財務・会計

決算手続の流れ|決算整理仕訳その1(財務・会計)

投稿日:2021年2月2日 更新日:

こんにちは!中小企業診断士のカズユキです。

今回も前回に続き決算までの流れについて解説します。

1.決算整理前試算表の作成についてはこちらからどうぞ!

決算手続きの流れ

期中の取引に関しては、その都度仕訳を行い総勘定元帳に転記します。

そして期末になると財務諸表を作成するために、決算手続きを行います。

具体的な決算手続きの流れは5つです。

  1. 決算整理前試算表の作成
  2. 決算整理仕訳
  3. 決算整理後試算表の作成
  4. 帳簿の締切り
  5. 貸借対照表・損益計算書の作成

今回は「2.決算整理仕訳」について解説します。

決算整理仕訳

実は期中で行っていた仕訳と総勘定元帳への転記を集計したものを合計しても財務諸表を作成できません。

そこから正確な財務諸表に仕上げていくために修正をする必要があります。

それが「決算整理仕訳」です。

決算整理が必要な項目のことを「決算整理項目」といいます。

代表的なものは以下の通りです。

  • 経過勘定の処理
  • 棚卸資産の処理(売上原価の計算)
  • 貸倒引当金の設定
  • 有価証券の評価替え
  • 固定資産の減価償却
  • 負債性引当金の設定
  • 現金過不足の処理

かなり多いですね(^^;)

今回はその中で、

  • 経過勘定の処理
  • 棚卸資産の処理(売上原価の計算)

について解説していきます。

 

経過勘定の処理

経過勘定とは「当期に受け取っている収益や費用のうちに、期をまたぐものを「当期分」と「次期分」に調整する勘定」です。

会計では、実際の支払のタイミングと費用を計上するタイミングが異なる場合があります。

収益に関しても同じく、入金のタイミングと収益を計上するタイミングが異なる場合があります。

このようなタイミングのずれを解消し、当期の費用と収益の額を正しく調整するための勘定を経過勘定といいます。

 

この経過勘定の中で「権利」を保有している状態の時に、資産として計上します。

また義務が発生している状態では「負債」として計上します。

 

期をまたぐ会計があると、当期の収益と費用を表すことができません。

それを当期分と次期分に分けて考えることが経過勘定です。

 

経過勘定は4つあります。

  • 前払費用
  • 未収収益
  • 前受収益
  • 未払費用

これらを具体例で示して解説します。

会計年度は4月を期首として翌年3月を期末とします。

前払費用

前払費用とは「次期分の費用を前もって当期に払っている状態」です。

10月1日に1年分の家賃を120支払ったとします。

その時に仕分けは

借方 貸方
 支払家賃 120 当座預金 120

現金で支払った場合も「当座預金」で記載します。

ここで支払った家賃のうち、当期の家賃は3月末の6か月間です。

残りの家賃は来期分なので、次期の費用として扱う必要があります。

図で表すとこんな感じです。

 

 

当期に時期の費用を前払いしていますので、決算整理で仕訳します。

借方 貸方
 前払家賃 60 支払家賃 60

支払家賃のうち6か月分は次期の家賃なので、支払家賃を減らして代わりに前払家賃に変えます。

前払家賃は、前もって支払うことで使用できる権利が発生しています。よって「資産」です。

資産の増加は借方(左側)に記入します。

支払家賃は「費用」です。

前払家賃に勘定科目を変えるので、この費用を減少させます。

費用の減少は貸方(右側)に記入します。

 

これを「費用の繰延」と呼びます。

また、「前払費用」は貸借対照表の流動資産として計上します。

未収収益

未収収益とは「当期に回収できていない収益のこと」です。

例えば10月1日に貸し付けを行って、1年後に利息120を受け取る予定の場合が考えられます。

この場合当期末の3月には利息は受け取りません。

 

しかし6か月分の60は当期分と考えられます。

この場合未収収益という勘定科目で60を資産計上します。

収益をもらえる権利があるので「資産」です。

これを決算整理で仕訳すると、

借方 貸方
 未収収益 60 受取利息 60

貸方には受取利息を計上します。

未収収益を計上する理由は「受取手形」です。

借方と貸方の合計金額を一致させておきます。

。これを、「収益の見越」と呼びます。

「未収収益」は貸借対照表の流動資産に計上します。

 

前受収益

前受収益は「前もって次期の収益を受け取ること」です。

例えば10月1日に貸していた店舗の家賃1年分である120を受け取った場合です。

まずはこの状態の仕訳をします。

借方 貸方
 当座預金 120 受取家賃 120

現金が増加して資産勘定の「当座預金」が増加しました。

また収益である「受取家賃」が増加したので、貸方(右側)に記入します。

 

