企業経営理論

3つの戦略、価値連鎖、地位別戦略について(企業経営理論)

投稿日:2020年10月22日 更新日:

こんにちは!中小企業診断士のカズユキです。

 

今回は競争優位の戦略について解説します。

具体的にはポーターの3つの基本戦略と価値連鎖(バリューチェーン)、競争地位別の戦略です。

この辺りは中小企業診断士試験ではかなり重要です。

しっかり学習していきましょう!

ここで学べること

ポーターの3つの戦略

  • コストリーダーシップ:安さ勝負
  • 差別化戦略:商品で勝負
  • 集中戦略:特定の場所で勝負

バリューチェーン(価値連鎖)

企業の内部活動でどこで付加価値をつけているか分析する

競争地位別戦略

  • リーダー:業界のトップ
  • チャレンジャー:業界トップを狙っている
  • ニッチャー:特定の場所でトップ
  • フォロワー:リーダーのマネをして、おこぼれをもらう

中小企業診断士試験の重要度

今回の内容を中小企業診断士試験の重要度で表します。

一次試験 ★★★★★

ポーターの3つの戦略はファイブフォースに続いて非常に重要なテーマです。

ファイブフォースの時にも言いましたが、よくよく考えてみれば当たり前のことを言っています(^^)

バリューチェーンの出題頻度は多少落ちますが、考え方として覚えておきましょう。

競争地位別戦略は知識を覚えても、いざ問題を解いてみるとけっこう間違えてしまいました。

過去問で対策しておいてください。

 

二次試験 ★★★★☆

中小企業は経営資源が限られています。

業界全体に大きく展開する戦略は取り辛いです。

よって「差別化集中戦略」を主体に考えます。

これまでの過去問の解答はそこに集約されます。


「ポーターの3つの戦略」は単純

ポーターは競争優位を築くためには3つの方法があると言っています。

それは、

  • コストリーダーシップ戦略
  • 差別化戦略
  • 集中戦略

です。

下記のマトリックスで覚えておけば大丈夫です。

3つの基本戦略マトリクス

 

コストリーダーシップ戦略

コストリーダーシップ戦略は「価格勝負」です。

そして勝負するフィールドは業界全体です。

単にコストを下げるだけなんて芸がないと思いますが、実際に行うためには仕組みが必要です。

低価格を実現するためには低コストを実現させる必要があります。

一般的には大規模な設備を導入して生産効率を上げます。

規模が大きくなるほど「規模の経済性」が発揮できます。

同じ製品を多く作るほうがコストが安くなります。

また「経験曲線効果」も発揮できます。

同じ製品を作り続けることで、慣れてきて生産効率が上がります。

 

他社よりもコストで有利になるにはシェアを高めていく必要があります。

ある程度の生産量がないと単価を下げることができません。

更には製品の魅力を伝えるため広告宣伝費にかなりの投資が必要です。

 

コストリーダーシップ戦略のリスクは、

  • 他社が最新鋭の設備を導入すると優位性が消える
  • コスト低減に一生懸命になっている間に代替商品に取って代わられる

です。

顧客ニーズの変化に気付かずに陳腐化してしまう可能性があります。

 

差別化戦略

差別化戦略は商品の価値を高めて他社よりも魅力的にして勝負します。

集中戦略との違いは「勝負するフィールドの違い」です。

 

ポーターの差別化戦略は「業界全体」に対して勝負を仕掛けます。

ですので、ある程度資本力が必要な戦略です。

 

差別化は製品の機能や品質だけではありません。

デザインやサービス内容、ブランドイメージ・CMの印象などいろんな差別化があります。

 

差別化戦略がうまくいけば、価格を下げなくても商品が売れます。

コストリーダーシップ戦略よりも利益率が高いです。

と言葉では簡単に言えますが、差別化は難しいです。

 

しかも製品をマネされてしまえば差別化は無効化します。

そのためには、もっと顧客ニーズをとらえて製品の機能性や品質を高めていかなくてはいけません。

 

集中戦略

集中戦略は特定のターゲットやフィールドで勝負する方法です。

経営資源が少ない中小企業が取るべき戦略です。

たとえ経営資源が少なくても、特定のフィールドに集中させることができれば大手に負けない品質やサービスを実現することができます。

 

集中戦略は勝負方法が2種類あります。

それが「コスト集中戦略」と「差別化集中戦略」です。

集中戦略のなかに「低価格勝負」か「商品勝負」があります。

 

どこに集中するかはいろんな層別が考えられます。

例えば、「20代の女性に向けた製品」といった年齢に集中することや

「インターネットに販売方法を集中」するなどチャネルを絞ること、

「アメリカ産ステーキに限定した飲食店」といった特定の製品に集中など

いろんな絞り込みが可能です。

 

集中戦略のリスクは、

  • 絞り込みが狭すぎると売上が低すぎて事業化できない
  • 絞り込みが広げすぎると集中戦略ではなくなってしまう

といった感じです。

広げすぎると、大手と勝負しなければなくなります。

また経営資源が分散するので、勝負しても不利になってしまいます。

 

価値連鎖(バリューチェーン)

価値連鎖とは、企業の内部に着目して、どこで付加価値をつければよいか、またどこを省くか検討する分析ツールです。

バリューチェーンとも呼ばれます。

 

