財務・会計

投資活動によるキャッシュフローの計算(財務・会計)

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こんにちは!中小企業診断士のカズユキです。

今回は投資活動によるキャッシュフローの解説をしていきます。

前回は営業活動によるキャッシュフローを解説しました。

キャッシュフローの概要についてはこちらからどうぞ

 

試験重要度 ★★★★★

キャッシュフローは一次試験の財務・会計や二次試験の事例Ⅳにおいても頻繁に出題されます。

キャッシュフロー計算書は複雑ですが、手順は決まっています。

ですので、まずは解説で手順を学んだら問題を解いてみて下さい。

一次試験の問題であれば、それほど難しくはありません。

 

投資活動によるキャッシュフローとは?

投資活動によるキャッシュフローは、

  • 有価証券(投資有価証券)
  • 有形固定資産
  • 貸付金

があります。

 

投資活動の主な例としては、有価証券や有形固定資産の取得や売却、子会社などへの貸付や回収によるものがあります。

投資活動では、

  • 「取得」キャッシュがマイナス
  • 「売却」キャッシュがプラス
  • 「貸付」キャッシュがマイナス
  • 「回収」キャッシュがプラス

といったことを分けて考えると良いです。

 

有価証券(投資有価証券)

有価証券では、

  • 取得による支出
  • 売却による収入

を分けて記載します。

 

実際にキャッシュフローを計算するときに参考にするのは、

  • 前期と当期の貸借対照表「有価証券」の増減
  • 損益計算書の有価証券売却損・売却益

に注目します。

 

取得による支出

具体例を示しながら解説していきます。

前期・貸借対照表 今期・貸借対照表
有価証券 0 有価証券 100
今期は有形固定資産の売却はない

有価証券の額が前期の0から当期は100になっています。

売却がなかったので、有価証券を取得しています。

この場合の仕訳は、

借方 貸方
有価証券 100 現金 100

になります。

有価証券という「資産」が増えたので、借方に記載しています。

現金という「資産」が減ったので、貸方に記載しています。

 

よって有価証券取得に使った現金の分だけお金が出ていっています。

つまり100だけ現金を出勤したということをキャッシュフロー計算書に記載します。

 

売却による収入(売却損の場合)

売却に関しては「売却損」「売却益」の2パターンあります。

 

まず売却損のパターンを紹介するために、具体例を簡単に示します。

前期・貸借対照表 今期・貸借対照表
有価証券 100 有価証券 0
今期は有価証券の取得はない

 

今期・損益計算書
有価証券売却損 20

 

前期の有価証券100はです。

当期取得はないので0です。

期末残高は0です。

ということは有価証券を売却しています。

しかし売却損の20があります。

 

売却の仕訳は以下の通りです。

借方 貸方
現金 80 有価証券 100
有価証券売却損 20

資産である現金が増加するので、借方に記載しています。

逆に有価証券という資産を手放すので、貸方に記載しています。

売却損は「営業外費用」です。

費用の増加は「借方」に記載します。

 

取得した時は100でしたが、売却損20があります。

これらの計算すると、実際の売却額は80です。

この場合、有価証券の売却で得られたお金80をキャッシュフロー計算書に記載します。

 

 

売却による収入(売却益の場合)

次は売却益が出た場合です。

具体例を示します。

前期・貸借対照表 今期・貸借対照表
有価証券 100 有価証券 0
今期は有価証券の取得はない

 

今期・損益計算書
有価証券売却益 20

前期の有価証券は100です。

当期取得はないので0です。

期末残高は0です。

ということは有価証券を売却しています。

そこに売却益の20が入ってきます。

 

 

得になったパターンは

借方 貸方
現金 120 有価証券 100
有価証券売却益 20

 

売却益は「営業外収益」です。

収益の増加は「貸方」に記録します。

 

取得した時は100でしたが、売却益が20あります。

つまり実際にお金として入ってきたのは「120」です。

この120を投資活動によるキャッシュフローに記載します。

 

