企業経営理論

モチベーション理論について(企業経営理論)

投稿日:2020年11月25日 更新日:

こんにちは!中小企業診断士のカズユキです。

 

前回は経営管理の成り立ちを説明しました。

テイラーの科学的管理法と人間関係論(企業経営理論)

経営管理では生産性を向上させる要因は単純に報酬や作業条件だけでなく、人間関係や動機づけの重要性にたどり着きました。

今回のモチベーション理論では、いかにして人の意欲を高めるかについて解説します。

モチベーションは日本語で言うところの「動機づけ」です。

動機付けを行うためには個人的な目的達成や欲求を満たす必要があります。

動機が高まる過程について研究が行われました。

 

モチベーション理論は大きく2つ

モチベーション理論には「内容理論」と「過程理論」があります。

内容理論

何が動機づけの要因になっているかと注目する理論です。

 

過程理論

どのような過程を経て動機づけが行われるかを考えた理論

 

内容理論

では内容理論はどのようなものがあるか見ていきます。

マズローの欲求段階説

心理学者のマズローが提唱した説です

人間の欲求を5段階に体系化したものです。

生理的欲求 衣食住など生命を維持する欲求
2 安全の欲求 雇用の保証などを求める欲求
3 社会的欲求 良好な人間関係を求める欲求
4 自我の欲求 周りから認められたいという欲求
5 自己実現の欲求 自分の可能性を発揮したい欲求

欲求レベルは1が一番低次元で、5が最終段階です。

 

まず欲求は1の生理的欲求から充足されていきます。

低次元の欲求が満たされると上の欲求を満たそうとします。

低次元の欲求は一度満たされると、動機づけの要因にはならなくなります。

最終段階の「自己実現の欲求」は終わりがありません。

ある目標が達成されても、さらに上の目標にチャレンジしたい欲求が生まれます。

 

マグレガーの X 理論・Y 理論

マグレガーの理論は人間には2つの見方があることを提唱しました。

X理論は「従来からの人間観」を表しています。

この人間観は仕事が嫌いです。

できることなら仕事はしたくないという考え方です。

ですので仕事をさせるためには、強制したり罰則を設けたり脅したりします。

このような人間観を前提にして労働者の管理を行うとどうなるか?

「命令と統制による管理」が必要になってきます。

 

一言で言うと「ブラック企業」ですね(^^;)

 

それと比較するとY理論は「新しい人間観」です。

この人間観は仕事に対して前向きです。

自分で決めた目的のためには進んで動きます。

さらに報酬や条件によっては進んで責任を引き受けます。

目的を達成するために自分なりに工夫もします。

 

結論から言うとX理論に基づいた管理では本来の従業員の能力を発揮できていないので、Y理論に基づいた管理が必要であると提唱しています。

 

具体的にはMBO(Management By Objectives)と呼ばれるものがあります。

「目標による管理」と日本語で言いますが、かえってわかりにくいですね(^^;)

これは個人で自分の目標を設定して主体的に達成していく管理方法です。

自分で決めた目標なので、与えられる目標よりも意欲的に達成しようとします。

達成意欲が強いので創意工夫や協力体制が強固になります。

 

ハーズバーグの動機づけ・衛生理論

ハーズバーグは動機づけに「不満足要因」と「満足要因」の2つがあると考えました。

不満足要因では、改善すれば不満足は減らすことができますが、積極的な動機付けにはつながらないものです。

例えば、会社の方針や労働条件、給料や人間関係がこれにあたります。

これらは条件をよくしても不満足は減少するが、積極的な動機付けにつながらないです。

 

不満足要因は「衛生要因」とも呼ばれます。

医学的な衛生という言葉は、病気を防ぐ効果はあるが治療にはならないことから名づけられました。

 

逆に満足要因のことを「動機付け要因」と呼びます。

動機づけ要因は、仕事そのやりがいや、責任・昇進などが挙げられます。

マズローで言うと高次元の欲求を満たすということになります。

高次元の欲求を求める人には、衛生要因では動機づけにつながりません。

動機づけ要因を改善することがモチベーションアップにつながります。

 

