こんにちは!中小企業診断士のカズユキです。
今回はM&Aについてです。
最近は中小企業診断士試験の企業経営理論について解説しています。
私がこういった知識を解説している目的は3つあります。
- 中小企業診断士を目指す方を応援したい
- みんなにビジネスに必要な「知識」を学んで「知恵」をつけてほしい
- 自分の実務能力を高めたい
企業経営理論にはたくさんのフレームワークがあります。
コンサルティング業をする場合こういった考え方は重要です。
個別の業界については、従事している方の知識にかないません。
しかし経営改善する上で仕事の標準化や不良品削減、人材育成を行う際に我々が導いていかなくてはなりません。
その時に漏れなくダブりなく仕事を進めていく必要があります。
経営のフレームワークを駆使して仕事を進めていくことで、確実に改善の方向に導いていくことができます。
ですので、このブログには自分のために情報を整理して実務に活かそうという側面もあります(^^)
話がそれましたが本題のM&Aに移ります(^^;)
最近は中小企業の事業承継問題もあり、規模の小さいM&Aがすすんでいます。
中小企業の価値のある技術が承継されずにロストテクノロジーと化してしまう恐れがあります。
そうすると日本の競争力が失われていきます。
また、企業が多角化するときに「自社で育成」するよりも「他社の技術を取得」するほうがスピーディーです。
M&Aはノウハウがある人材や技術・サービスなどを素早く取得することができます。
こういったことで変化の速い時代に対応することができます。
自社で育成していった場合、やっと事業化ができた時点では顧客ニーズが変化している可能性があります。
では内容の概要・中小企業診断士試験での重要性を解説いたします。
ここで学べること
M&Aとは
企業の合併と買収
M&Aの種類
TOB(Take Over Bid):株式公開買い付け
MBO(Management Buy Out):現在の経営者が自社を買う
MBI(Management Buy In):外部の経営陣が買う
LBO(Leveraged Buy Out):買収する企業を担保にお金を借りて買収
M&Aのメリット・デメリット
新規事業をスピーディーに始めることができるが組織の統合がうまくいかないことがある
買収防衛策
ポイズンピル:既存の株主に安く株を購入できる権利を与える
クラウンジュエル:自社の魅力的な事業を売却してしまう
ゴールデンパラシュート:経営陣の退職金を高く設定する
ホワイトナイト:友好的な第三者に買収してもらう
中小企業診断士試験の重要度
今回の内容を中小企業診断士試験の重要度で表します。
一次試験 ★★★☆☆
出題されたパターンとしては、知識系の問題が中心です。
つまり知っているかどうかで解答できるかどうかが決まってきます。
ちょっと細かいことを突いてくるので、丸暗記でなく理解して覚えておいた方が良いです。
MBO(Management Buy Out)
株主追い出して経営者がオーナーになる(追い出すからOUT)
MBI(Management Buy In)
外の人に経営参加してもらう(入ってもらうからIN)
上記2つは間違えやすいので注意です。
二次試験 ★★☆☆☆
これまでは事業承継の細かい知識を問われることはありませんでした。
ですので、重要度は低くしています。
しかし中小企業の事業承継が問題になっているので、念のため知識は入れておいてください。
M&A(Merger and Acquisition)
M&Aでは別の企業と統合をします。
統合の方法としては「水平統合」と「垂直統合」があります。
水平統合
主には同じカテゴリーで企業統合を図ります。
競合同士が合併してスケールメリット(規模の経済性)を得ます。
規模が大きくなるほどコストの面で有利になります。
自動車メーカーが別の自動車メーカーと統合することが挙げられます。
互いが今まで蓄積した経営資源を融合して相乗効果を得ることができます。
垂直統合
垂直統合とはサプライチェーンの川上・川下で統合を図ります。
外部から仕入れていた部品を自社に取り込むことで、部品の外注コストを削減したり、部品の作成ノウハウを得ます。
自動車メーカーが部品メーカーを内製化してメリットを得る感じです。
