こんにちは!中小企業診断士のカズユキです。
前回は資本利益率について全体像を解説しました。
今回は売上高利益率について解説します。
売上高利益率の基本的な式は
売上高利益率 = 利益 ÷ 売上高
ですが、利益率にはいろんな種類があります。
代表的なものを紹介いたします。
実際にに計算したほうがわかりやすいので、損益計算書を載せておきます。
こちらも使用しながら解説いたします。
売上高総利益率
まずは売上高総利益率です。
式は、
売上高総利益率=売上総利益 ÷ 売上高×100
です。
売上高総利益率は「粗利益率」 と呼ばれています。
売上総利益は、売上高から売上原価を引いたものです。
売上原価は製造業であれば「原材料費・労務費・製造経費」が該当します。
卸・小売業であれば「仕入原価」が該当します。
この数値が高いと粗利が高いということです。
粗利が高いと儲かりますよね(^^)
それだけ粗利が取れるということは「商品力が高い」といえます。
競合がまねできない競争力の高い商品を生み出しているので、それだけ価値があると見ることができます。
もしこの指標が低い場合は価格を上げる・原価を下げるという改善をしなければなりません。
価格への転嫁は買い手の理解が求められます。
原価低減は製造業であれば、不良品はムダを改善することによって原価を低減する努力ができます。
卸・小売業であれば仕入の価格交渉が必要です。
ちなみに事例の損益計算書から計算すると、
売上高総利益率=売上総利益(1,000) ÷ 売上高(2,000)×100=50.0%
と計算できます。
売上高営業利益率
次は「売上高営業利益率」です。
式は営業利益を売上高で割ることで計算できます。
売上高営業利益率=営業利益 ÷ 売上高×100
売上高営業利益率は、本業による利益率(儲け)を表します。
営業利益は、売上総利益から販売費及び一般管理費を引いたものです。
もし売上高総利益率は問題ないが売上高営業利益率が低いという場合は、販管費が大きいということになります。
販売する人員が多いわりに売上が出せていない、広告宣伝費を多く使いすぎているといった分析ができます。
販売費及び一般管理費が多すぎないかどうかは、「売上高販管費率」で計算できます。
売上高販管費率=販売費及び一般管理費 ÷ 売上高×100
販売費及び一般管理費は業種等によって異なります。
よって高いかどうかを判断する場合、業界の標準を調べてみてください。
事例の損益計算書で計算すると以下の通りです。
売上高営業利益率=営業利益(220) ÷ 売上高(2,000)×100=11.0%
売上高販管費率=販売費及び一般管理費(780) ÷ 売上高(2,000)×100=39.0%
売上高経常利益率
その次は「売上高経常利益率」です。
式は経常利益を使用すればよいだけなので簡単ですね(^^)
売上高経常利益率=経常利益 ÷ 売上高×100
売上高経常利益率は、財務活動を含めた経営活動全般による利益率を表します。
経常利益は、営業利益に財務活動による利息の受け払いを含めた利益です。
銀行にお金を預けていれば、金利によってお金が少し増えます。
また株主配当などによっても配当金を得ることがあります。
これらは本業の活動とは別の収入になってきますので「営業外収益」に分類されます。
逆に銀行からお金を借りていると利息の支払が発生します。
発行した社債を償還する場合、利息を支払って帰す必要があります。
また投資目的で株式を購入していた場合、買った時よりも価値が下がっている場合は損失を計上する必要があります。
これらも本業とは別の活動なので「営業外費用」に分類されます。
もし売上高営業利益率が十分でも売上高経常利益率がかなり低くなっていると、支払利息などの金融費用が大きいということです。
事例の損益計算書の数値を使用すると、次のように計算されます。
売上高経常利益率=経常利益(170) ÷ 売上高(2,000)×100=8.5%
売上高当期純利益率
最後に「売上高当期純利益率」があります。式は、
売上高当期純利益率=当期純利益 ÷ 売上高×100
売上高当期純利益率は、特別損失や特別利益と税金の支払いを終えた最終的な利益率を表します。
例えば、事業のリストラを行い、設備を売却した結果、固定資産売却損などの特別損失が発生した場合は、売上高当期純利益率が低くなります。
事例を参考に計算してみます。
税引前当期純利益も計算しておきます。
売上高当期純利益率=当期純利益(200) ÷ 売上高(2,000)×100=10.0%
売上高税引前当期純利益率=税引前当期純利益(120) ÷ 売上高(2,000)×100=6.0%
このように売上高利益率は大きく分けると5つあり、それぞれ低い場合の対策が異なります。
利益が出ていない場合、分解して分析することによって、自社のどの部分が利益を生んでいない原因であるかがわかります。
比較する場合は一般指標と
例えば「TKC経営指標(要約版)」には、業界ごとの平均数値を見ることができます。
参考にしてみてください!