こんにちは!中小企業診断士のカズユキです。
私は中小企業診断士試験にストレート合格しました。
ほとんど独学で勉強をしてきましたので、自分なりのノウハウをブログで伝えています。
今回は雇用についてです。
企業にとって人的管理は非常に重要です。
経営資源は「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」がありますが、すべてはヒトが活躍しなければうまくいきません。
ヒトにかかる費用もかなり掛かります。
給料以外にも、教育費は福利厚生など経費の大きな割合を占めます。
しばらくは人的資源管理を解説します。
採用について
採用計画は計画・募集・選考・採用
企業がヒトと関わる最初の段階は採用です。
採用においては当然計画をします。
- どのようなキャラクター・能力の人材が必要か
- 人件費のコントロールを考えて何人採用を行うか
この2つを念頭に置きます。
会社が大きいと部署で必要な人材人数を積み上げて考えることもあります。
その場合も最終的には人材会議等で採用人数を決定します。
会社のニーズとコストをバランスよく考えて採用を行わないと、生産性の向上につながらなかったり、人件費比率が向上して利益を圧迫したりします。
その後は採用計画を基に募集・選考・採用を行っていきます。
一時期は募集をかければ中小企業でも人が集まっていました。
労働力を買う企業側が非常に有利でした。
いわゆる「買い手市場」ってやつですね。
しかし近年は人手不足が叫ばれています。
労働力を売る側である労働側が有利です。
この状態を「売り手市場」といいます。
採用の方法は一括採用から通年採用へ
近年の日本の雇用形態は多様化しています。
従来は新卒一括採用で、正社員中心・終身雇用が一般的でした。
最近は一括採用も行っていますが、随時中途採用を募集する「通年採用」が行われるようになってきました。
更にさまざまな雇用形態の人材が活躍しています。
- 経験者の中途採用
- アルバイトなどの非正規社員
- パートなどの短時間労働者
- 派遣社員
この背景としては、
- 企業の業績の行き先を心配している
- 労働に対するニーズの変化
があります。
インターンシップ制度
インターンシップ制度とは「新卒採用の学生が在学中に就業体験をする制度」です。
学生側のメリットは
「事前に就業体験ができるので、仕事や企業の理解を深めることができる」
企業側のメリットは
「学生と絆を深めて優秀な人材確保する」
「学生に良い印象を持ってもらい企業イメージの高める」
といった感じです。
RJP(Realisitic Job Preview)
RJP(Realisitic Job Preview)は企業のありのままを伝えようとする広報戦略です。
一般的には魅力的な人材を集めるために、横暴者に交換してもらいやすい情報を強調します。
RJPではそれだけではなく、好感されにくい現実の姿もさらしていきます。
なでこのようなことを行うのか?
RJPの効果は以下の3つです。
- 自己の能力を見つめなおしてもらい、自己選抜によって応募を辞退させる
- 仕事や職場にすぐに適応できるようにする
- 入社後のギャップを少なくすることで、離職を回避する
優良企業でもいろんな課題を抱えています。
事前に教えてもらえるとありがたいですが、採用の競争が激しいので判断が難しいですね(^^;)
配置について
人材の配置の理想形は「適材適所」です。そのために適切に人材を異動させる必要があります。
異動の種類は「垂直」と「水平」
異動の種類は
- 昇進・昇格の「垂直的異動」
- 配置転換の「水平的異動」
垂直的異動は上位の役職を与えることです。
部長や課長などの役職もありますが、マイスターやエキスパートなどの専門職に昇格することもあります。
水平展開の異動である配置転換の目的は主に3つあります。
- 人材を適材適所に配置すること
- 従業員を育成する
- 組織の活性化させる
いろんな異動を行うことで組織の停滞から脱却してモチベーション向上や生産性向上を狙います。
配置転換については4つ事例を挙げます。
配置転換の具体例
ジョブローテーション
ジョブローテーションとは、いろんな仕事を担当させてます。
会社の行っている仕事を担当させることで、長期的に会社に貢献できる人を育成します。
日本ではいろんな仕事を幅広くこなすことができる「ゼネラリスト」を育てることが多いです。
一方で欧米では一つの仕事を深く掘り下げる「スペシャリスト」が多いです。
これは評価賃金制度に違いがあることが要因です。
日本では人に対して評価をする「職能給」という考え方が根強いです。
勤続年数が上がることで習熟が高まり、それに伴って賃金が上がります。
欧米ではやっている仕事に対して賃金が決まる「職務給」の考え方です。
仕事を深く掘り下げて、より高度で専門的な仕事ができるようになれば賃金が上がります。
どちらが優れているというわけではないですが、日本においても同一労働・同一賃金が導入されてきていますので、仕事中心の「職能給」が浸透してきています。
CDP(キャリア・デベロップメント・プログラム)
キャリア・デベロップ・メントプログラムは、長期的な人材プログラムのことです。
英語の意味を調べると
- Career(キャリア):仕事・職業
- Development(デベロップメント):開発
- Program(プログラム):計画
つまり「仕事開発計画」です。
そのままの意味ですね(^^)仕事の能力を計画的に育成します。
CDPでは従業員のキャリアプランの実現と企業のあるべき人材像をすり合わせて計画していきます。
すり合わせは面談等で実施します。
上司と部下が納得できる計画を立てて教育訓練を行っていきます。
社内公募制度
社内公募制度はプロジェクトチームを結成します。
