財務・会計

株主資本等変動計算書(財務・会計)

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こんにちは!中小企業診断士のカズユキです。

今回は株主資本等変動計算書について解説します。

 

株主資本等変動計算書とは

株主資本等変動計算書とは「貸借対照表の純資産の変動状況を詳細に伝えたもの」です。

損益計算書の純利益は配当や繰越利益剰余金の増減に影響します。

また資本金の増資を行うことで、純資産の金額が変動します。

こういった1年間の活動によって、純資産額の変動を表すのが「株主資本等変動計算書」です。

 

下図の貸借対照表を見ていただくと、赤線で囲んだ部分が「株主資本等変動計算書」の「当期末残高」と一致していることがわかります。

株主資本等変動計算書と貸借対照表の関係は理解いただけたかと思います。

次はどのような変動項目があるかを解説します。

 

前期末残高は「前期までの純資産構成」

株主資本等変動計算書には前期までの純資産額が「前期末残高」として表示されます。

ここから当期変動額を計算して、当期の残高を計算します。

 

当期変動額の構成

当期変動額の構成はいろいろあります。

  • 新株の発行
  • 剰余金の配当
  • 剰余金の配当による利益準備金積立
  • 当期純利益
  • 自己株式の処分
  • 株主資本以外の項目の当期変動額

これだけの項目があるので複雑ですが、完全に覚えなくても大丈夫です。

試験対策としては、表が読みにくいので、どの項目がどのように計算されているかに注目すればよいです。

新株の発行

新株の発行は「新規の株式を発行した時に発生する項目」です。

新株発行を行うと増資されますので、「資本金」か「資本準備金」に繰り入れられます。

 

剰余金の配当

剰余金の配当は「株主へ配当を行った時に発生する項目」です。

配当は通常「繰越利益剰余金」から行います。

配当を行うということは、会社からお金が無くなるので「マイナス」となります。

 

剰余金の配当による利益準備金積立

会社法では、株主に配当金を支払う場合のルールがあります。

配当金を支払う場合には次のうちいずれか小さい方の金額を利益準備金として積み立てる必要があります。

  1. 利益準備金と資本準備金の合計額が資本金の4分の1
  2. 配当金の10分の1を利益準備金として積み立て

例に出している株主資本等変動計算書では

  1. 利益準備金+資本準備金=5+9=14 > 資本金×1/4=30×1/4=7.5
  2. 配当金×1/10=1

といった計算になるので、利益準備金に「1」を積み立てます。

 

当期純利益

当期純利益は「損益計算書の当期純利益」が該当します。

会社の活動の結果、利益が出れば返済の必要のない純資産額が増加します。

当期純利益は「繰越利益剰余金」に計上されます。

これが株主への配当に回されることになります。

 

自己株式の処分

自己株式の処分は「企業が保有している自社の株式を市場で処分すること」です。

自己株式は企業が保有していると純資産がマイナスになります。

自己株式の処分は「新株の発行」と同様で、第三者に株式を割り当てるので「増資」となります。

 

株主資本以外の項目の当期変動額

株主資本以外の項目の当期変動額では「評価換算差額額」などの計算を行います。

詳しく説明すると難しいので、「持っている有価証券等の評価額が変わったときに変動を反映させる」といった感じです。

 

当期末残高

株主資本等変動計算書の当期末残高は、貸借対照表の純資産の各項目と一致します。

また損益計算書の当期純利益は、株主資本等変動計算書の当期純利益と一致しています。

この3つの財務諸表は関係が深く、数値も一致しているので覚えてください。

 

最後に

今回も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございます!

株主資本等変動計算書は表の見方がわかりにくいです。

私はわかっていなかったので、過去問に対処できませんでした。

ですので、見方の解説についても書いていきます。

株主資本等変動計算書の見方(財務・会計)

このくらいの見方と計算ができれば、中小企業診断士試験に対処ができます。

試験範囲が広いのでどんどんいろんなテーマを学習していきましょう!

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