コンサル実務 人事制度

私が感じた評価制度導入のメリット4つ|診断士実務

投稿日:

こんにちは!中小企業診断士のカズユキです。

今回は評価制度について解説します。

おさらい「評価制度の目的」

私は実務で評価制度の構築を支援しています。

このブログで何度も申し上げていますが、評価制度の目的は「評価をする」ではありません。

この制度を活用して、人材を育成することが目的です。

そのためには、

  • 会社が求める人物像を明らかにする
  • それをみんなに共有する
  • 結果を本人にフィードバックする

といったことが重要です。

過去のブログで書いていますので、参考にしてください。

理想の評価制度を構築するために

 

今回は評価制度を導入した会社で、私が感じたメリットをお伝えします。

メリットは以下の4つです。

  • 理想の人物像が明確になった
  • コミュニケーションツールになる
  • 社員の経営参画意識が向上した
  • 評価要素の漏れがなくなった

それでは解説に進みます(^^)

 

メリット1「理想の人物像が明確になった」

一つ目のメリットは、経営者が求める人物像が明確になったことです。

経営者の頭の中には、

「こんな人に育って欲しい」

「こんな行動をとって欲しい」

「こんな考えで仕事に取り組んで欲しい」

といったものがあります。

しかし形にしていないので、あいまいなことが多く、判定もあやふやになります。

例えば、役職者の役割はどういったものかを伝えずに任命されているケースがあります。

このような状態では、期待する働きをしてくれません。

社員も役職に相応しい働きをしようと頑張っていますが、ベクトルや優先度が違ってることがあります。

そもそも伝えていないので、仕方がありません。

経営者・社員共に満足した結果にならないのは当然です。

評価制度を構築する時には、どのような人物像なのかをヒアリングで明らかにしていきます。

新人社員、ベテラン社員、主任、課長などなど、各等級ごとにどのような働きをして欲しいか具体的に記載します。

このように評価制度を構築していくと、あいまいになっていたことが明確になったり、経営者自身も気が付いていなかったことが新しく出てきたりします。

出来上がった評価シートは、会社の資産になります。

 

メリット2「コミュニケーションツールになる」

メリットの二つ目は「評価制度がコミュニケーションツールになる」です。

経営者と従業員は立場が違いますので、分かり合えることはなかなか難しいです。

経営者は会社を守り、雇用を守る使命があります。

従業員は与えられた役割を全うすれば、それに応じた賃金を得ることができます。

相反する立場にありながらも、会社の利益を上げれば職場の環境が良くなるということは共通です。

共通の目的があるにもかかわらず分かり合えない理由に「コミュニケーション不足」が挙げられます。

コミュニケーションが不足していると、あることないこと想像してしまい、関係がこじれてしまうことがあります。

 

例えば、何か新しい取り組みを使用としたときには、

「なんか変なことさせられるんじゃ」(ーー;)

評価制度を相談なしに導入すると、

「俺たちの給料を下げる理由を作る気だ」(ーー;)

モチベーションを挙げようと昇給した場合でも、

「なんか裏がありそう」(ーー;)

「結局ボーナスで調整して年収ベースは変わらないんじゃ」(ーー;)

とこんな感じです。

 

評価制度を構築する時には、幹部社員を巻き込んで進めていきます。

特にどういった行動を促すか、具体的な評価項目のチェックをしてもらいます。

また運用時に過度な負担がかからないように調整します。

一般社員の方には導入前に説明会を実施して、どういった目的で導入するかを2時間ぐらいかけて丁寧に説明します。

こういった構築の過程で、どのような中身にすればよいか知恵を借ります。

「せっかく導入するのだから、良いものを作りたい」という思いを伝えます。

そうすると、いろんな意見が出てきます。

 

また評価制度は結果を本人にフィードバックする機会があります。

公表するレベルは会社の風土によって違います。

おすすめは「良い部分を3つ伝えて、改善点を1つ伝える」ぐらいの割合です。

できている部分を褒めて、ちょっとだけ改善を促す程度で十分です。

たくさん改善点を伝えても、一気に実行することは難しいです。

極端な話ですが、1つに絞ってあげたほうがわかりやすいです。

 

このように評価制度の構築過程と構築後のフィードバックができるので、経営者と社員、または社員同士のコミュニケーションをするきっかけを作ります。

会話をすると相手のことや立場が分かるので、互いを尊重した関係を築くことができます。

 