この中には次期の収益である60が含まれています。

これを決算整理で仕訳します。

借方 貸方
 受取家賃 60 前受家賃 60

この処理を行うことで受取家賃を60減少させます。

収益を減少させているので「受取家賃」を借方(左側)に書いています。

それを負債である前受家賃に増加させています。

前受家賃はお金を受け取っているので部屋を貸す「義務」が発生しています。

負債の増加は貸方(右側)です。

これを、「収益の繰延」といい、「前受家賃」は貸借対照表の流動負債に計上します。

 

未払費用

未払費用は「当期に発生している支払いがまだ終わっていない状態」です。

例えば、10月1日に借入を行って、1年後に利息を支払う場合です。

この場合3月の決算時には利息を支払うことはありません。

しかし10月から翌年3月までの6か月分の利息は当期で発生している費用です。

この場合の仕訳は以下の通りです。

借方 貸方
 支払利息 60 未払利息 60

また、このようにして繰り越された経過勘定がある場合は、次期の期首で再振替仕訳を行い、次期の収益や費用として計上します。

再振替仕訳とは、決算仕訳の貸借を逆にした仕訳をするものです。

 

棚卸資産の処理(売上原価の計算)

原価計算

損益計算書の売上原価は「販売された商品についての原価を集計したもの」です。

つまり売れなかった商品は売上原価に含みません。

ですので、売上原価の計算は

期首商品棚卸高+当期商品仕入高-期末商品棚卸高

例えば

  • 期首商品棚卸高 100
  • 当期商品仕入高 500
  • 期末商品棚卸高 200

の場合は

100+500-200=400

となります。

最初は図を書いてみるとわかりやすいです。

 

期末商品棚卸高の算出方法

売上原価を算出するには「期末商品棚卸高」を求める必要があります。

求めるときに必要なのは

  • 商品の数量
  • 商品の単価

です。

先ほどの期末商品棚卸高も厳密に言うと「商品の数量×単価」を行って算出しています。

これをどのように算出するかは、いろんな方法があります。

数量の算出方法

商品の数量を算出するには

  • 期末帳簿数量
  • 実地棚卸数量

「期末帳簿数量」とは、帳簿上の数量です。

「実地棚卸数量」とは、商品倉庫などで実際の商品の残数をカウントすることで把握した数量です。

 

単価の算出

「単価」は、商品を仕入れた時の仕入単価が該当します。

しかし期中に何回か仕入れているので、仕入単価が異なることがあります。

ですので、期末商品の単価を計算で産出する必要があります。

 

この単価の決定方法には、

  • 先入先出法
  • 後入先出法
  • 移動平均法
  • 総平均法

などがあります。

問題分ではどの方法で産出するか指定されます。

一度聞いたらだいたいは覚えることができますよ(^^)

 

先入れ先出し法

先入先出法は、「先に仕入れた商品から順番に販売されたとみなして、単価を決定する方法」です。

期中で販売される商品は古い商品から出していきます。

よって期末の在庫は最も新しい、つまり最後の方に仕入れた商品で構成されます。

この場合期末商品の単価は、新しく仕入れた商品の単価です。

 

これは具体例を挙げたほうがわかりやすいです。

4月の1か月間で月末棚卸高を算出してみます。

上の図で実際に計算してみます。

月末在庫は150です。

先入れ先出し法では古い商品から出荷しますので、残った商品の原価は1月20日に仕入れた「90」が該当します。

よって月末商品棚卸高は、

150×\90=\13,500

と計算できます。

 

後入れ先出し法

後入先出法は、「後に仕入れた商品から、販売されたとみなして払い出し単価を決定する方法」です。

この場合は、先ほどの「先入先出法」とは逆に、期末の在庫は最も古い商品から構成されます。

よって、期末商品の単価は、古い商品の単価となります。

 

先ほどの図で計算すると、

残った150の在庫は、

  • 1月1日の繰越商品100
  • 1月10日に仕入れた商品のうち50

これらの合計150となります。

求められる月末商品棚卸高は、

100×\100+50×\95=\14,750

と計算できます。

 

後入れ先出しは商品管理としては、あまり採用されない管理方法です。

問題の設定でもほとんど出ませんが、念のため頭の片隅に知れておいてください。

 

移動平均法

移動平均法とは、「商品を仕入れる都度、在庫全体の平均の単価を計算し、それを次の払い出し単価とする方法」です。

同じ例で紹介すると、

1月1日の時点では単価は\100ですが、1月10日に200を\95で仕入れています。

移動平均法ではこのタイミングで原価をいったん計算します。

  • 在庫の金額は\10,000+\19,000=\29,000
  • 在庫数は100+200=300
  • よって在庫単価は\29,000÷300=\96.67

となります。

めっちゃ複雑(^^;)

 

