こんにちは!中小企業診断士のカズユキです。
今回は仕事の『意欲向上』と「評価制度」の関係についてお話します。
理想的な評価制度を構築すれば、従業員のモチベーションを高めることができます。
つまり「やる気にさせる」仕組みとして使えます。
そこで知っておいてほしい理論をご紹介します。
それは「モチベーション理論」です。
モチベーション理論とは
やる気を高めるための理論として「モチベーション理論」があります。
モチベーション理論とは、人の意欲がどうすれば上がるのかを研究した理論です。
仕事をする時にこの意欲があるかどうかは非常に重要です。
成果を上げている組織はこの意欲を高める仕組みを作っています。
単純にお金をばらまくようなインセンティブから成績優秀者を表彰する制度など様々です。
評価制度と聞くと「なんか評価されるってヤダな」って思う人が多いです。
しかしどのようにすれば評価が高くなるかがわからないことは問題です。
小さい組織であれば社長が一人一人見て評価を決めて給料に反映させることができます。
ですので、明確に評価制度が存在しなくても、従業員を公平に評価することも可能です。
しかし組織が大きくなってくると、細かい仕事ぶりを見ることができません。
その状態で評価するとどうでしょう?
「自分はこんなに会社に貢献しているのに、全然評価に反映されていない」
「社長の好き嫌いで評価が決まっているので、納得できない」
といった不満が出てくるでしょう。
どうすればモチベーションを高めることができるのかを勉強していて損はありません。
私が意識しているモチベーションの理論に「動機付け・衛生理論」があります。
この理論から、従業員のモチベーションを上げるために必要なことを説明します。
動機付け・衛生理論
動機付け・衛生理論はアメリカの臨床心理学者F・ハーズバーグが提唱した理論です。
この理論では、モチベーション高める要因には大きく分けて2つあることを提唱しています。
2つの理論は「満足要因」と「不満足要因」です。
動機付けにあたるのが「満足要因」に属し、衛生理論にあたるのが「不満足要因」に属します。
結論から言ってしまうと「不満足要因はいっぱい与えても一時的に満足感を得られるだけなので、満足要因を定期的与える仕組みを作ろう」という感じです。
2つの要因はどんな時に感じるでしょうか?
主に満足感は仕事を行なうときに感じ、不満足感は職場環境や処遇などによって感じるとされています。
不満足要因(衛生理論)
不満足要因は、職場環境や会社の方針、処遇や報酬に関する要因です。
これらの要因は改善すれば一時的に満足を与えることができますが、効果が長続きしません。
これらの要因に不足を感じたときに、やる気が減少します。
例えば1年間の頑張りが認められて、給与がたくさん上がった人を考えてみます。
この人は給料が上がった瞬間はとても喜びます。そしてより一層評価されるよう仕事に打ち込みます。
ところがしばらくすると給料が上がった満足度は薄れてしまいます。
しまいには「もっと給料上げてほしい」とか言い出します。
休日や福利厚生面でもに関しても同じことが言えます。
これまでよりも改善されたとしても、満足するのは一時的です。
しばらくすると、友達の会社の待遇や世間相場と比較して「もっと良い環境にして欲しい」と言い出します。
不満足要因は改善しても満足につながりにくいのが特徴です。
そして不満足要因の改善は有限であることが多いです。
給料や処遇の改善には限界があります。
青天井で給料上げちゃったら、会社がつぶれてしまいます(^^;)
満足要因(動機付け)
満足要因は仕事に関する要因です。
仕事で上司に認められるとか、仕事を通じて達成や成長を感じたときに、やる気が増大します。
例えば、仕事で成果を得られたときに。
「すごいね!よくやったね!」
と褒めることや
「次も期待しているよ」
といった期待をされることです。
また、大きな仕事をまかせたり、権限を与えたりすることでも動機付けをされます。
先ほど話した表彰制度なんかは「認められる」に該当します。
こうした要因はたくさん与えれば与えるほど、満足度が向上します。
しかも不満足要因に比べて、たくさん上げてもコストがかからない要因が多いです。
褒めることはたくさんしてもコストがかかることはありません。
意欲向上のポイント
これまでのことから、動機付けをすることが重要であると説明しました。
「じゃあいっぱい褒めればいいですね」
ということになりますが、そんな単純な話ではありません。
満足要因と不満足要因をうまく使いこなすことが、意欲向上につながります。
どのように使いこなすのかですが、
- 不満足要因は満足ラインをちょっと超えるぐらいにする
- 満足要因は可能な限りたくさん提供する
この2つが意欲向上のポイントです。
当たり前の話ですが、いくら褒められても給料が安かったり休日がほとんどなかったりすると満足してくれません。
不満足要因は最低限、従業員の満足してくれるラインを超えている必要があります。
そうしないと、いくら満足要因を提供しても効果がありません。
ですが先ほどをお伝えして通り、不満足要因は有限であることが多いです。
よって従業員が満足してくれるラインをちょっと超えるぐらいにするのが一番コスパが良いです。
それには業界の給与水準や労働環境を理解しておく必要があります。
同業者と比較して悪い水準でなければ、従業員はある程度満足してくれます。
これを実行したうえで満足要因をたくさん提供します。
一番わかりやすいのが「褒める」です。
しかしいきなり褒めだすと気持ち悪がられてしまい、逆効果になることもありますが・・・(^^;)
ポイントは「具体的に褒める」です。
例えば営業成績が良い人に対して
「今月よく頑張ったね」
と褒めることができます。
しかしそれだけではなく、具体的な内容を付け加えます。
例えば、
「あの難しい○○株式会社の案件を良く契約に結びつけたね」
このように具体的に褒めると効果的です。
ちなみに、私がこれまで関係した会社のほとんどが、承認する文化がありませんでした。
こうした文化は育ちにくいです。
逆に出来て当たり前、できなければ注意される「マイナス評価」が多いです。
かといって、いきなりその企業文化を変えようとすると大変です。
大げさに褒めると、かえって不信感を生みます。
よって最初は軽く褒める程度にしましょう。
ちょっとずつ企業文化を「承認する」方向に変えていけば、個人が創意工夫をする文化に変わっていきます。
ただ個人で文化を変えるのはハードルが高いので、朝礼や面談で褒める仕組みを作っていきましょう。
継続できる仕組みを作ることが大事です。
評価制度で満足度を向上させる
満足要因と不満足要因をうまく仕組みに取り入れるには「評価制度」の構築が良いです。
評価制度には賃金や処遇を見直す「不満足要因」と、仕事の成果が認められる「満足要因」の両方があります。
仕事の成果が上司に認められて達成感や成長感を感じることは、満足要因が増大します。
その結果、処遇や報酬も増加すると、不満足要因が減少し、相乗効果で好循環となります。
このように評価制度はやる気を増大させることができます。
しかし会社によっては、制度自体が存在しない会社や、存在しても公開されていないことが多々あります。
上司が部下をほめることも、現実的にはできていません。
それでは社員の努力が明らかになることも少なく、やる気向上につながりません。
評価制度を通して仕事の成果を認めたり、達成感が認識できたりする仕組みを作りましょう。
評価制度に面談する機会を設けて、それぞれの仕事ぶりを認める機会を作りましょう。
また頑張れば達成できそうな目標を設定できるよう、会社が支援しましょう。
適切な目標設定はなかなか個人の力では難しいことがあります。
客観的に達成できた基準を設定できないこともあります。
これらのことは、会社の支援が必要です。
人材を育成する観点から評価制度を構築して、意欲向上につなげていきましょう!