企業経営理論

製品のライフサイクル(企業経営理論)

投稿日:2020年12月30日 更新日:

こんにちは!中小企業診断士のカズユキです。

 

前回から製品戦略をを解説しています。

今回は製品ライフサイクルについて解説します。


製品ライフサイクルとは

製品ライフサイクルとは「製品が生まれてから衰退するまでの一生のこと」です。

具体的には、

  • 導入期
  • 成長期
  • 成熟期
  • 衰退期

この4つです。

 

以前のブログでPPMの解説の時に少し出てきました。

PPMについて|プロダクトポートフォリオマネジメント(企業経営理論)

このように製品の一生を4つの場面に分けます。

それぞれどんな特徴があるかはPPMの内容と似ています。

特徴一覧 導入期 成長期 成熟期 衰退期
売上 低い 急上昇 安定 減少
利益 赤字 黒字 最大 減少
顧客 イノベーター アーリーアドプター マジョリティ ラガード
競合 いない 増加 安定 減少

 

ちなみに顧客のところは顧客の購買意思決定で説明した内容です。

新しいもの好きから購入が始まり、徐々に大衆に広まっていくようなイメージです。

下記ブログも参考にしてください。

 

消費者の購買意思決定についての理論(企業経営理論)

 

ここでは4つの場面において、どのようなマーケティング戦略を実行すべきかを解説します。

 

製品ライフサイクル別の戦略

各製品ライフサイクルの戦略は以下の通りです。

導入期 成長期 成熟期 衰退期
マーケティングの目的 知名度向上 シェア最大化 利益最大化 支出削減
製品 標準品 製品拡張 差別化 不採算カット
価格 高め 市場浸透価格 競合対策 価格競争対抗
チャネル 限定的 開放的 開放的 不採算カット
プロモーション 知名度向上 大衆向け 差別化 必要最小限

実際に細かく見ていきます。

導入期

導入期は「製品を市場に投入した段階」です。

 

当然世間にあまり知られていない段階ですので売り上げは少ないです。

マーケティングの目的は「知名度の向上」です。

製品がどのような機能を持っているか説明したり、実際に使用してもらったりして「これは価値ある商品だ」と認識してもらいます。

 

導入期の製品戦略

導入期はあまり製品の幅を広げません。

標準的な製品から市場に投入します。

 

導入期の価格戦略

価格は比較的高めの設定にします。

製品の原価にしっかり利益を上乗せします。

コストプラス法やマークアップ法とも呼ばれます。

 

導入期のチャネル戦略

チャネルは販売網や経路と考えてください。

チャネルは「経路」といった意味があります。

マーケティングにおいてのチャネルはメーカー⇒卸⇒販売店といった製品の流れや、実店舗やインターネット店舗などのどこで販売するかのようなものです。

テレビのチャンネルといったほうが伝わりやすいですね(^^)

販売網・経路についても製品戦略同様に限定的に行います。

限定的に行うことを「選択的チャネル」と言います。

まずはあまり広げすぎないことです。

 

導入期のプロモーション戦略

プロモーション戦略においては「知名度をいかに向上させるか」に焦点を当てます。

商品を使用するとどのようなベネフィットがあるか、価値を提供できるといったことをアピールします。

 

成長期

成長期は製品の知名度が向上し始めて売り上げが増加している時期です。

 

PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)では「花形」に位置します。

 

だんだんと競合との競争が始まります。

この段階におけるマーケティングの目的は「シェアを最大化」です。

 

企業は投資を積極的に行い競合の商品よりも選んでもらえるよう攻めていく段階です。

 

成長期の製品戦略

製品はラインの幅やアイテムを深くします。

品揃えを豊富にしていろんな顧客を取り込めるようにします。

また付随機能であるアフターサービスや保証も充実させて差別化を行います。

 

ちなにみラインは製品の種類です。

車で言うと軽自動車やミニバン、スポーツカーといった感じです。

アイテムは一つの種類におけるカラーやサイズといった感じです。

 

成長期の価格戦略

価格戦略は導入期よりも広く受けいることができるよう下げていきます。

シェアを伸ばすために市場が受け入れてくれそうな価格を設定します。

このような低価格で市場に製品を浸透させようとする価格戦略を「市場浸透価格」「ペネトレーション・プライス」といいます。

ペネトレーションは「浸透」という意味があります。

 

成長期のチャネル戦略

チャネルは幅広い顧客に買ってもらうために広げます。

いろんな店舗で取り扱ってもらったり、インターネット販売もいろんなサイトを利用します。

このように販売網を最大限に広げることを「開放的チャネル」といいます。

 

