財務・会計

貸借対照表の概要と資産の部について(財務・会計)

投稿日:2021年1月16日 更新日:

こんにちは!中小企業診断士のカズユキです。

 

今回は貸借対照表について解説します。

一次試験だけでなく二次試験でも登場しますので、基礎をしっかり押さえておくと良いです。

 

貸借対照表とは

貸借対照表とは「ある地点の財政状態を表したもの」です。

例えば3月31日時点において、資金調達は借りたのか自分で用意したのか、その資金で何を買って運用しているかといった感じです。

持ち物チェックといった感じですね(^^)

 

貸借対照表は3つの部があります。

  • 資産の部
  • 負債の部
  • 純資産の部

貸借対照表の右側を「貸方」が資金の調達源泉です。負債の部と純資産の部が該当します。

逆に左側を「借方」といい、資金の運用形態です。資産の部を該当します。

 

左側の「資産の部」の合計金額と、右側の「負債の部」「純資産の部」を合計した金額は必ず等しくなります。

貸借対照表は、英語では「Balance Sheet」(バランスシート)といいます。

略して「B/S」といい、調達と運用がバランスしていることを表しています。

 

資産の部

資産の部は「資金の運用」です。

企業は利益を生み出すために、調達した資金をさまざまな形で運用します。

例えば製造業では、製品を製造する機械や装置、材料を購入します。

 

資産の種類にはお金に変わりやすい「流動資産」と1回買うと長期的に使う「固定資産」、その他「繰延資産」に分類されます。

特に「流動資産」「固定資産」は大事です。

どのようなものが分類されるか解説します。

流動資産

流動資産は「比較的短期に現金化できる資産のこと」です。

一般的には企業が通常業務のサイクルで回るお金が中心です。

流動資産に該当する代表的な項目は、

  • 現金預金
  • 受取手形
  • 売掛金
  • 貸倒引当金(売上債権から控除する)
  • 有価証券
  • 棚卸資産
  • 短期貸付金

といった感じです。

では説明していきます。

現金預金

現金預金は名前の通り「企業が所有している現金・預金のこと」です。

現金には効果・紙幣だけでなく、小切手なども含まれます。

預金は「普通預金や当座預金」といった表現をします。

これらを合わせたものが現金預金です。

 

受取手形

受取手形は「商品を販売した後に、代金の代わりとして手形を受け取っている総額」です。

企業間の取引は消費者の取引と違い、支払いが後払いになっているケースがほとんどです。

手形というのは「将来の特定の日に代金の支払いを約束した有価証券のこと」です。

 

支払いをする企業からすると、商品・サービスを受けたときに現金がなくても手形を発行することで支払いを遅らせることができます。

例えば90日後に支払うことを約束するような感じです。

 

逆に商品・サービスを提供した企業は特定の日に手形を現金化することができます。

 

売掛金

売掛金は「商品・サービスを提供した後に、支払いが終わっていないもので、受取手形の額を除いたもの」です。

ちなみに先ほどの「受取手形」と「売掛金」を合計して「売上債権」といいます。

 

受取手形のところでも言いましたが、企業間の取引は商品・サービスを先に提供して支払いは後払いになっていることがほとんどです。

こういった取引のことを「掛取引」といいます。

 

先に商品・サービスを提供するということは、信頼して取引しているということです。

企業と消費者の取引では考えにくい感覚ですね(^^)

踏み倒されたらどうするのかって感じです。

実際にそういったケースがあります。

信用して取引していた会社が倒産したり、連絡がつながらなかったりして代金の回収ができないことがあります。

現金の回収ができなくなった場合は「貸し倒れ」になってしまいます。

商品は渡したのに支払ってもらえないって大損ですね。

企業は何とか現金を回収するか商品取り返すかした損失を最小限に抑えようと努力します。

 

企業をこうしたリスクに備えています。

それが次の「貸倒引当金」です。

資産の部ではこの状態になるかもしれないということを想定して計上してます。

 

貸倒引当金

貸倒引当金は「受取手形や売掛金などの債権が回収不能になること(貸し倒れ)に備えて、あらかじめ貸し倒れ額を見積もって計上したもの」です。

ですので、売上債権(受取手形と売掛金)はマイナス計上します。

貸し倒れが発生した場合は「貸倒引当金」から取り崩します。

リスクに備えて計上する感じですね。

 

有価証券

有価証券とは「会社が保有している株式や債券のこと」です。

有価証券の中には短期と長期があります。

流動資産に計上されるものは短期のものが該当します。

比較的現金化しやすい株式や債券ということです。

 

例に挙げると

  • 売買目的有価証券
  • 満期保有目的有価証券

これらの合計金額となります。

 

売買目的有価証券は名前の通り「市場で売買することで利益を得ようとする目的で保有している有価証券」です。

満期保有目的有価証券は「決算日の翌日から1年以内に満期が到来するもの」です。

その他にも子会社・関連会社の株式を保有する場合の「関連会社株式」もあります。

 

棚卸資産

棚卸資産は「ある地点で企業が保有している、商品・仕掛品・原材料などの在庫の合計金額」です。

ある地点は決算日になることがほとんどです。

小売業では「商品」、製造業では「製品」ということが多いです。

仕掛品は「工場で作りかけている状態のもの」です。

 

在庫は会社によって表記が違いますが、売掛金や有価証券の下あたりに計上されています。

 

短期貸付金

短期貸付金は「他の企業に貸し付けている資金のうち、決算日の翌日から1年以内に回収予定になっているもの」が該当します。

実務で決算書を見ることがありますが、頻繁に見る項目ではありません。

 

