企業経営理論

企業の社会的責任【CSR】について

投稿日:2020年11月14日 更新日:

こんにちは!中小企業診断士のカズユキです。

 

今回は企業の社会的責任について解説いたします。

企業の社会的責任「CSR」 は、Corporate Social Responsibility の略です。

最近よく耳にする言葉だと思います。

 

企業の目的は利益を上げて存続し続ける「ゴーイングコンサーン」ですが、利害関係者「ステークホルダー」に対する責任も有しています。

このステークホルダーに対してどのような責任を負っているのか、果たすべき責任とは何なのかを書いていきます。

 

近年はこのCSR活動が盛んに行われるようになりました。

ステークホルダーは顧客だけでなく取引先や株主、地域社会などかなり幅広いです。

 

CSRは主に3つ

企業の社会的責任は主に3つです。順番に解説いたします。

ディスクロージャー

ディスクロージャーは「情報開示」です。

企業には法令で報告の義務を負っているものがあります。

財務諸表や有価証券報告書などがそれにあたります。

これらのことw「制度的ディスクロージャー」といいます。

 

また企業が自発的に報告するものもあります。

実例では企業が投資家に向けて情報を発信することです。

これを「インベスターリレーションズ」といいます。

インベスターは投資家、リレーションは関係です。

 

つまり投資家との関係性を築くための発信です。

英語の用語はしっかり意味を調べて覚えたほうが良いです。

インベスターなんかは、他のテーマでも出てきますので」「投資家のことだな」と覚えておくと、次回に登場した時に用語の意味がなんとなく分かるようになります。

 

インベスターリレーションズは「IR活動」の一環で行われます。

IR活動は企業の取り組みや将来の事業計画を投資家に開示して、投資家から資金を調達したり、企業価値を評価してもらったりすることが目的です。

 

コンプライアンス

コンプライアンスは「法令遵守」です。

法令を守ることはもちろんですが、社会的なルールや倫理を守ることも含まれます。

最近は企業の活動や公報で、配慮が足りない発信があると一斉にたたかれます。

 

食品を取り扱っている会社は、安全や衛生面に当然席にを持ちます。

しかしそれを守っていても、食品を粗末に扱うなどの発信がされてしまうと、一気に社会的信用を失います。

小さな会社であれば、一度の信用失墜で壊滅的なダメージを受けてしまいます。

ですので、普段からコンプライアンスを守るために所属社員に向けても研修や啓蒙活動を行っています。

社員のプライベートの発信によって、社員個人が不利益をこうむるのは仕方がありませんが、所属社員にも影響が出ます。

それだけではなく、取引先にも当然影響が出てしまいます。

業界への風評被害が起こる可能性も十分考えられますので、その行動がどういった影響が出るかをイメージさせて予防することが重要です。

 

コーポレートガバナンス

コーポレートガバナンスは「企業統治」のことです。

つまり「企業を管理監督するための仕組み」です。

コーポレートが「企業」、ガバナンスが「統制」です。

英語の意味が分からない場合は、少し手間ですが調べておきましょう。

理解度や知識の定着度が良くなります。

 

企業は基本「株主」のものです。

この株主が会社の利益を最大限にするために管理監督することです。

 

日本は経営者と株主が同一である「オーナー経営者」が多いので、企業は経営者と従業員のものと考える傾向にあります。

しかし厳密に言うと企業は出資した「株主」のものです。

 

アメリカは出資者である「株主」と会社を運営管理する「経営者」が別の人であることが一般的です。

株主が経営者の独断を防止するために強化されてきた意味合いがあります。

 

日本の場合はオーナー経営者なので、この考え方のままではコーポレートガバナンスが働きません。

外部からのチェックが働きにくいのが現状です。

そのため法律を整備して、コーポレートガバナンスが働きやすいような環境を整備しています。

 

例えば「社外取締役」です。

社外取締役は名前の通りで、外部の人間に取締役を担ってもらいます。

どうしても社内の人間では、オーナー経営者などの独断を止めることが難しいです。

社外取締役であれば公平公正な立場で会社運営を評価しやすいです。

 

また大企業では、内部統制の仕組みを構築しています。

2008年の会計年度からは大企業では「内部統制報告書」を提出することが義務になっています。

業務が適正に行われているかをチェックできるよう仕組化されています。

 

他にも、「委員会設置会社」という制度も登場しました。

委員会設置会社では監督とプレーヤーの分離が行われています。

「取締役」が経営の監督を行い、「執行役」が経営の執行を行います。

そして委員会には「社外取締役」が過半数を占めています。

これらの仕組みにより、最善の経営を行えるような体制を作っています。

 

日本とアメリカのコーポレートガバナンスについて

先ほども触れましたが、日本とアメリカでは企業統治の状況が違います。

どちらが優れているというものではありません。

それぞれの特徴をつかみやすいよう、表にしてまとめておきます。

特徴 メリット デメリット
日本 会社は「経営者」や「従業員」のものという考え方強い 株主の圧力が少ないので、長期的視点のが経営が可能 外部からのチェックが働きにくい
アメリカ 会社は「株主」のものという考え方が強い 短期的な利益を求めがち 取締役は株主が選任するので、外部チェックが厳しい

 

このように国によって違いはあります。

しかし大事なことは、利害関係者の利益を守ることです。

そのために情報を開示しルールを守り、経営に透明性を持つことが重要です。

 

まとめ

今回は「企業の社会的責任」について解説いたしました。

CSR活動の主な3つを振り返ると、

  • ディスクロージャー:情報開示
  • コンプライアンス:法令遵守
  • コーポレートガバナンス:企業統治

でした。

いろんな利害関係を考えて経営をしなくてはいけません。

しかしあまり考えすぎると身動きが取れない状況にもなります。

会社を守るために経営者は必死です。

そのためには答えのない問いに対して仮説を立てながら実行するしかありません。

世の中は常に動いていますので、止まるということは置いていかれます。

計画したことが実行され、ブラッシュアップされていくことで、どんどん改善がされていきます。

しかし実際の会社では、今日の作業をどうやって早く終わらせるかという短期志向になっている方が多いです。

 

そのために、外部からコンサルタントが支援に入ります。

個々の仕事について指導を行うことまではできませんが、計画を作成したり進捗をチェックすることで、確実に前に進めます。

 

もしかすると会社の人よりも当事者意識を持って取り組んでいるかもしれません。

私はそれくらいの気合で臨んでいます。

 

今回はこれで終了です。

今後もこのように、経営用語を解説しながら自分の経験などを書いていきます。

読んでいただいている方の魂を揺さぶるよう、心を込めてお届けいたします!

 

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