成長期のプロモーション戦略

プロモーション戦略は導入期と似ていますが「知名度向上」です。

ただしもっと大衆に買ってもらうようにしなければいけません。

導入期ではコアなファン層が買う時期です。

この時期よりも競合する製品を出始めているので、製品自体の認知度は上がっています。

成長期で成功を収めるためには大衆に受け入れられる戦略が必要です。

 

成熟期

成熟期は製品の売上が落ち着いてくる時期です。

 

成長期で大きくなった市場も安定してきます。

競合他社のポジションや売上順位も決まってきます。

この時期に必要なことは「シェアを維持しながら利益を最大化すること」です。

PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)では、「金の生る木」に位置します。

 

成熟期の製品戦略

製品戦略では競合他社と差別化できる製品を開発します。

多様な施品ラインナップで、他社のシェアを奪いにいきます。

 

成熟期の価格戦略

価格は競合他社の状況を見ながら決定します。

競合志向的な価格設定です。

 

成熟期のチャネル戦略

チャネル戦略は成長期と同じく開放的に行います。

新しい種類やモデルを世に出したときに、ある程度の売り上げ見込みが立ちやすいです。

場合によっては最大限に開放して利益確保を狙います。

 

成熟期のプロモーション戦略

成熟期のプロモーション戦略は「差別化」です。

他社製品よりも選んでもらえるよう、どこが優位になっているかを訴えます。

市場を大きく擦ることよりもブランド・スイッチを狙うことで、他社からシェアを奪いに行きます。

 

衰退期

衰退期では売り上げが減少して市場が小さくなっている段階です。

 

場合によっては撤退も検討します。

いつかは製品は衰退してなくなっていきます。

人々のライフスタイルが変化して求められなくなったり、新しい機能を持った製品に取って代わられたりします。

 

この時期のマーケティングは「投資を減らして支出削減、スムーズな市場撤退」です。

 

投資している以上に売り上げが見込めない場合は撤退したほうが良いでしょう。

しかし他の製品との関係で撤退できないこともあります。

 

衰退期の製品戦略

製品戦略は収益が出ていない種類を削減していきます。

企業を継続させるためには収益が出ていない製品に力を注いでいる時間はありません。

そのためには製品ごとの貢献利益を分析して、判断していきます。

 

衰退期の価格戦略

価格は競合と共に下げていくことになります。

市場が成長しないとだんだんと価格競争が激しくなります。

企業としてはあまり下げたくないのですが、どうしても下げなければ売れないので下げざるを得ません。

 

衰退期のチャネル戦略

チャネルについても製品戦略同様、採算が合わない場合は撤退します。

売上に貢献していない販売網は切っていきます。

 

衰退期のプロモーション戦略

プロモーション戦略もあまり投資をしたくありません。

顧客を維持するためには必要ですが、できるだけ支出を抑えます。

 

製品の寿命は延ばす?縮める?

般的には製品の寿命は伸ばしたいです。

その時代のニーズに合った、新しいモデルを発売して受け入れてもらえるよう努力します。

現在あるロングセラー商品もそういった工夫をして生き残っています。

 

例えば、お菓子はロングセラー商品が多くあります。

ずっと昔からの味を守っているわけではありません。

その時代に合った味に変更しています。

ブランドを守りながらも新しい文化やニーズを取り入れた改善をしているからこそ、多くの人に受け入れられています。

 

逆に製品の寿命をあえて縮めるようなことをしていることがあります。

これを「計画的陳腐化」といいます。

モデルチェンジを頻繁におこなっている製品でよくある手法です。

 

例えば携帯電話は毎年のように新しいモデルが発売されます。

企業としては新しい製品を売りたいので、乗り換えの得点などをつけることで買い替えを促進しています。

 

最後に

今回は製品ライフサイクルについて解説しました。

もう一度表にまとめるとこんな感じです。

導入期 成長期 成熟期 衰退期
マーケティングの目的 知名度向上 シェア最大化 利益最大化 支出削減
製品 標準品 製品拡張 差別化 不採算カット
価格 高め 市場浸透価格 競合対策 価格競争対抗
チャネル 限定的 開放的 開放的 不採算カット
プロモーション 知名度向上 大衆向け 差別化 必要最小限

 

あくまで一般的なマーケティング方法ですので、「絶対にこれが正解」というわけではありません。

世の中には正攻法ではない方法でも成功している事例はあります。

ただしそういった方法を実行する場合も、こういった一般的なマーケティング方法を知っておいたほうが良いと私は考えます。

ピカソは抽象画で有名ですが、デッサンにおいては非常にきれいな絵を描きます。

あえて抽象的に表現しています。

基本を知っているからこそ、基本から外れた表現ができます。

マーケティングにおいても同じです。

こういった勉強はどこの業界においても役に立ちますので、ぜひ身につけてください!

 

今回も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました!

毎回魂を込めて書いていますので、また遊びに来てくださいね(^^)

質問もお気軽にしてください!

 

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