ポイントは「貸借対照表の前期と今期で動きがあるかどうか」です。

動きがあれば当然残高が異なります。

過去問ではこうした補足に「取得がない」といった説明が入っています。

貸借対照表や損益計算書だけでなく、補足事項にも注目してください。

 

有形固定資産

有形固定資産についても動きがあれば投資活動によるキャッシュフローに計上します。

お金が動くのは2パターンです。

  • 取得による支出
  • 売却による収入

所得すればお金が出ていき、売却すればお金が入ってきます。

基本的には有価証券と似ています。

 

しかし有価証券と違い、固定資産はだんだんと価値が下がっていきます。

これが減価償却と言われるものです。

これを考慮して計算しないと間違えます。

私も散々間違えてきました(^^;)

 

また減価償却の計上方法も「直接法」と「間接法」で処理が違います。

減価償却の説明と、直接法と間接法については以前のブログで解説しています。

決算手続の流れ|決算整理仕訳その2(財務・会計)

実際にキャッシュフローを計算するときに参考にするのは、

  • 前期・当期の貸借対照表「有形固定資産」の増減
  • 損益計算書「有形固定資産売却損・売却益」
  • 損益計算書「減価償却費」

に注目します。

 

取得による支出(直接法・間接法共通)

まず有形固定資産取得による支出に関しては、

前期・貸借対照表 今期・貸借対照表
有形固定資産 0 有形固定資産 100
今期は有形固定資産の売却はない

有形固定資産の額が前期の0から当期は100になっています。

売却がなかったので、有形固定資産を取得しています。

この場合の仕訳は、

借方 貸方
有形固定資産 100 現金 100

になります。

有形固定資産という「資産」が増えたので、借方に記載しています。

現金という「資産」が減ったので、貸方に記載しています。

 

よって有形固定資産取得に使った現金の分だけお金が出ていっています。

この場合100が有形固定資産の取得で支出していることを投資活動によるキャッシュフローに記載します。

 

所得の場合は減価償却費の「直接法」「間接法」は関係がありませんので共通です。

 

売却による収入(売却損の場合)|直接法

まず直接法による売却の仕訳です。

売却損のパターンを紹介するために、具体例を簡単に示します。

前期・貸借対照表 今期・貸借対照表
有形固定資産 100 有形固定資産 0
今期は有形固定資産の取得はない

 

今期・損益計算書
減価償却費 10
有形固定資産売却損 20

前期の有形固定資産は100です。

当期取得はないので0です。

当期の有形固定資産は0です。

ということは有形固定資産を売却しています。

損益計算書には減価償却費10と売却損の20があります。

 

損が出ているパターンは

借方 貸方
現金 70 有形固定資産 100
有形固定資産売却損 20
減価償却費 10

有形固定資産という試算を手放すので、貸方100を記載しています。

有形固定資産は時間とともに価値が減っていきます。

売却した有形固定資産の減価償却費が10でした。

また売却損は20でした。

減価償却費と売却損は「費用」です。

費用の増加は「借方」です。

 

有形固定資産から減価償却費と売却損を引いた額が、実際に入ってきたお金です。

「借方」と「貸方」は一致します。

これらのことにより、有形固定資産の売却として70が入ってきたことを投資活動によるキャッシュフローに計上します。

 

ちなみに有形固定資産を期中に売却した時は、期首から売却時までの減価償却費を月割計上します(1か月未満の端数は切上)

 

売却による収入(売却益の場合)|直接法

今度は売却益が出た場合の具体例を挙げます。

前期・貸借対照表 今期・貸借対照表
有形固定資産 100 有形固定資産 0
今期は有形固定資産の取得はない

 

今期・損益計算書
減価償却費 10
有形固定資産売却益 20

前期の有形固定資産は100です。

当期取得はないので0です。

当期の有形固定資産は0です。

ということは有形固定資産を売却しています。

損益計算書には減価償却費10と売却益の20があります。

 

得になったパターンは

借方 貸方
現金 110 有形固定資産 100
減価償却費 10 有形固定資産売却益 20

有形固定資産は時間とともに価値が減っていきます。

売却した有形固定資産の当期の減価償却費が10でした。

また売却益が20あります。

減価償却費は「費用」です。

費用の増加は「借方」です。

売却益は「営業外収益」なので「収益」です。

収益の増加は「貸方」です。

 