メリット3「社員の経営参画意識が向上した」

メリットの三つ目は「社員の経営参画意識が向上した」です。

メリット2からの発展です。

評価制度の構築を幹部社員に伝えて、意見が欲しいことを伝えると、会社のやろうとしていることに関心してくれます。

一緒になって理想の人物像について考えてくれます。

また運用しやすく効果的になるようにアイデアを出してくれます。

評価制度は人材育成を目的に構築しますので、こうした取り組みは経営に大きくかかわります。

 

そうです、評価制度構築に関わることは、経営に参画しているとほとんど同じです。

一緒になって職場環境の向上に協力してくれる社員は、長く貢献してくれます。

こうした社員を作るためにも、評価制度構築に巻き込んでいくべきです。

 

メリット4「評価要素の漏れがなくなった」

最後のメリットは「評価要素の漏れがなくなる」です。

評価制度は評価をつけることが目的ではありません。

経営資源で最も重要な「ヒト」を理想の人物へ育成することが目的です。

評価制度を作ると、その人の優れた部分や、改善してほしい部分が明らかになります。

しかもいろんな観点から判定するので、漏れがなくなります。

これを頭の中だけで評価すると、どうしても漏れが出ます。

しっかりと文字にアウトプットすることで、着実な人材育成につなげます。

 

またフィードバック面談においても、評価制度は活躍します。

面談をする時に困るのが、

「話すネタがない」

です。

何も準備せずに面談をすると、会話が5分と持ちません。

まあ、何も準備せずに面談すること自体がまずいですが・・・

評価制度により、漏れのない評価項目と具体的な着眼点を構築しておけば、どれを伝えるべきか準備がしやすいです。

漏れなく様々な観点で判定ができるので、伝え漏れがなくなります。

たくさんあるネタから、あえて絞って伝えることで、伝わりやすく、最も伝えたいことを伝えることができます。

 

最後に「ポイントは社員を巻き込む」

このように評価制度を構築しておけば、たくさんのメリットを得ることができます。

そのためには導入する時に、着実に手順を踏みながら、社員を巻き込むことが重要です。

巻き込むことで、社員が主体的に参加してくれます。

この主体的が責任感を生みます。

自分がかかわった内容だから、責任をもって制度を運用しようという気持ちになります。

人から与えられて、命令されるがまま作業をするよりも、自分でやることを決めたほうが「やる気」が湧きますよね(^^)

これは評価制度に限らず、会社がやろうとしている取り組みすべてに言えることです。

例えば、改善活動や5S活動も全社員を巻き込むことが、活動の成功を左右します。

どうか評価制度も経営者が勝手に作らずに、幹部社員に相談しながら良いものを作って下さい!

当サイトではアフィリエイトプログラムを利用して商品を紹介しています。

 
  にほんブログ村 資格ブログへ
にほんブログ村

-コンサル実務, 人事制度

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

関連記事

評価制度の大前提と3つの原則

こんにちは!中小企業診断士のカズユキです。 評価制度を作る時に、 「どういったことに注意して作れば良いか」 と相談を受けます。 中小企業では評価制度を導入されていない企業がまだまだあります。 従業員数 …

私の実務「目標管理」による改善活動

こんにちは!中小企業診断士のカズユキです。 今回は私の実務「目標管理」について事例を挙げながら説明します。 改善活動を推進する「目標管理」 私は中小企業診断士として、会社の改善活動を支援しています。 …

責任感を醸成するには「当事者に巻き込む」|診断士実務

こんにちは!中小企業診断士のカズユキです。 今回は責任感を持たせるにはどうすればよいかについて解説します。 ある会社の事例 ある製造業の話です。 そこでは度々納期遅延が発生していました。 調べてみると …

5S活動で高次元の欲求へ|マズローの欲求5段階

こんにちは!中小企業診断士のカズユキです。 私は中小企業診断士試験をストレート合格して、40歳でコンサルタント会社に転職しました。 このブログでは、試験や実務のことについて書いています。 今回は「マズ …

評価者訓練で評価をする側のプレッシャーを緩和する

こんにちは!中小企業診断士のカズユキです。 今回は評価制度についてです。 評価制度と聞くと「人に点数を付けられるのはイヤ」と思う人が多くいます。 「評価する側は気楽でいいなぁ」なんて思う人もいます。 …