動機づけの具体的な方法としては、仕事の責任と権限を拡大することが挙げられています。

これは職務充実(ジョブ・エンリッチメント)と呼ばれます。

エンリッチメントは日本語で「濃縮」です。

これは「職務の垂直的拡大」です。

 

アージリスの未成熟・成熟理論

アージリスは「人間は未成熟の状態から成熟していく存在」であると言いました。

人間は成長することで受け身の姿勢から自分から動くようになり、依存した状態から自立した状態へと変わっていきます。

それに対して既存の組織ルールであると、従業員に未成熟な状態を要求してしまっています。

人間の成長を組織をが押さえつけてしまっています。

 

対策としては、人間の成長を妨げないような組織にすることが重要です。

アージリスはその対策として「職務拡大」を挙げています。

職務拡大は仕事の範囲を水平拡大することです。

「ジョブ・エンラージメント」とも呼ばれます。

エンラージメントは拡大・引き延ばしという意味があります。

 

ハーズバーグとアージリスの違いは

  • ハーズバーグの理論は職務充実という垂直的な拡大
  • アージリスの理論は職務拡大は水平的な拡大

といった違いがあります。

よく中小企業診断士試験では問われるので覚えておいた方が良いです。

 

過程理論

過程理論では、内容理論と違いどのようなプロセスが動機づけになるかに注目します。

ブルームの期待理論

ブルームは動機づけの内容や強さは人によって異なることを指摘しました。

そして動機づけの強さを公式化しました。

動機づけの強さ=期待される報酬の価値 × 報酬を得られる確率

要するに

期待される報酬の価値とは「本人にとって報酬がどれくらい魅力か」ということです。

また、報酬の得られる確率は「目標達成できそうかどうか」という意味です。

 

ちなみに報酬は金銭的だけでなく非金銭的なものであっても対象になります。

仕事の充実感や達成感など、個人の動機づけになるものを含みます。

報酬の価値は人によって違いますので、人によって動機付けの強さも変わります。

 

報酬の得られる確率は「努力によって得られる可能性があるか」という感じです。

報酬が魅力的でも、目標が高すぎて得られる可能性が低いと動機付けにはならないということです。

 

マクレランドとアトキンソンの達成動機説

過程理論でもう一つ有名なのが、達成動機説です。

達成動機とは「高い目標を達成したいと思っている意識が高い方が多く持っている動機です。

この達成動機が高い人が好むのは以下の3点です。

  • 個人の責任で仕事を行いたい
  • 迅速なフィードバックしてほしい
  • 中程度のリスクで仕事がしたい

「中程度のリスクってなんだ!?」

って感じですよね(^^)

 

具体的には「成功する確率が50%以上」という感じです。

成功する確率がちょっと高めであれば、動機づけされます。

ですので、成功する確率が高すぎるとチャレンジ意欲が刺激されないので、あまり動機付けにはなりません。

この理論で対象となるのは「成功したい思いが強い」です。

成功したい欲求が高い人を動機づけするときに参考になります。

 

今回のまとめ

今回はモチベーション理論について有名どころを解説いたしました。

このあたりは診断士試験で良く出題されます。

たまに「誰っ!?」っていうような理論が登場します。

そんなわからない選択肢があると、心が折れそうになります。

しかし、ここで紹介した理論を覚えておくと、わからない選択肢があっても正解できることがあります。

実際私は明らかに正解の選択肢を見つけることができたので、他の選択肢がわからなくても正解できました。

問題を解くときは最後まであきらめずに取り組んでください。

 

それでは今回のまとめに入ります。

  • モチベーション理論は大きく2つ「内容理論」と「過程理論」

内容理論の有名な4つ

  1. マズローの欲求段階説
  2. マグレガーの X 理論・Y 理論
  3. ハーズバーグの動機づけ・衛生理論
  4. アージリスの未成熟・成熟理論

期待理論の有名な2つ

  1. ブルームの期待理論
  2. マクレランドとアトキンソンの達成動機説

他にも様々な理論がりますが、ひとまずここで紹介した理論から覚えていきましょう(^^)

 

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