その後1月15日に150販売して数量が150になります。

そして1月20日にも200を\90で仕入れます。

仕入が発生したタイミングで単価を算出します。

  • 在庫に合った150は単価\96.67ですので\14,501(四捨五入)
  • 仕入れた200は単価が\90なので\18,000

ということは、

(\14,501+\18,000)÷(150+200)=\92.86

これ以上4月は仕入が行われていないので、単価は\92.86、数量が150なので

\92.86×150=\13,929

これが月末在庫棚卸高です。

 

総平均法

総平均法とは、「期末に前期の繰越商品と当期の仕入の合計金額を求め、それを合計数量で割ることで単価を決定する方法」です。

つまり繰越商品と仕入れ商品をまとめて平均したものを原価にする考え方です。

例の取引から算出すると、

  • 金額は\10,000+\19,000+\18,000=\47,000
  • 数量は100+200+200=500
  • よって月末在庫の単価は\47,000÷500=\94

と算出できます。

よって月末在庫棚卸高は

150×\94=\14,100

です。

算出の方法を変えると、原価が少し違いますので注意してください。

 

在庫の評価を考慮に入れる

商品の棚卸を行うときに帳簿上の数量と実地棚卸数量が違うことがあります。

また商品の時価が下がっていることもあります。

これらを考慮に入れないといけません。

帳簿上の数量と単価で計算した後は、

  • 商品の時価を考慮に入れる「商品評価損」
  • 実施棚卸数量を考慮に入れる「棚卸減耗費」

これらを計算します。

在庫の評価には下のボックス図を使うと、見える化できてわかりやすいです。

 

縦軸に「取得原価」と「時価」を入れます。

横軸に「帳簿数量」と「実地棚卸数量」を入れます。

商品評価損

商品の時価が下がっているときは時価で評価して、下がっていないときは取得原価で評価する方法を「低価法」といいます。

低価法を採用した場合は、商品の価値が減少した分を「商品評価損」という費用として処理します。

「商品評価損」は、

(取得原価ー時価)×実地数量

で求めます。

ボックス図の面積として計算できます。

例では

(100-95)×9004,500

商品評価損を損益計算書に計上する際2パターンがあります。

  • 売上原価に加算する
  • 営業外費用で処理する

場合があります。

棚卸減耗費

棚卸を実施して、帳簿上の数量よりも実地数量が減っている場合は、数量が減ることで減少した価値を「棚卸減耗費」という費用勘定で処理します。

「棚卸減耗費」の求め方は

(帳簿数量ー実地数量)×取得原価

で求めることができます。

これもボックス図の面積で求めることができます。

例の数値で計算すると

(1,000-900)×10010,000

です。

 

棚卸減耗費を損益計算書に計上する際は、いろんなパターンがあります。

  • 売上原価に含める
  • 販売費及び一般管理費に含める
  • 営業外費用に含める
  • 特別損失で処理する

場合などがあります。

その判断は「原価性があるかどうか」で判断します。

通常の営業活動で発生するような棚卸減耗は「原価性がある」といいます。

この場合は「売上原価」や「販売費及び一般管理費」として処理します。

一方、災害等で異常に数量が減った場合などは「原価性がない」といいます。

この場合は「営業外費用」や「特別損失」で処理します。

 

三文法の仕訳

「三分法」とは、

  • 商品を仕入れた際には「仕入」勘定
  • 商品を販売した際には「売上」勘定
  • 期末在庫を計上する際には「繰越商品」勘定

で仕訳する方法です。

売上原価を求める際には、

期首商品棚卸高+当期仕入高ー期末商品棚卸高

となっています。

しかし勘定科目が

  • 期首商品棚卸高が「繰越商品」勘定になっている
  • 期末商品棚卸高が「仕入」勘定になっている

この状態を

  • 期首商品棚卸高の「繰越商品」を「仕入」勘定にする
  • 期末商品棚卸高の「仕入」を「繰越商品」勘定にする

これらの調整が必要です。

前期の繰越商品(期首商品棚卸高)を仕入に加算するために

借方 貸方
 仕入 100 繰越商品 100

という処理をします。

もともとあった繰越標品(資産)100を打ち消すために貸方(右側)に書き、仕入に入れ替えるために仕入100と借方(左側)に書きます。

 

また次期の繰越商品(期末商品棚卸高)は「繰越商品」勘定にします。

借方 貸方
 繰越商品 200 仕入 200

仕入勘定のままでは売上原価に入ってしまいますので、仕入200を貸方(右側)に書くことで打ち消して、繰越商品を借方(左側)に書きます。

 

この仕訳を行うと、「仕入」勘定が売上原価を表し、「繰越商品」勘定が期末在庫を表すようになります。

 

決算整理仕訳は代表的なものだけでも、ボリュームが多いので今回はここでいったん終わります。

 

次回のその2では

  • 貸倒引当金の設定
  • 有価証券の評価替え
  • 固定資産の減価償却
  • 負債性引当金の設定
  • 現金過不足の処理

ここまでまとめて解説します。

 

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