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評価制度の落とし穴「中央化傾向」|診断士実務

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こんにちは!中小企業診断士のカズユキです。

私は中小企業診断士の資格を取得して、40歳から未経験で経営コンサルタントの仕事を始めました。

仕事内容はいろいろありますが、その一つとして「評価制度構築」に携わっています。

今回は評価制度の判定で起こりやすい「中央化傾向」についてお伝えします。

中央化傾向とは

中央化傾向とは「評価が真ん中に集まる」という傾向です。

例えば、評価が5段階(A、B、C、D、E)だった場合、真ん中の「C」に集まりやすいということです。

これは評価の「心理的誤差」と呼ばれるもので、他にもハロー効果や寛大化傾向といったものがあります。

ちなみに中小企業診断士試験の出題範囲なので、過去のブログで書いています。

評価制度について(企業経営理論)

これらの現象は実務で本当に出くわします。

ここでは私が評価制度を構築した会社の事例を紹介します。

ある会社の事例

私が評価制度構築に関わったある会社のことです。

その会社は評価制度を運用し始めていました。

私の仕事は構築支援が中心なので、この段階まで進むと関わること少なくなります。

もちろん運用開始後も制度の修正など、定期的にサポートしていますけどね(^^)

ある会社では、出てきた評価にどのような傾向があるかを分析することにしました。

特に運用して間もない頃は、評価のバラつきが出たり、運用がうまくいかなかったりと問題が発生しやすいです。

その結果、評価が予想以上に中央に固まっていました。

その結果が妥当であれば良いのですが、経営者から見ると「働きぶりからすれば、もっと差がつくはず」とおっしゃられていました。

適正な評価が出るように、事前の説明会や模擬評価による細部の調整、評価者に対する研修など、できる限りのことをしました。

なぜそのような結果になったのでしょうか。

 

中央化傾向の要因

評価制度を導入すると、中央化傾向というのはよく起こります。

実際に中央の評価に該当する人は多いですが、あまりにも真ん中ばかりだと評価の意味がありません。

中央化傾向には次のような要因が考えられます。

  • 評価者が普段から被評価者の行動が観察できていない
  • 観察はしているが、評価する能力や自信がない

このように、評価する材料が少なくてわからない場合や、評価の判断ができない場合に、当たり障りのない評価をしてしまいます。

 

逆に適正な評価ができる場合は、根拠が明確になっています。

良い場合も悪い場合も、それを判断するためには根拠が必要です。

逆を考えると、評価を判定する時に材料がなければ「とりあえずわかんないので、真ん中の評価で・・・」となってしまいます。

これが、当たり障りのない評価になってしまう要因です。

 

中央化傾向への対策

ではこのような中央化傾向に対して、対策はどうすれば良いのでしょうか。

もうお分かりだと思いますが、判定する根拠があれば良いのです。

根拠はどうやれば集めることができるのか?

普段の行動を観察することです。

実績を評価する場合は半年間や一年間の結果から判断できますが、プロセスである行動評価はそうはいきません。

半年間終わってから評価のための情報を集めようとしても「4、5か月前ってどんな感じだっけ?」となります。

別の心理誤差である「期末効果」という、直近の1、2か月の印象が評価となってしまうこともあります。

これを防ぐために、普段から評価対象であるメンバーの行動をメモしておきましょう。

形に残しておかないと、すぐに忘れてしまいます。

これを評価研修をする時に、評価をする人に向けてしつこくお伝えします。

ここができているかどうかで、評価の正確性が変わります。

また評価対象のメンバーの仕事ぶりがわかるように仕組みを作っておくと良いです。

仕組みと言っても、それほど大げさなものではありません。

具体的には。

  • メンバーから定期的に仕事の進捗を報告してもらう
  • 日報等でその日の仕事について残しておく

これらの素材があるだけでも、判断材料として使えます。

評価をする人がすべての記録を残さない場合、準備に大きな負担がかります。

評価をする人が一人で情報を集めるよりも、いろんな人に協力してもらったほうが楽です。

運用が楽かどうかは非常に重要です。

負担が大きいと評価が面倒になってきます。

面倒になってくると不満が溜まってくるので、評価の内容が適正にも影響が出ます。

このような細かい面にも配慮することは大事です。

 

あと評価が難しいのは、特異な技術の保有者といった技術職が考えられます。

この場合は、判定するために、他の人の助言をもらうようにしてください。

評価の判定は、その方の処遇を決める重要なものです。

あいまいな状態で評価をするわけにはいきませんので、着実に判定できるようにしてください。

 

評価者訓練を行うと、より効果的

評価は半年ごとに行う会社が多いので、いつも「どうやるんだっけ?」となりがちです。

こうした心理的誤差が起こらないよう、評価前には評価者訓練を行うと効果的です。

評価者訓練では、評価の要素の説明から、判定の基準、判定する場合の心理的誤差を知ることができます。

また、ケーススタディを実施すると効果的な研修になります。

ケーススタディでは、実際の従業員を想定する場合や研修用のDVD等を活用します。

実際の従業員を想定するほうが、イメージが湧きやすくておすすめです。

しかし、部署が違うと評価者によって情報量が違うので、議論ができないことがあります。

その場合は、研修用のDVDを活用します。

研修用のDVDでは部下のパターンや行動記録といった内容のものがあります。

そうした教材を活かして、評価者同士で議論をすると、目線があってきます。

評価の目線があうと、人によっての甘辛が少なくなります。

バラツキが少なくなればなるほど、信頼できる判定となってきます。

自分たちの会社で評価者訓練が難しい場合は、労務に詳しいコンサルタントに依頼しましょう。

私も評価制度構築だけでなく、評価者訓練も実施しています。

納得性の高い評価制度が構築できれば、従業員のモチベーションを高めることができます。

妥協せずに取り組んでいきましょう!

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