財務・会計

直接原価計算について(財務・会計)

投稿日:2021年12月19日 更新日:

こんにちは!中小企業診断士のカズユキです。

今回は原価計算の「直接原価計算」について解説します。

直接原価計算とは

直接原価計算は、費用を変動費と固定費に分けて計算する手法です。

直接原価計算の目的は「損益構造を明確にするため」です。

直接原価計算は、今まで学習した原価計算とは少し違う方法です。

これまでの「個別原価計算」「総合原価計算」「標準原価計算」は「全部原価計算」と呼ばれます。

個別原価計算についてはこちらからどうぞ

総合原価計算についてはこちらからどうぞ

標準原価計算についてはこちらからどうぞ

全部原価計算では、変動費と固定費を区別せず、全てを製品原価とします。

全部原価計算の目的は「社外に報告すること」です。

つまり財務諸表の原価計算は、全部原価計算で行う必要があります。

 

一方直接原価計算は、報告目的ではなく「社内で活用すること」が目的です。

  • 生産量によらずに発生する「固定費」が高くなっていないか?
  • 生産量によって変動する「変動費」が高くて利益が出にくくなっていないか?

こういった利益管理をします。

全部原価計算では、固定費と変動費が全て製造原価に含まれます。

これではどのような状態になれば、黒字・赤字になるのか分析すること難しいです。

生産量の増減によって単位あたりの製品原価が変わってしまいます。

そのため、全部原価計算は、利益管理には使いにくいという問題点があります。

 

直接原価計算は全て「変動費」と「固定費」へ分解

直接原価計算では、製造にかかった費用をすべて変動費と固定費に分解します。

変動費というのは名前の通り変化する費用です。

つまり生産量が増加すると、それに応じて増加する費用です。

例えば、直接材料費や外注費などが変動費になります。

直接材料費とは「製造に使用する材料や原料」のことです。

金属・ゴム・木材といったものが想像できます。

このようなものは、注文が増えると調達が必要ですね。

よって製造量が増えれば増えるほど、費用が高くなってきます。

 

外注費は「外部の会社へ製造や組み立てを依頼する費用」です。

例えば、付加価値の低い工程や専門的な工程を外部企業に任せることがあります。

これも注文数が増えてくると、依頼する件数が増えるので費用が増加します。

 

また、販売にかかった費用についても、運送費や販売手数料などは変動費に該当します。

これらの費用も販売量が増加すると、それに比例して増加します。

 

固定費は、生産量に関係なく固定的に発生する費用です。

例えば、労務費や向上の家賃、設備の減価償却費などが固定費に該当します。

また、販売にかかった費用についても、販売員の人件費や店舗の減価償却費などは固定費となります。

考え方として「製造量がゼロになったときに費用が発生するか」で分類すると良いです。

発生しなければ「変動費」、発生するならば「固定費」です。

先ほどの直接材料費は注文がゼロなら消費しないので「変動費」です。

工場の家賃は、稼働しなくても支払いが発生しますので「固定費」です。

 

ちなみに人にかかる費用は、変動費と解釈している参考書があります。

例えば工場で働く人の「直接労務費」です。

注文が増えるほどに、アルバイトを雇ってマンパワーを増強することがあります。

短期アルバイトであれば、繁忙期が終了すると雇用が終了します。

しかし実際にはこんなに簡単に労務費をコントロールすることはできません。

ですので、私は人件費は固定費として解釈しています。

 

また準変動費として「光熱費」が挙げられます。

確かに注文量が増えると、エネルギーを使うため比例して増加します。

しかし注文がないからと言ってゼロにはなりません。

私は光熱費も固定費として処理しています。

光熱費に関しては、それほど厳密にしなくても良いです。

材料費や労務費に比べると、それほど大きな金額ではありませんので、処理が違っても影響はかなり少ないです(^^)

 

直接原価計算による損益計算書

費用を変動費と固定費に分解するというのは、どのように示すのかを具体的に説明します。

下の図は直接原価計算による損益計算書です。

損益計算書は「ある一定期間の会社の活動の成果を表すもの」です。

その期間の売上と費用から、利益がどれくらい出たかを計算します。

ここから変動費と固定費を差し引いていきます。

変動費は「製造にかかった変動費」と「販売にかかった変動費」に分解します。

製造にかかった費用は「変動売上原価」として表示します。

製造原価は「作った製品のうち売れたものだけ」を原価として扱います。

つまりその期間に作ったものだけでなく、「作って合った製品」を足して「余った製品」を引きます。

式で表すと、

製造原価=期首製品棚卸高+当期製品製造原価ー期末製品棚卸高

です。

変動製造原価を引くことで「変動製造マージン」が計算されます。

変動製造マージンとは「製品を作ってどれだけ儲けが出るか」です。

ざっくり言うと「粗利」とも言われます。

 

この損益計算書には、

  • 期首製品棚卸高=200
  • 当期製品製造原価=1,000
  • 期末製品棚卸高=300

となっていますので、

製造原価=200+1,000ー300=900

変動製造マージン=2,000ー900=1,100

です。

 

変動製造マージンから、変動販売費を引いたものが「限界利益」です。

限界利益は、売上高からすべての変動費を引いたものです。

変動費は売上高に比例して発生する費用です。

なので限界利益も売上高に比例して増加します。

この損益計算書では、

限界利益=変動製造マージンー変動販売費

=1,100ー300=800

です。

 

その下は「固定費」です。

固定費には、製造・販売を分解しません。

全ての固定費を含めて費用計上します。

固定費は、売上高に比例して変動しませんので、基本的には一定に費用です。

最後に、限界利益から固定費を引いて営業利益が計算されます。

この損益計算書では

営業利益=限界利益ー固定費

=800ー500=300

 

直接原価計算による損益計算書では、

  • 販売・生産量の増加とともに限界利益が比例して増加する
  • 固定費分を回収した残りが営業利益になっている

と考えます。

このように分解することで販売量と利益の関係が明確になります。

これらのデータは会社内部の利益管理に活用します。

 

最後に

今回は直接原価計算について解説しました。

試験用なので複雑に計算しましたが、実務では「変動費」と「固定費」の2つで計算します。

つまり変動製造費と変動販売費は一つのものと計算します。

問題によっては、

  • 売上高
  • 変動費
  • 固定費
  • 営業利益

この関係がわかっていれば大丈夫です。

つまり、

売上高ー変動費ー固定費=営業利益

この関係をまずは理解しておいてください。

この関係を理解すれば、今後登場する変動費率や損益分岐点なんかも理解できます。

直接原価計算の変動費と固定費で分析する手法を「CVP分析」と言います。

  • C=Cost(費用)
  • V=Volume(量)
  • P=Profit(利益)

これらの頭文字を合わせたものです。

私は2次試験になってこの言い方を知りました。

最初聞いたときに

「CVPって何だ?やったことないけど・・・」

と思ってました(^^;)

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