こんにちは!中小企業診断士のカズユキです。
今回は事業再構築補助金の補助金額や補助率について解説します。
事業再構築補助金の類型
事業再構築補助金には4つの類型があります。
- 通常枠
- 卒業枠
- グローバルV字回復枠
- 緊急事態宣言枠
類型は「中小企業や中堅企業」、また「コロナの影響を強く受けた企業」などによって分かれています。
ちなみに「卒業枠」「グローバルV字回復枠「緊急事態宣言枠」は不採択になった場合、「通常枠」で再審査されます。
該当するなら通常枠以外で申請すると有利です。
ちなみに、「通常枠で採択されても金額が少ないのでイヤ」となった場合は辞退すればよいです。
ちなみに中小企業や中堅企業の規模について知りたい方は、こちらからどうぞ!
応募は1回の公募で1申請のみ
いろんな類型がありますが、1回の公募で1申請のみとなっています。
公募は4回予定しております。
第一回目が4月30日締切
第二回目が7月2日締切
といった感じで通年で公募されています。
緊急事態宣言枠だけは第二回目で終了予定です。
ですので第三回目の公募には登場しません。
とか言いながら形を変えて出てくる可能性も考えられますけどね(^^;)
申請についてですが、公募があるたびに申請ができます。
よって仮に締切を逃しても次の機会を待てばよいです。
また、第一回目で不採択になっても、内容を見直して第二回目に応募することができます。
補助金は審査がありますので、不採択になることがあります。
ちなみに、
「いくつかの事業を同時に実施したいんだけど、応募できるんですが?」
「できます!」
申請は1つですが、その中に複数の事業をまとめて計画書を作成すれば可能です。
その他で言っておきたいことは、「50%超の議決権を有する子会社は同一法人」とみなされます。
よって違う法人で申請しても認められないことがあるのでご注意ください。
【①通常枠】
通行枠についての要件を解説します。
公募要領の表を見てみます。
概要
公募要領には「新分野や~~~規模の拡大を目指す~~~」といろいろ書いています。
簡単に言うと、
「新しいことやって売り上げを増加させる事業」
です。
「事業再構築」という名前が示す通りですね(^^)
補助金額・補助率
補助金額・補助率は中小企業と中堅企業で違います。
中小企業等では補助率が2/3で100万円からなので、最低でも150万円以上の投資が必要です。
上限については6,000万円に設定されています。
ですので、たくさん投資をしても6,000万円までしか補助がおりません。
例えば、9,000万円の投資でも1億円の投資でも、補助額は6,000万円です。
一方中堅企業の場合はどうでしょう。
最低額は100万円ですが率が1/2なので、最低でも200万円の投資が必要です。
最大金額の場合は少し複雑ですが、補助率が2段階設定になっています。
補助金額が4,000万円を超えると補助率が1/3になります。
そして金額の上限が8,000万円です。
では上限いっぱいまで補助金額を受けるにはどうなるでしょうか。
結論から言うと2億円です。
公募要領に載っていた図を参考に解説します。
まず投資が8,000万円までは1/2の補助率なので、4,000万円の補助金額です。
そこから先は率が1/3に落ちます。
よって1億2,000万円の1/3である4,000万円が最大です。
投資が8,000万円+1億2,000円の合計2億円です。
これ以上の投資をしても良いですが、補助を受けられる金額は8,000万円以上は上がりません。
補助事業実施期間
補助企業実施期間とは「採択されてから投資を予定していた設備や建物等の設置や支払い等を完了させる期間」です。
つまりこの間に「事業計画書に書いてあった事業の準備を終わらせてください」ということです。
ちなみに見切り発車でスタートしても原則は補助金がおりません。
ただ例外的にあらかじめ事務局に認めてもらって、事前着手をすることも可能です。
この場合、事前着手承認の手続きが必要です。
事前着手が認めてもらえても不採択になることがあるので注意も必要ですが・・・(^^;)
「いつのタイミングからスタートして、いつまでに終わらせる必要があるの?」
それが公募要領に書いてある、
交付決定日~12 か月以内(ただし、採択発表日から 14 か月後の日まで)
という文章です。
図で説明します。
交付決定日とは「採択された後に交付申請をして、決定された日」です。
採択してもすぐに補助事業を始めることはできません。
採択された会社から「事業を始めていいですが?」とお伺いを立てます。
これが交付申請です。
そして事務局から「始めていいですよ」と連絡が来ます。
この連絡が来た日のことを「交付決定日」といいます。
次はいつまでかを具体的な日程を使って説明します。
公募要領に書いてあるのは「交付決定日から12か月以内」です。
つまり下の図のように1年間以内に補助事業を完了される必要があります。
交付決定日が7/15なので、期限は翌年の7/14までです。
もう一つ条件があります。
採択されたけれども交付申請が遅れてしまったパターンです。
上の図では交付決定日が9/15です。
この場合の期限は翌年9/14ではありません。
もう一つの条件である「ただし、採択発表日から 14 か月後の日まで」が適応されます。
よって6/15から14か月後の8/14が期限です。
これよりも遅れることが許されませんが、これよりも早く終わらせることは良いです。
補助対象経費
補助対象経費は枠が違っても同じです。
補助対象経費 | 建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費、研修費 |
ものづくり補助金と大きく違うのは、「建物費」が対象になっていることです。
いろいろな経費が対象になっていますが、メインは「設備・機械」を想定しています。
【②卒業枠】
次は卒業枠です。
まずは公募要領に書いてある内容を載せます。
概要
卒業枠の条件としては、中小企業が中堅企業になることです。
つまり3~5年で中小企業を卒業することが条件です。
もし達成できなければ、通常枠の補助額が適応されてしまいます。
差額分については返金する必要があります。
対象者は中小企業者ですので、すでに中堅企業の枠になっている会社は対象外です。
あとは400社限定になっています。
4回公募の合計400社なので、一回当たりの公募で100社程度が採択される計算です。
補助金額・補助率
補助金額は6,000万円から1億円です。
通常枠よりも高くなっています。
補助率は2/3なので、
最小でも9,000万円以上の投資が必要です。
中小企業の枠を超えようとしているので、それなりの投資しないと難しいですよね(^^)
そして1億5,000万円以上になると、最大補助額の1億円です。
補助事業実施期間
補助事業実施期間は通常枠よりも長いです。
公募要領にはこう書いてあります。
交付決定日~14 か月以内(ただし、採択発表日から 16 か月後の日まで)
交付決定日から14か月の場合は表の通りです。
やはり通常枠よりも大きな事業を想定していますので、期間は長く設定されています。
申請が遅くなれば採択発表から16か月が適応されます。
仮に6/15が採択日になれば、補助事業実施期間は16か月の10/14です。
補助対象経費
補助対象経費は通常枠とほとんど一緒です。
海外出張のことを考えて「海外旅費」が追加されています。
【③グローバルV字回復枠】
次は「グローバルV字回復枠」です。
概要
この枠は中堅企業が対象となっています。
中小企業は対象外の枠なのでご注意ください!