最近では会社の部署間を超えたプロジェクトを発足してい、組織の活性化をする企業が増えてきました。
新しい事業や企画が立ち上がったときに、社内で要因を募集します。
社員は自分の意志で応募するかどうかを判断します。
複線型人事制度
複線型人事制度ではキャリアプランを複数用意して、自分に合ったキャリアプランを従業員に選んでもらいます。
一般的には管理職コースや専門職コースなどが挙げられます。
経営に携わりたい場合は「管理職コース」を選び、現場の第一線で働きたい場合は「専門職コース」を選びます。
これまでのキャリアプランは単線型といわれる、一つのキャリアプランしかありませんでした。
しかし仕事に対する考え方が多様化しており、すべての方がそのキャリアプランに進みたいわけではありません。
個人の適正もありますが、多様化した価値観に対応できるようになっています。
退職
次に退職について解説します。
従業員は企業との間で雇用契約を結びます。
通常の雇用契約では期間の定めのないのが一般的です。
退職になるのは2パターンです。
- 自己都合による退職
- 会社都合による退職
自己都合による退職では個人の自由意志です。
会社都合には定年退職や業績不振による人員整理があります。
定年退職と雇用延長
定年退職とは「一定の年齢になると自動的に退職になる制度」です。
定年になる年齢は会社によって違います。
ほとんどが就業規則に記載されています。
以前は60歳が定年退職の年齢として一般的でしたが、平成18年から高年齢者等雇用安定法が改正されて延長されることになりました。
具体的には65歳まで定年退職が段階的に延長されています。
法律の改正により、企業は雇用延長の義務が発生しました。
具体的には、
- 定年の延長
- 継続雇用制度
- 定年の廃止
上記3つの制度から選択します。
1の定年の延長では65歳や70歳まで定年を伸ばすことです。
2はいったん定年になるが、雇用を継続する制度です。
これは2パターンあります。
勤務延長制度 | 定年の年齢になった従業員を引き続き雇用する |
再雇用制度 | 定年の年齢になった従業員をいったん退職させて再び雇用する |
会社も新陳代謝を図りたい思いがあるのですが、ベテランが抜けてしまうと仕事の品質が保てるか心配です。
しかしいつまでも雇用を続けると人件費のコントロールが難しいです。
私が関わっている会社では、再雇用が多いです。
嘱託社員になり役職が外れることで、ベテランの技術を伝承する機会を作りつつ人件費をうまくコントロールしています。
3の定年の廃止は採用している会社は少ないです。
小さい会社だと定年を迎えてもそのまま雇用しているパターンもありますが、就業規則には定年の年齢を設定しています。
人件費のことを考えると、特に規模が大きいところは難しい選択です。
定年の年齢が引き上げられた一方で、定年の年齢を迎える前に退職を推奨する事例も増えてきました。
これは「早期退職優遇制度」です。
名称のごとく「早く退職したら退職金を優遇します」といった感じです。
別名で「選択定年制」と呼ばれています。
雇用調整
雇用調整とは「過剰になっている雇用を削減する」ことです。
サラッと言いましたが、「解雇」のことなので恐ろしいですね(^^;)
早期退職優遇制度の目的は人件費の削減ですが、企業の業績が悪化すると雇用調整を行います。
しかし労働者は労働基準法等で保護されていますので、簡単に解雇することはできません。
また解雇を選択する前に別の方法で努力をする必要があります。
雇用調整の順番
雇用調整の順番は以下の通りです。
- 残業規制
- パート・アルバイト削減
- 採用停止
- 配置転換
- 退職者募集
- 退職推奨
退職を推奨するのは最後の手段です。
次に解雇を行うにはどのような要件が必要か解説します。
解雇を行うには
解雇を行うためには客観的で合理的な要件を満たす必要があります。
以下の4つです。
- 相当の必要性がある
- 解雇を回避するために努力した
- 解雇される人の選び方が妥当
- 説明協議を実施した
解雇は会社を守るための最後の手段です。
会社が倒産してしまうと、多くの人が路頭に迷うことになります。
選ばれて人もたまったもんじゃないですが、経営者も相当なストレスを抱えています。
今回のまとめとおまけ
今回は雇用・配置・退職とざっくり人材管理について解説しました。
最後にざっと振り返ると、
- 採用は計画・募集・選考・採用
- 採用方法は新卒一括採用から通年採用が主流になってきている
- 異動は昇進の「垂直」と配置転換の「水平」
- 配置転換の具体例は「ジョブローテーション」「CDP」「社内公募」「複線型」
- 定年延長により企業は「定年の延長」「継続雇用制度」「定年の廃止」を選ぶ
- 近年は「早期退職優遇制度」を活用する企業が増えている
- 解雇は相当な制限がある
まとめるとこんな感じでしょうか(^^)
ちなみに、人的管理の覚え方があります。
「茶化」
と覚えると、2次試験で活躍します。
- サイヨウ(採用)
- ハイチ(配置)
- ホウシュウ(報酬)
- イクセイ(育成)
- ヒョウカ(評価)
それぞれの頭の文字をカタカナして並べると感じの「茶化」になります。
2次試験では退職に関することは話題に上がらないので、
一つ覚えておいてください(^^)
私は通信教育をおすすめします!
私は通信教育をきっかけに独学で中小企業診断士試験を合格しました。
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学習は何でも良いので継続すれば大きな力になります。
もしどんな勉強を始めたらよいかわからない方がいらっしゃったら、中小企業診断士をおすすめします。
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