有形固定資産と売却益を足して、減価償却費を引いたものが、実際に入ってきたお金の合計です。

「借方」と「貸方」は一致します。

これらのことにより、有形固定資産の売却として110が入ってきたことを投資活動によるキャッシュフローに計上します。

 

売却による収入(売却損の場合)|間接法

今度は間接法による売却の仕訳です。

まずは具体例については示します。

前期・貸借対照表 今期・貸借対照表
有形固定資産 100 有形固定資産 0
減価償却費累計額 ▲5
今期は有形固定資産の取得はない

 

今期・損益計算書
減価償却費 5
有形固定資産売却損 20

前期の有形固定資産は100です。

厳密に言うと価値は減価償却累計額の▲5を引いた「95」です。

当期取得はないので0です。

当期の有形固定資産は0です。

ということは有形固定資産を売却しています。

損益計算書には減価償却費5と売却損の20があります。

 

損が出ているパターンは

借方 貸方
現金 70 有形固定資産 100
減価償却累計額 5
減価償却費 5
有形固定資産売却損 20

有形固定資産という試算を手放すので、貸方に100を記載しています。

減価償却累計額は負債です。

いつも貸借対照表の借方に記載されているのでわかりにくいですね(^^;)

負債なので借方に「マイナス」表記となっています。

有形固定資産を手放すときに、減価償却累計額5もなくなります。

負債の減少は借方に記載します。

 

そして有形固定資産は時間とともに価値が減っていきます。

売却した有形固定資産の当期の減価償却費が5でした。

また売却損は20でした。

減価償却費と売却損は「費用」です。

費用の増加は「借方」に記載します。

 

有形固定資産から減価償却累計額と減価償却費と売却損を引いた額が、実際に入ってきたお金です。

「借方」と「貸方」は一致します。

これらのことにより、有形固定資産の売却として70が入ってきたことを投資活動によるキャッシュフローに計上します。

 

 

売却による収入(売却益の場合)|間接法

今度は売却益が出た場合の具体例を挙げます。

 

前期・貸借対照表 今期・貸借対照表
有形固定資産 100 有形固定資産 0
減価償却費累計額 ▲5
今期は有形固定資産の取得はない

 

今期・損益計算書
減価償却費 5
有形固定資産売却損 20

 

前期の有形固定資産は100です。

厳密に言うと価値は減価償却累計額の▲5を引いた「95」です。

当期取得はないので0です。

当期の有形固定資産は0です。

ということは有形固定資産を売却しています。

損益計算書には減価償却費5と売却益の20があります。

 

得になったパターンは

借方 貸方
現金 110 有形固定資産 100
減価償却累計額 5
減価償却費 5 有形固定売却益 20

有形固定資産は時間とともに価値が減っていきます。

売却した有形固定資産の当期の減価償却費が5でした。

また売却益が20あります。

減価償却費は「費用」です。

費用の増加は「借方」です。

売却益は「営業外収益」なので「収益」です。

収益の増加は「貸方」です。

 

有形固定資産と売却益を足して、減価償却累計額と減価償却費を引いたものが、実際に入ってきたお金の合計です。

「借方」と「貸方」は一致します。

これらのことにより、有形固定資産の売却として110が入ってきたことを投資活動によるキャッシュフローに計上します。

 

直接法・間接法を見分けるには「減価償却累計額」があるかどうかです。

  • 直接固定資産から価値を減らしているのが「直接法」
  • 減価償却累計額で価値の減少を計上しているのが「間接法」

といった感じです。

特に2次試験では複雑な問題が出題されるので、練習しておくことをおすすめします。

 

 

貸付金

最後に付金について解説していきます。

貸付金では

  • 資金の貸付による支出
  • 貸付金の回収による収入

があります。

問題を解くときに注目してほしい場所は、

  • 前期と当期の貸付金の額
  • 新規の貸付をしたかどうか

です。

具体例で見ていきます。

資金の貸付による支出

資金の貸し付けがあった場合はどうなっているでしょうか?