その他流動資産

その他の流動資産として計上されるのは「経過勘定」と呼ばれるものです。

経過勘定とは「当期に受け取っている収益や費用のうちに、期をまたぐものを「当期分」と「次期分」に調整する勘定」です。

この経過勘定の中で「権利」を保有している状態の時に、資産として計上します。

ちょっとわかりにくいですね(^^)

 

例えば店舗の家賃を1年分一気に払った時に、来期の6か月分も含まれているような場合です。

この場合当期に払った「来期分の6か月分家賃は」経過勘定として計上されます。

これを「前払費用」といいます。

前払費用は先にお金を払っているので商品を受け取ったり、店舗を借りたりする権利を保有することになります。

ですので前払費用は「資産」に計上します。

 

また継続してサービスを提供するような企業では代金を後で受け取るよう買こともあります。

例えば不動産を継続的に貸し付けている場合で、家賃を後で受け取るようなパターンです

これを「未収収益」と言います。

この場合、決算日地点で代金を受け取っていない場合、代金を受け取る権利を保有していることになります。

ですので未収収益は「資産」に計上します。

 

固定資産

固定資産とは「企業が長期的に保有する資産のこと」です。

流動資産との棲み分けは「1年以内に現金化するかどうか」となってきます。

つまり固定資産とは「1年以内に現金化しない資産」と言えます。

固定資産の項目は

  • 有形固定資産
  • 無形固定資産
  • 投資その他資産

といったものがあります。

 

有形固定資産

有形固定資産は「建物や土地などの物理的な資産」が該当します。

具体的な項目としては

  • 建物
  • 機械装置
  • 車両運搬具
  • 土地

といったものがあります。

建物は事業の活動に使っている社屋や店舗、倉庫などの合計金額が計上されます。。

機械装置は製造に使っている機械(旋盤、プレス機)といったものの合計が計上されます。

車両運搬具は事業活動で使っている自動車などの合計金額が計上されます。

土地についても事業活動で使用している土地の取得金額の合計が計上されています。

 

建物と機械装置、車両運搬具は使っていくとだんだんと傷んできます。

ということは月日がたつにつれて価値がなくなっていくということです。

この価値の減少することを「減価償却」といいます。

そして減価償却を金額で表したものを「減価償却費」という形で計上します。

形状の仕方は主に2パターンあります。

例には減価償却累計額という形で表示しています。

これは固定資産は取得した当時の価格で表示して、価値の減少分を減価償却累計額に計上する方法です。

取得当時の価値とどれだけ価値が減ったのかがわかるようになっています。

 

ちなみに土地は使用しても価値が減少しませんので、減価償却は行いません。

 

ちなみにもう一つ価値の減少がしない項目として「建設仮勘定」があります。

これは「作りかけの建物に対して支払われた手付金の金額」が計上されます。

支払っている金額は、建物を立ててもらえる権利を有していると解釈できるので「資産」に計上されます。

完成すれば勘定科目が建物になります。

 

無形固定資産

無形固定資産は名前の通り「形がない資産のこと」です。

具体的には

  • 知的財産権
  • のれん
  • ソフトウェア

のような権利に関することが計上されています。

 

知的財産権は「特許権、実用新案権、意匠権、商標権」といったものが該当します。

権利にかかった費用を計上して、その後減価償却されていきます。

 

のれんという概念がわかりにくいのですが、「企業の買収・合併などで発生する無形固定資産のこと」です。

企業買収の際にその企業の純資産以上に買収金額がかかることが多いです。

それはその企業の計上されていない資産である「ブランド」や「ノウハウ」を買っていると解釈できます。

買収金額ー純資産額=のれんとして「無形資産」に資産計上します。

 

ソフトウェアは会計ソフトや生産管理システムといったシステムを購入した費用を計上する感じです。

ソフトウェアも減価償却します。

 

投資その他資産

投資その他資産に該当するのは、

  • 投資有価証券
  • 関連会社株式
  • 長期貸付金

投資有価証券と関連会社株式は、流動資産の「有価証券」にも勘定科目として計上されています。

違いは1年を超えるような長期的に保有するものが固定資産に分類されます。

 

長期貸付金についても回収が決算日から1年を超える貸付金の合計となってきます。

 

繰延資産

繰延資産とは「支払いの効果が複数年にわたって期待されるので、一度に費用化せずに一時的に資産計上するもの」です。

繰延資産に該当するのものしては5つあります。

  • 株式交付費
  • 社債発行費
  • 創立費
  • 開業費
  • 開発費

「株式交付費」は株式募集のためにかかる費用、「社債発行費」は社債発行にかかる費用です。

「創立費」は会社を創立するのにかかる費用のことです。具体的には「定款やその他規則の作成や株主総会開催にかかる費用のことです。

「開業費」は会社設立後営業開始までにかかった費用のことです。具体的には、建物の賃借料や使用した人の給与が該当します。

「開発費」は、新技術の開発や新市場開拓にかかった費用が該当します。

 

最後に

今回は貸借対照表の概要と資産の部にどのような項目があるか解説しました。

けっこういろんな勘定科目があってややこしそうですが、だんだんと慣れてきます。

 

診断士の試験や実務においては細かいところまで覚えなくても大丈夫です(^^)

私の実務では経営分析を行うときに貸借対照表を使うぐらいです。

とりあえずは「この勘定科目はこういう意味なんだな」ぐらいで結構です。

深く理解しようとすると時間がかかってしまいます。

診断士試験は範囲が広いのであまり立ち止まらずに、次々勉強したほうが良いです。

 

次回は貸借対照表の右側である「負債の部」や「純資産の部」を解説します。

今回も最後まで読んでいただき誠にありがとうございます!

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