また食品メーカーが飲食店と統合することで自社の食品を直接販売することができます。
また直接消費者の反応を見ることができるので、新製品開発に活かすことができます。
また「水平」と「垂直」を組み合わせた「多角的統合」というのもあります。
経営権の移転
企業統合を行うときに、経営権が移転するパターンと移転しないパターンがあります。
一般的にM&Aによる買収や統合は経営権が移転します。
経営権が移動したり、どちらかに経営権が集中したりします。
ちなみに経営権の移転を伴わない統合もあります。
それは、「合弁」や「提携」です。
合弁
合弁とは「複数の会社が同じ目的のために共同で会社を立ち上げること」です。
新しい事業以外にも研究開発の目的で立ち上がる例もあります。
提携
複数の会社が契約で協力関係を結んで事業展開をすることです。
これまで紹介した統合の中では一番弱いつながりです。
会社を経営していくためには顧客が必要としている価値を提供する必要があります。
しかし顧客を獲得していくためには自分たちだけではノウハウや技術が足りないことがあります。
企業が協力することで新しい価値を必要なタイミングで提供することができます。
M&Aの主要な4つ
M&Aは中小企業でも行われるようになりました。
国や自治体が事業承継ができるよう支援したり、インターネットでM&Aの仲介するプラットフォームも多いです。
ここからはM&Aの手法について解説していきます。
TOB(Take Over Bid)
TOBとは株式公開買い付けのことです。
この手法はある企業の買収したいときに、株価と期間を表明して証券取引所を通さずに不特定多数から株式を購入します。
もちろん株価は通常よりも高く設定して魅力的にします。
メリットは「短期間で大量に株式を取得できること」です。
この場合、買収される側の企業が同意しているかどうかで「友好的」「敵対的」と呼び方が異なります。
当然ながら同意している場合は「友好的」、同意していない場合を「敵対的」と呼びます。
コロワイドが大戸屋を買収した際は「敵対的」買収でした。
MBO(Management Buy Out)
MBOは現在の経営陣が自社は事業を買収することです。
これを行うことで経営陣が経営権を持つオーナーになります。
「経営者って経営権を持っているんじゃないの?」
と思いますよね(^^)
日本では「所有」と「経営」が一緒になっていることが多いです。
いわゆる「オーナー経営者」です。
アメリカでは「所有」と「経営」が分離していることが多いです。
会社に出資いている「株主」が経営権を持っており、経営権を持っている株主に任命された「経営者」が経営を行います。
運営する人と所有してている人が分かれているので経営が間違った方向に行かないよう制御することができます。
企業統治(コーポレートガバナンス)ともいいます。
しかし「株主」は配当など短期的な成果を求める傾向にあります。
そのため中長期的な経営をすることが難しいです。
その場合に経営者がオーナーとなり権限を強化することで長い視点に立った経営を行うことができます。
MBOにはそういった目的があることを覚えておいてください。
MBI(Management Buy In)
MBIは外部の経営陣が買収するパターンです。
MBOが派生した呼び方と言われています。
内部の経営陣ではうまくいかないので外部から経営のプロに任せるイメージです。
外部の経営陣が組織文化になじむかどうかが成功のカギです。
いくら経営のプロが指揮を執っても中で働いている社員は人間です。
人間は感情の生き物なので信頼できる人でないと反発されます。
組織が活性化するためには信頼関係を構築して進めていかなくてはいけません。
LBO(Leveraged Buy Out)
LBOは買収する企業を担保にお金を借りて買収をすることです。
買収は当然に大量の資金が必要です。
LBOでは企業の資産や将来性を担保にして資金を金融機関から調達します。
この方法であれば自分たちで資金が用意できなくても買収を行うことができます。
しかし買収する企業の業績によって返済計画が崩れる可能性があります。
自己資本比率など財務的に悪化しますので、リスクが大きい買収方法です。
M&Aのメリットとデメリット