後は100社限定です。
「すべての公募回の合計」と記載されていますので、1回あたり25社×4回公募といった感じです。
補助金額・補助率
最低と投資金額が1億6,000万円です。(補助率1/2、最低補助金額8,000万円)
そして2億円以上になると最高補助額の1億円となります。
補助実施期間
期間は卒業枠と同じです。
2パターンあります。
基本的には交付決定日から14か月です。
下記のように7/15が交付決定なら9/14までに終わらせる必要があります。
もし交付申請が遅かった場合は、採択日から16か月が適応されます。
下の図では、6/15スタートで10/14までに終了しなくてはいけません。
補助対象経費
補助対象経費は卒業枠と一緒です。
通常枠に「海外旅費」が追加されています。
【④緊急事態宣言枠】
最後に緊急事態宣言枠です。
こちらも公募要領を見ながら解説します。
概要
緊急事態宣言の影響を受けた企業が対象になってきます。
- 「そしたら宣言された都道府県しか対象にならないのか?」
- 「緊急事態宣言は出てないけど、コロナの影響で深刻なダメージを受けている会社はどうするのか?」
- 「飲食店やサービス業が対象で、製造業や建設業は対象外なのか?」
といった疑問が出てきます。
これについては「※」の欄にしっかり書いています。
(※)要件に合致すれば、業種や所在地は問いません。
つまり要件が合えば、やっている事業内容や会社の場所は日本国内ならどこでも良いです。
要件は別の買いで詳しく解説しますが、30%以上の売上減少が必要です。
飲食やサービス業はこれくらいのダメージを受けていることが多いですが、業種によっては影響が少ない会社もあります。
ですので、飲食店やサービス業のために作った枠とも言われています。
補助金額・補助率
補助金額や補助額は従業員数によって上限が違います。
表にまとめます。
該当企業 | 従業員数 | 最低投資額 | 最高補助の投資額 |
中小企業等(補助率3/4) | 従業員数 5 人以下 | 134万円 | 667万円以上 |
従業員数6~20 人】 | 134万円 | 1,334万円以上 | |
従業員数 21 人以上 | 134万円 | 2,000万円以上 | |
中堅企業(補助率2/3) | ー | 150万円 | 2,250万円以上 |
中堅企業は最低でも50名超(小売業・サービス業の中小企業の定義が50名以下)なので従業員数は省いています。
補助事業実施期間
通常枠と一緒で「交付決定日~12 か月以内(ただし、採択発表日から 14 か月後の日まで)」です。
補助対象経費
通常枠と同じです。
具体的には
「建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費、研修費」
です。
やはりメインは「設備投資」です。
建物の建築に費用がかなり掛かることが予想されますが、単に建物だけでは付加価値を生みだすことが難しいです。
ある会社さんから「建物を建てたいから、この補助金を使えないか」と相談を受けたことがあります。
しかし事業計画書を書くときに、建物だけだと審査に書かれているような「ユーザーのニーズを満たす費用対効果の高い事業」のストーリーが描けません。
採択が難しい計画に時間を使いたくなかったので丁重にお断りしました(^^;)
最後に
今回は事業再構築補助金の類型と補助金額や補助率等について解説しました。
補助金の公募要領は「ルールブック」なので、ぜひ読んでください。
文字が多くて疲れますが、新しい発見があったり、逆に疑問点が出てきたり・・・理解が深くなります。
専門化に質問するときも、一通り読んでからにしてください。
同じ目線で話をしないと、後々トラブルの原因になります。
「面倒だから専門家に丸投げ」は絶対にしないでください!
事業再構築補助金の金額はかなり大きいです。
その会社の事業内容を深く理解していない外部の人間に計画書を作らせると、
「そんなつもりじゃないんだけど・・・」
といった感じになります。
また高額な報酬を請求される業者もあります。
例えば成功報酬で補助金額の30%以上請求するところは要注意です。
文章に起こすのはプロに任せても良いですが、事業内容は主体的に考えてください。
逆に依頼を受ける立場の人も、このような丸投げ企業を相手にするとトラブルに巻き込まれる可能性が高いです。
お互いが納得した条件で、どこまで支援するかを確認してから一緒に仕事をしましょう。
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