目的に作っているんですか?」って感じですね。
コンサルティング費用を助成金で賄おうとしている会社もありました。
以前にもブログで書きましたが、条件が変に厳しい内容ですのでおすすめしていませんでした(^^;)
あとは「人件費が高いので抑えたい」といった要望もあります。
会社を経営する上で人件費のコントロールは必要です。
私も「人件費率を把握したうえで原資を決めてください」とお願いをしています。
まあ、経営者で原資を気にしていない人なんていませんが(^^)
しかし、費用を抑えることが前面に出てしまうと、社員のやる気を引き出す結果にはなりません。
従業員のやる気は、仕事の品質にも大きく関わります。
人件費を想定通りに抑えたとしても、
- お客さんの満足度は高くなったか?
- 売上高は向上したか?
- 生産性は良くなったか?
人件費をカットする方向で構築すると、こういった重要なことが達成できないことが多いです。
「目的」が従業員の方にとって魅力的か
最初に私が人事制度の構築をする上で確認しているのは「目的」です。
目的を明確にしないと、人事制度の方向性が定まりません。
人事制度は会社があるべき人材像を社員に示すことから始まります。
それに基づいて上司が部下を育成することにより、組織を支える人材が育ちます。
その人材が経営目標を達成することにより、業績が向上して、組織が成長します。
人事制度の役割は、このような好循環を実現することです。
ですので、決して従業員を優秀な順番で並べて給料を決定する目的ではないということです。
あくまで人事制度は人の育成を目的として構築します。
そして個人の頑張りや、それがもたらす会社への貢献を適正に給料に反映します。
人事制度の目的は従業員の皆さんにとって納得できるものでなければいけません。
やる気を高める3つのポイント
ではどうすればやる気を高める人事制度になるのでしょうか?
ポイントは3つです。
目的を共有する
まず第1に、上記で述べた人事制度の目的を全員で共有し、周知させることです。
人を評価することは簡単なことではありません。
制度を構築するのもかなりの時間を要します。
そんなにも苦労して作ろうとしている制度の目的を共有できていないなんてもったいないです(^^;)
その目的も「従業員のため」でないと、逆にモチベーションを下げてしまいます。
例えば、
- 従業員の序列を決めるため
- 給与や賞与決定のため
といった目的です。
もちろん評価制度には、こういった側面もあります。
しかし、あまり気分の良いものではありません。
評価する側もされる側もその目的を正しく理解しなければ、制度の運用は不可能です。
成長につながる制度を目指す
第2に、評価により達成感や自分の成長が感じられることが重要です。
評価は行っていますが、その結果を本人に知らせず、運用している組織もあります。
これだと「従業員の点数をつけるためだけ」になってしまいます。
何度も言いますが、評価制度は「人材育成」の観点で使用しなければなりません。
せっかく従業員に「うちの組織ではこのように働くのが良い」といったことを示すなら、もっと活かすべきです。
従業員の方が組織のあるべき人物像と一致していれば、大いに褒めてください。
逆に人物像とずれている場合は、どうすればよいか助言してください。
つまり評価結果が良くても悪くても本人に知らせなければなりません。
結果が良ければそれを認め、ほめることにより、本人のヤル気も向上します。
悪い場合でもなぜ悪かったのかを上司は部下に助言して、良くなるように支援します。
これらのことは評価の話し合いによって、上司から部下に伝えていきましょう。
経営者が率先垂範する
第3に、上記で述べたことを経営者が率先して実行することです。
中小企業の多くは経営者の独断で評価される場合があります。
経営者が全てを把握できる程度の組織であれば、自らが全員を評価することは良いことだと思います。
しかし20名以上の従業員がいる組織では、経営者一人ですべての行動を把握することは難しいです。
そのために評価制度を構築して、公正・公平な評価を目指します。
ただ、経営者がそれに関わらなくてはいけません。
ある程度の組織の大きさになった場合でも、自らが先頭に立って人材育成の観点で制度を運用すること重要です。
自らが責任を持って関わることで、評価制度が浸透します。
従業員の方たちも、経営者の行動を見ています。
無責任な行動をすると、従業員の気持ちが離れてしまします。
気持ちが離れると、離職につながります。
穴を埋めるために代わりの人材を入れようとすると、一人前に育てるまでに時間とコストが非常にかかります。
今いる人たちが継続して努めてもらうためにも、積極的にかかわっていきましょう(^^)
まとめ
以上をまとめると、やる気を高めるための人事制度とは、
組織全員が人事制度の目的を正しく理解した上で運用され、評価によって自分の達成感や成長が感じられることです。
そしてこれらのことを、経営者が先頭に立って実行することが求められています。
人事制度を構築する際には「従業員のやる気が高まるものか」を念頭に置いて下さい。
人件費率の上昇や人事制度構築にかかる費用など、出費は気になるところですが、この部分の投資を抑えようとするとかえって良くないことが起こります。
慎重に進めていってください(^^)