M&Aには良い部分と悪い部分があります。
M&Aのメリット(スピーディーに新規事業ができる)
M&Aのメリットは何といってもスピードです。
新規事業や事業再生をスピーディーに行うことができる。
お金がかかりますが時間を短縮することができます。
自社が一から新規事業を立ち上げるのは時間がかかります。
またノウハウが少ない状態でスタートすると事業化が成功するかどうかもわかりません。
莫大な時間と資金がかかるうえに失敗のリスクが伴います。
M&Aはある程度成功している事業を取り込むことができます。
優れた技術や人材も取得することができます。
M&Aのデメリット(企業評価が難しく、その後の運営が難しい)
買収するときに事前にどれくらいの価値があるか評価します。
しかし払った金額に比べて思ったほど成果が出せない可能性があります。
後から問題が発覚することもあります。
また買収後の組織運営は非常に難しいです。
企業は独自の組織文化を持っています。
組織文化とは「その企業の価値観や考え方、仕事の進め方」などが挙げられます。
これは個人で言うと「性格」みたいなものなので、企業によって違うのは当たり前です。
違う組織文化を持った企業同士が統合しようとすると必ずもめます。
その過程で大事な人材を失うなど、企業価値が下がってしまうことがあります。
互いの文化を認め合って新しい文化を創り出すのは粘り強い話し合いが必要です。
買収防衛策の主な4つ
仮に経営陣が買収に賛成でなければ「敵対的買収」となります。
その際には経営陣は買収されないように様々な対策を打ちます。
ここでは代表できな防衛策4つを解説します。
ポイズンピル
日本語でいうと「毒薬」です。
これは既存の株主に安く株を購入できる権利を与えておきます。
いわゆる「新株予約権」を付与します。
そして敵対的買収など一定条件が成立すると発動します。
発動されると株式を安く購入できるので既存の株主は取得することでしょう
そうすると買収する側は大変です。
過半数の株式を取得するためには、より多くの買わないといけなくなります。
「ちょっと面倒だなぁ」
と相手に思わせることができれば、買収予防につながります。
買収側の意欲をそぐ効果があります。
クラウンジュエル
クラウンジュエルとは「宝石」です。
企業にとって宝石とは「たくさんのお金を生み出す事業」です。
ではその事業がなかったらどうでしょう?
「そんな魅力のない企業買収しませ~ん」
となります。
つまりクラウンジュエルとは「自社の魅力的な事業を売却してしまう」ことです。
これは「焦土作戦」とも言われています。
焦土作戦(しょうどさくせん)とは、戦争等に占領されて奪われる地域の利用価値をなくすことです。
建物・施設や食料その地の生活に不可欠なインフラを利用価値がなくなるよう破壊します。
ただしこんなことをやってしまってはその企業の価値はかなり下がってしまいます。
既存の株主に対して説明と同意が必ず必要です。
ゴールデンパラシュート
ゴールデンパラシュートは「経営陣の退職金を高く設定する」ことです。
通常では「敵対的買収」において買収が成立すると現在の経営陣は解任されます。
解任される取締役の退職金を高額に設定しておくことで、買収するときに必要な資金を上乗せします。
買収する資金のわりにリターンが少ないと買収する意欲がそがれます。
ホワイトナイト
ホワイトナイトは「敵対的買収が仕掛けられた際に友好的な第三者に買収してもらうこと」です。
協力的な企業に買収してもらうほうが、経営陣の継続や株主の同意、従業員の安心などが得られやすいです。
敵対的買収よりも受け入れられやすく、企業価値が損なうリスクも少ないです。
今回のまとめ
今回はM&Aについて解説いたしました。
内容をまとめると以下の通りです。
- M&Aとは企業の合併と買収のこと
- M&Aの種類は主に4つ(TOB、MBO、MBI、LBO)
- 新規事業をスピーディーに始めることができるが組織の統合がうまくいかないことがある
- 買収防衛策の代表例(ポイズンピル、クラウンジュエル、ゴールデンパラシュート、ホワイトナイト)
知識問題が多いので覚えておくと得点できる可能性があります。
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