企業経営理論

販売促進について|プロモーション戦略(企業経営理論)

投稿日:2021年1月9日 更新日:

こんにちは!中小企業診断士のカズユキです。

プロモーション戦略の要素には「広告・パブリシティ・人的販売・販売促進」があります。

広告・パブリシティ・人的販売については以前に説明しました。

広告の概要についてはこちらから

広告の媒体についてはこちらから

パブリシティ・人的販売についてはこちらから

今回は残りの販売促進について解説します。

 

販売促進とは

販売促進とは消費者や流通業者に向けて購買意欲を高めるための手法です。

販売促進は短期的に販売力を強化したいときに行います。

プロモーション戦略の要素では「プッシュ戦略」にわけられます。

プッシュ戦略は「こちらから積極的に製品・サービスを購入してもらえるよう働きかけること」です。

 

販売促進では購入することで「インセンティブ」という特典がもらえるようにして、販売することを奨励します。

 

販売促進には3つの方向がある

販売促進は単純に最終消費者だけではありません。

それ以外にもメーカーが流通業者に向けて行ったり、社内活性化のために社員に向けて行ったりします。

つまり販売促進は3つの方向に向けて行われます。

  • 「消費者」向け
  • 「流通業者」向け
  • 「社内」向け

これらの販売促進活動にどういったものがあるかを解説します。

 

消費者向けに行う販売促進の種類

消費者向けの販売促進はなじみが深いものが多いです。

スーパーやコンビニ等で商品を購入する場面で受けます。

具体的な販売促進方法について解説します。

 

サンプル提供

サンプル提供では無料で商品やサービスを提供します。

商品・サービスを購入したいと思っていても、決断ができないことがあります。

そういった時に、試食や試着、試聴をすることで商品の購入を促進させます。

 

また、商品・サービスに興味がなかった方でも体験することにより「欲しい」と思わせることもできます。

潜在的な需要を引き出して、購入を促します。

 

プレミアム(景品・クーポン)

プレミアムは「商品を買ってもらうと特典がついてくる」といった感じです。

通信販売でよくありますが、「いまなら付属品が無料でついてくる」という特典です。

また次回来店時に割引するようなクーポン券発行も、これに該当します。

これを期間限定で行うことにより、販売力を強化します。

 

ポイント・スタンプカード

ポイントカードやスタンプカードは購入ごとに得点が加算されます。

家電量販店では「ポイントキャッシュバック」を行うことで、次回の来店を促します。

消費者はポイントをためることで割引が受けられます。

そうすると、同じお店に通ってポイントをためる行動をとります。

継続的に利用してもらうことで長期的な関係を築きます。

最近は店舗をまたいでポイントをためることができる「Tカード」や「PONTAカード」などネットワーク外部性を活かした販売促進も行われています。

ネットワーク外部性は「利用者が増えるほどに、利用者の満足度が高まる」という経済用語です。

このネットワークに入ることによって、リピート客を獲得します。

 

会員サービス

会員サービスは、会員になると限定のサービスを受けることができたり、特別価格で利用できたりすることです。

会員になってもらえるとリピート率が向上します。

また簡単に他社にブランドスイッチすることがなくなります。

このように会員サービスは顧客を囲い込むことができます。

 

流通業者向けに行う販売促進の種類

流通業者に向けた販売促進活動はメーカーが行います。

消費者に向けて行う活動とちょっと違います。

自分の企業が製造したものを購入してもらうよう促すことはもちろんですが、積極的に自社製品を取り扱ってもらったり、販売に協力してもらったりすることを促進する目的で行うこともあります。

 

リベート

リベートとは「取引量や金額が多い場合や、メーカーの販売促進に協力してくれた場合に取引終了後に流通業者に向けて現金を支払うこと」です。

メーカーからは一定の基準を条件に打診されます。

流通業者はこの条件を満たそうと頑張ってくれます。

そうすることで自社の商品を優先的に取り扱ってくれます。

消費者向けのポイントカードによるキャッシュバックのような感じですね。

 

アローワンス

アローワンスは「流通業者がメーカーの意図に従って販売促進活動や陳列方法を行ってくれた場合に割引を行うこと」です。

リベートの場合は取引終了後のキャッシュバックですが、アローワンスは製品納入時に割引をします。

割引やキャッシュバックによって販売促進するのは一番短絡的ですが、現在も主流の販売促進方法です。

ただし、どこかの流通業者にだけ特別特典を付けている場合は横に情報が流れないように注意が必要です。

他の流通業者が知ってしまうと、同じ条件で取引しなければいけなくなります。

 

販売店コンテスト

販売店コンテストでは、「販売店同士でコンテストを行って優秀な成績を出した販売店に特典を付与すること」です。

販売店は特典を得ようとするために競争することで販売促進します。

ただしやり過ぎると、だんだんとマンネリ化してしまいます。

そうするとやってもやらなくても販売量が変わらなくなってしまいますので、流通業者が魅力を感じる得点を付与し続ける必要があります。

 

リテールサポート

リテールサポートは「流通業者の支援をすること」です。

リテール(Retail)は「小売」という意味があります。

支援は新商品や業界の情報や、受け筋商品の紹介、技術サポート、他社事例などさまざまです。

更に深くなれば経営の支援を行うこともあります。

 

社内向けに行う販売促進の種類

社内向けの販売促進は社員に販売することを動機づけて活性化する目的で行われます。

商品・サービスが魅力的でも人的販売が弱いと販売力が上がりません。

社員が意欲を持って働いてもらえるように工夫しています。

 

社内コンテスト

社内コンテストでは「社員に向けて販売成績等を評価して、優秀者を表彰すること」です。

直接販売件数や売り上げを競うこともあれば、行動を評価することもあります。

販売につなげるための行動を取るように促すことで、社内の規律を整えると顧客サービス向上にもつながります。

 

販売マニュアル

販売マニュアルは、商品・サービスの特徴や勧め方などのノウハウをまとめたものです。

研修を行うときに、社員が口頭でOJTを行うだけでは、実力にばらつきが生じます。

「この販売方法が一番効率的で成約率が高い」というノウハウを蓄積することで、社員の販売力を平均的に向上させることができます。

 

最後に

今回はプロモーション戦略の要素である「販売促進」について解説しました。

販売促進の方法だけでなく、促進する相手もさまざまあります。

ここで紹介した販売促進は、価格に関することが多かったように思います。

近年はこの方法では長期的な利益をもたらさないことが言われています。

長期的に企業に利益をもたらす活動とは一体何でしょうか?

簡単に言うと「顧客と関係性を深く持ってファンになってもらう活動」が必要です。

それが次回解説予定の「関係性マーケティング」につながります。

企業経営理論を長く紹介してきましたが、もうちょっとで終わりそうです。

試験範囲が多い教科なので大変だと思いますが、その分役に立つ知識が多いです。

私もすごく勉強になっていますので、よければ一緒に頑張って学習しましょう!

 

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