貸借対照表を抜粋して示します。

前期・貸借対照表 今期・貸借対照表
貸付金 250 貸付金 450
今期は貸付金の回収はない

前期と今期で貸付金の額が違います。

ここから貸付金に何か動きがあったことがわかります。

そして貸付金の回収がないことが示されています。

これらをボックス図に当てはめると見える化できます。

 

貸付金は

期首残高(貸借対照表の前期貸付金)+当期貸付=当期回収+期末残高(貸借対照表の当期貸付金)

が成り立ちます。

これらのことから新規の貸付200があったことが計算できます。

これを投資活動によるキャッシュフローに計上します。

 

貸付金の回収による収入

今度は資金の回収があった場合を具体例を用いて示します。

まず貸借対照表の貸付金を抜粋します。

前期・貸借対照表 今期・貸借対照表
貸付金 250 貸付金 50
今期は新規の貸付はない

補足には「新規の貸付はない」と示されています。

ということは資金を回収していると判断できます。

ボックス図に当てはめると見える化できます。

 

先ほどと同様に計算すると、200回収したことがわかります。

これを投資活動によるキャッシュフローに計上します。

 

具体例の計算

最後に営業活動によるキャッシュフローで使用した具体例はどうなっているか確認しておきます。

 

 

貸借対照表には有価証券がありません。

よって有価証券の取得や売却はありません。

 

次に有形固定資産ですが、第X1期が650で第X2期が950です。

有形固定資産を取得してそうですね(^^)

④には有形固定資産の売却はないと書いています。

減価償却費は100です。

前期の有形固定資産の価値は650から100を引いて550になっています。

 

もし間接法なら「減価償却累計額」があります。

貸借対照表の有形固定資産すぐ下に「減価償却累計額▲10」といった感じで記載があります。

この財務諸表では見当たりませんので、直接法と判断できます。

ですので減価償却累計額はありません。

 

以上のことから

当期有形固定資産ー(前期有形固定資産ー減価償却費)

950-(650-100)=400

となります。

つまり400の有形固定資産を取得しています。

これを投資活動によるキャッシュフローに計上します。

 

最後に貸付金を確認します。

資産の部に「長期貸付金」がありました。

その他資料の③から、今期の新規貸付けがないことがわかります。

ということは資金の回収があったっぽいです。

 

情報をまとめると、

  • 期首残高は貸借対照表の第 X1期末の残高の 250
  • 当期貸付は 0 です
  • 期末残高は貸借対照表の第 X2 期末の残高の 150

ボックス図にあてはめてみます。

よって、当期の回収は 100 となります。

 

ここまでが、投資活動によるキャッシュ・フローです。

これらの項目を合計して、投資活動によるキャッシュ・フローの合計額を計算します。

 

具体例を見ると、投資キャッシュ・フローは▲300 になっています。

マイナスですので、投資活動をしたということです。

 

投資キャッシュ・フローの内訳を分析すると

  • 有形固定資産に 400 投資し
  • 長期貸付金のうち 100 を回収した

ということがわかります。

補足として、営業キャッシュ・フローと投資キャッシュ・フローを合計したものを、フリーキャッシュ・フローと呼びます、

フリーキャッシュ・フローは企業の本来の事業活動によって生み出されるキャッシュです。

これらはファイナンスでまた登場します。

現時点ではそんなのがあるのかって感じで覚えておいてください。

 

最後に

今回は投資活動によるキャッシュフローを解説しました。

本業である「営業」と営業を支える「投資」によって事業活動を行っています。

しかしこの資金はどこから調達するのでしょうか?

資金がなければ事業活動はできません。

売上を上げるためにはまず支出が発生します。

 

また儲かったお金を投資家に配当をする必要もあります。

このように、投資家に配当をしたり、資金を調達するのが次回の財務活動によるキャッシュ・フローで登場します。

「営業」「投資」「財務」の3つのキャッシュフローで計算書は完成します。

なるべく早く解説を買うように頑張ります!

 

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