企業経営理論

販売を促進する価格政策(企業経営理論)

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こんにちは!中小企業診断士のカズユキです。

今回は販売促進のための価格戦略について解説します。

価格は一度設定してそのままというわけではありません。

需要や競合の状況によって変更します。

 

一般的には発売当初は高めに設定して、徐々に安くなっていくことが多いです。

需要を刺激する目的で価格を下げたり、競合が価格競争を仕掛けてきたら変更したりします。

内容としては

  • 価格割引
  • 販売促進政策
  • 流通における販売促進

です。

それではいってみましょう!

価格割引

価格割引は条件によって価格を下げる方法です。

会計用語では「割戻」と言われますが、ここでは一般に浸透している割引で説明します。

 

割引には

  • 大量に買ってもらう
  • 暇な時に買ってもらう

があります。

大量に買ってもらうと、販売する側としては多くの売上を上げることができます。

ですので販売側としては割引を行うことで販売を促進します。

 

また暇なときに買ってもらうことで割引をします。

旅行会社は時期や曜日によって利用者が増減します。

値段を低くすることで、繁忙期と閑散期の差を少なくします。

販売側にとっては暇な時期を少なくすると、生産性が向上し、収益率が高まります。

 

販売促進政策

特にスーパーマーケットのような小売業では、お客さんを惹きつけるためにいろんな販売促進を行っています。

ここで取り上げるのは4つの販売促進政策です。

  • ロスリーダー政策
  • Hi-Lo 政策
  • エブリデーロープライス政策(EDLP 政策)

これらの政策は小売店で見たことがあるものばかりです。

実は名前がありますので、なんとなくで結構なので覚えておきましょう

ロスリーダー政策

ロスリーダー政策は「採算度外視の目玉商品を作ってお客さんを惹きつけて、目玉商品以外の商品も買ってもらおうとする政策」です。

目玉商品以外を買ってもらうことによって、利益を確保します。

この目玉商品が「ロスリーダー」です。

スーパーでよくやっていますよね(^^)

目玉商品があることをチラシなどで告知して集客しますが、ロスリーダー商品のみ購入されると利益が出ません。

特にスーパーは商品の差別化が難しいので、値段を下げる集客を行う傾向にあります。

 

Hi-Lo 政策

Hi-Lo 政策は「セールや特売などで一時的に価格を下げる方法」です。

先ほどのロスリーダーと似ています。

同じ商品が時期によって価格を上げ下げしますので、このような名前がついています。

 

こういった価格政策を実行するためには、仕入れの原価を下げる必要があります。

原価を下げるためには、ある程度量を仕入れる必要があります。

売れると見込んで大量に前もって仕入れることを「フォワードバイイング」といいます。

英語の意味を解釈すると

  • フォワード(Forward):前
  • バイイング(Buying):買う

そのままの意味です。

大量に購入することを条件に仕入れ値を下げてもらう交渉をします。

 

エブリデーロープライス政策(EDLP 政策)

エブリデーロープライス政策は「毎日低価格」です。

つまり時期によって価格を変えるのではなく「常に安くして販売する」ということです。

アメリカのスーパーマーケット「ウォルマート」が実施している政策です。

この政策を実現するためには、仕入れ原価の低減とオペレーション(通常業務)の効率化が必要です。

大量に仕入れることができる資本があるからこそ可能にしています。

またアルバイトやパートなどの人材を活用することによって人件費を抑えて運営していることが多いです。

 

価格政策の難しさ

インターネットが流行する前は情報を入手することが難しかったので、「価格が高い=品質が高い」が成り立っていました。

安かろう悪かろうとかも言われてました。

これを「価格の品質バロメーター機能」と言います。

 

しかし情報が入手しやすくなった最近では、消費者の商品・サービスに対する知識が向上しています。

ちょっと価格を高く設定してしまうと、売れなくなってしまうリスクが高いです。

競合商品と比較され機能面で差がほとんどないことがわかってしまうと、インターネットで情報を共有されます。

安くしてしまうと利益が取れなくなってしまいますが、敏感にならざるを得なくなっています。

 

流通における販売促進

製品が最終消費者に届くまでにはいくつかの流通を通ってきます。

メーカーで生産され、卸から販売店に渡り、私たちのもとに届きます。

こういった流通経路を「販売チャネル」と呼びます。

この販売チャネルで商品をやり取りする時の価格政策があります。

ここで紹介するのは3つです。

  • 機能割引
  • アリーワンス
  • リベート

ちょっとわかりにくい内容ですので、できるだけ例を挙げながら解説していきます。

機能割引

機能割引は「販売相手の卸や小売業者が、輸送や保管等をしてくれるので安くする」といったものです。

一般的に卸業者や小売業者は最終消費者よりも安く買うことができます。

それは生産しているメーカーの代わりに輸送したり保管したり、消費者に販売したり、宣伝したりしてくれるからです。

メーカー自身がわざわざしなくても、これらの機能を代わりにしてくれます。

この機能を担ってくれるのでメーカーは安く販売するということです。

 

アローワンス

アローワンスは「販売業者がメーカー・卸業者の意図している販促方法に従ってくれるなら割引をする」といったことです。

陳列の良いポジションにしてくれたり、優先的に販売促進してくれたり、一定の販売量を約束したりといった感じです。

アローワンス(Allowance)は英語で値引といった意味があります。

 

リベート

リベートはメーカーや卸売業者が、売上高や取引高などの条件をクリアした流通業者に支払う報酬です。

このような条件を競ってすることで販売を促進する狙いがあります。

 

リベート(Rebate)には割り戻しや販売報奨金という意味があります。

キックバック(kickback)のほうがわかりやすいですかね。

キックバックというと悪いイメージがありますが(^^;)

 

アローワンスは販売前で、リベートは販売後といった違いがあります。

 

日本独特の商習慣ですが、これが行き過ぎで問題になっている事例もあります。

またリベートが複雑になると、収益がいくらかわかりにくくなります。

近年はもっとシンプルな構造にしたり、廃止したりしています。

 

最後に

今回は価格政策の割引に関することについて解説しました。

販売促進において割引はわかりやすい方法です。

しかし単純に割引をすると利益が減少します。

更に一度割引を始めると、価格を戻すことができなくなってきます。

最終的には割引が当たり前になってしまいます。

 

このように割引は一時的には効果がありますが、長期的に見るとマイナスの面が多いです。

できれば価格を下げずに販売促進をしたいですね(^^)

 

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

次回は「チャネル戦略」を解説します。

 

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