こんにちは!中小企業診断士のカズユキです。
会社に勤めていると多かれ少なかれ、目標を設定されます。
この目標設定は非常に重要です。
目標設定を適正にしないと、本当の会社の課題を解決することはできません。
私が実際に経験したことをお伝えいたします。
立てた目標が高すぎる
私の支援先で実際に合った話ですが、
「目標を立てて活動しているものの、到達するまでに時間がかかりすぎる」
といったことがありました。
その目標について少しヒアリングしてみました。
聞いてみると「達成基準が高すぎる」ということがわかりました。
ちなみに達成基準というのは「どういう状態になれば達成といえるか」です。
具体的には
- 売上高○○○万円
- 新規顧客獲得数○○件
- 〇〇作業を独力でできるようにする
こんな感じです。
高い目標を設定することは悪くありませんが、高すぎると目標の意味がなくなります。
私も以前の会社で目標やノルマを設定されましたが、高すぎてほぼすべての従業員が達成することができませんでした(・・;)
そうなると「どうせ達成できないじゃん」って感じになって、モチベーションを大きく下げてしまいます。
更に達成できないことを詰められたら、辞めたくなりますよね(^^;)
成功体験を積んでいく
目標の達成基準は、最初から高く設定しないほうが良いです。
目標管理を導入する際には個人の力量を見ながら、手の届く基準からはじめ、徐々に高めていきます。
ヤル気の向上とともにやり方もわかってくれば、徐々に難易度を高め、基準のハードルを高くします。
最初に成功を味わうことが、その後のヤル気を大きく左右します。
この「成功体験」が大事です。
最初はムリをせず、簡単な事に取組むことで、大きな目標を達成することができます。
マイルストーン(中間地点)を置こう
目標はいつまでに達成するのか、時期を設定しなければなりません。
先ほどの「徐々に目標を高める」と組み合わせて、期間ごとにどこまで達成するかマイルストーン(中間地点)を置くと良いです。
例えば不良品の削減を目標にした場合、以下のように目標設定します。
①目標 | ②半期の達成基準 | ③達成方法 |
〇〇部門の生産性を高めるため、不良品の削減する
現状の不良率 1.3% |
不良率 1.0%以下 | 1.不良品の現状分析 |
2.不良品の対策検討 | ||
3.対策の実施 | ||
4.不良率の検証 |
最初の「①目標」は「どんなことに取り組むか」を明らかにします。
不良品の削減は永遠のテーマですので、半年や一年で終わりません。
まずは大きく目標を設定します。
次に「②達成基準」を明らかにします。
ここでは半期の目標を設定しています。
この半年の達成基準が「マイルストーン(中間地点)」です。
例では「1.0%」にしています。
ちなみに1.0%が達成できれば、次の半期ではハードルを高くして「0.9%」を目指します。
逆に達成することが難しい場合は、目標を下げることも検討します。
最後に「③達成方法」を明記します。
目標と達成基準だけでは「どうやって達成するの?」って思いますよね。
ここではPDCAの考え方を使います。
PDCAについては別のブログで解説しています。
まずはどんな不良品があるか現状分析をします。
現状分析しないと、何をすれば効果的かわかりません。
現状を分析すれば不良品を作ってしまう原因がわかります。
次の不良品の対策は、件数や金額が大きい原因にフォーカスします。
すべての原因に対策をしようとすると、時間がたくさんかかります。
細かい原因の対策に時間をかけても費用対効果が良くありませんしね(^^)
対策の実施をした後は、本当に不良品が減っているかを検証します。
ビフォーアフターを比較しないと、本当に効果があったかわかりません。
こうして書くと当たり前のことばかり書いていますが、これができていない会社が多いです。
現状を分析せずに対策案を考えたり、対策した結果を検証せずに次に活かさなかったり・・・
もったいないですよね。
目標の達成基準は「数値目標」か「状態目標」
達成基準は客観的にわかるように設定して下さい。
目標設定で見かけるのは、
- 5S活動の徹底
- 〇〇さんに組立作業を研修する
- 不良品を削減する
といった漠然とした目標です。
「5Sの徹底」はどこまで徹底すれば達成したことになるのでしょうか?
部門のメンバーが全員「5分間清掃」に参加すれば達成なのか?
工場内の不要品がなくなればよいのか(整理が完了)
必要なモノが棚にきちんと並んでいれば良いのか(整頓が完了)
この文章からは明確にはわかりません。
人によっては判断が分かれます。
〇〇さんへの組立作業の研修も、どこまで習得してもらえば達成なのかわかりません。
不良品の削減もどのくらいなくせば達成なのか不明です。
人によっては達成の判断が分かれやすくなってしまいます。
これらを明確にするには「数値基準」か「状態基準」を使います。
数値基準というのは、数値で目標を表します。
不良品の削減では、不良率を0.9%にするといった感じです。
このように数値で表すことで、誰が見ても達成できたかどうかを判断することができます。
状態基準はどのような状態になればよいかを表します。
「〇〇さんに組立作業の研修をする」では「〇〇さんが組立作業を独力でできるようにする」とします。
独力でできるという状態になれば達成なので、客観的な判断がしやすくなります。
また「5Sの徹底」では「A区画を整理を完了させる」とします。
漠然と徹底するよりも、客観的判断ができるようになります。
「ゼロにする」は目標でなく「スローガン」
目標の達成基準で見受けられるのが
「作業ミスをゼロにする」
「不良をゼロにする」
といったことを掲げることがあります。
しかし実際に作業ミスや不良がゼロになることはありません。
やはり人間なのでミスはつきものです。
このように明らかに達成できないことを掲げるのは目標ではなく「スローガン」です。
- 組立作業のミスを○○件以下にする
- 不良品の金額を○○万円以下にする
といった目標が現実的です。
このような「ゼロにする」目標は達成不可能なので、別の目標に変えましょう。
最後に(目標を作る仕組みを作ろう)
今回は目標設定について解説しました。
重要ポイントは
- いきなり高い目標を設定しない
- マイルストーン(中間地点)を置いて少しずつ目標を超えていく
- 「数値基準」や「状態基準」で達成基準を明らかにする
といった感じです。
目標設定をしっかりやることで、会社の課題を的確に捉えて解決することができるようになります。
しかしこうした目標設定は、会社の支援が必要です。
会社の支援とは「仕組みを作る」ことです。
具体的には、
- 目標設定を作るための時間
- 目標設定ツールの提供
- 目標の検討するミーティング
- 結果の振り返り
これらのことを期間を決めて実施していきます。
「うちの社員は自発的に行動しない」
といった経営者さんの声を聞きますが、会社としてのバックアップがないと自発的行動は難しいです。
逆にこうした仕組みがあると、積極的に取り組んでくれる社員もいます。
ぜひ仕組みを取り入れて、会社の活動を活性化していきましょう!
最後まで読んでいただき、誠にありがとうございます!
私の経験や知識をブログで全力発信しますので、今後もよろしくお願いします!