価値連鎖(バリューチェーン)の図

先ほどの3つの基本戦略を実行するためには、それぞれの仕事を戦略に沿って実行していきます。

図を見るとわかりますが、いくつかの活動に分かれています。

価値活動を「主活動」と「支援活動」に分けて考えていきます。

「主活動」は

  • 購買物流
  • 製造
  • 出荷物流
  • マーケティング・販売
  • サービス

と言った5つの活動です。

右から左に流れて仕事が進んでいきます。

 

支援活動は、

  • 全体管理(インフラストラクチャー)
  • 人事・労務管理
  • 技術開発
  • 調達活動

の4つです。

これらの活動から生み出された製品・サービスの価格と活動でかかった費用を引いた分が「利益(マージン)」です。

先ほどの3つの戦略に当てはめると、「個性勝負」か「価格勝負」のどちらかの方向性で製品・サービスを開発します。

 

「個性勝負」であれば、価値活動の付加価値を高める必要があります。

「価格勝負」であれば、価値活動にかかるコストを下げる必要があります。

 

例えば、コストリーダーシップ戦略を展開する場合は、

  • 最低限の機能を持った製品にする
  • なるべくコストを抑える
  • 価値を生まない活動は外注する

といった考え方です。

 

また、差別化戦略を展開する場合は、

  • 技術開発にコストをかける
  • 優秀な人材を確保する
  • マーケティング活動に力を入れる

といった考え方になります。

差別化の場合でもコストがかかり過ぎると利益が出なくなりますので、付加価値が少ない物流を簡略化や外注するなど余計なコストがかからないように注意が必要です。

このように価値連鎖の考え方で活動を分解すれば「どこに力を入れて、どこで力を抜くか」を検討することができます。

そして「連鎖」と名前がついている通り、それぞれの活動が連携して全体最適を目指します。

全体最適な仕組みが構築できれば、他社がマネできない競争優位を築くことができます。


競争地位別戦略

「競争地位別戦略」はマーケティング論で有名な「コトラー」が提唱しました。

市場の中で、自社がどの位置がによってとるべき戦略が違うことを4つにわかりやすく示してくれています。

競争地位別戦略の図

 

4つの地位は、

  • リーダー
  • チャレンジャー
  • ニッチャー
  • フォロワー

です。

リーダー

リーダーはその名の通り「業界のトップ」です。

自動車業界で例えると「TOYOTA」です。

リーダーのとる戦略は、

  • フルライン戦略
  • 同質化

です。

リーダー企業は市場が大きくなれば1番おいしい思いをします。

よって豊富な経営資源をもとに品揃え豊富な製品で業界の拡大させようとします。

また、他社が新しい製品・サービスを生み出した時はそれに追随します。

同じ製品で勝負をすれば、経営資源が豊富なリーダー企業が有利だからです。

チャレンジャー

チャレンジャーはリーダーから業界トップを奪おうとしている企業です。

自動車業界では「ホンダ」が該当します。

チャレンジャーかとる戦略は「差別化」です。

リーダー企業に勝つためには、今までにない差別化された製品・サービスを生み出す必要があります。

リーダーが真似できないような製品を生み出して逆転を狙います。

ニッチャー

ニッチャーは特定の市場に特化して独自の地位を築いている企業です。

自動車業界でいうと軽自動車といえば「スズキ」みたいな感じです。

ニッチャーはリーダーが力をあまり入れていない「スキマ」に着目します。

集中的に経営資源を投入して地位を確立します。

小さい山の大将を狙います。

リーダーが市場の大きさから資源を投入するのが非効率と判断すれば、ニッチャーの地位が揺らぐことはありません。

ただし集中戦略のように、

  • 狭過ぎると利益が十分でない
  • 広げるとリーダーと競合する

となりますので、市場の選定が非常に重要です。

フォロワー

フォロワーはリーダー企業をマネして追随している企業です。

基本的にはリーダー企業の製品と似ています。

そうするとブランド力の差があるので単純勝負では難しいです。

そうすると価格面を安くして対抗することになります。

売上が少ないと利益を出すことが難しいです。

単なるフォロワーだけではジリジリ利益が目減りしますので、ニッチャーのように差別化集中戦略をとるかリーダーと協調して生き残るか工夫する必要があります。

まとめ

今回は競争優位の解説でした。

この辺りは中小企業診断士試験で非常に重要です。

試験にも何度も出題されていますので、過去問で訓練して対策しておきましょう。

最後に今回の解説をざっくりまとめました。

ポーターの3つの戦略は

  • コストリーダーシップ戦略:安さ勝負
  • 差別化戦略:商品で勝負
  • 集中戦略:特定の場所で勝負

価値連鎖(バリューチェーン)は、

活動を分解してどこに力を入れて、どこで力を抜くか検討する

競争地位別戦略は、

  • リーダー:業界トップ、フルラインと同質化で拡大路線
  • チャレンジャー:2番手、差別化で業界トップを狙う
  • ニッチャー:ミニリーダー、差別化集中でスキマ狙い
  • フォロワー:追随者、低価格路線

今回も最後まで読んでいただきありがとうございます!

企業経営理論はビジネスで中に立つ考え方やフレームワークがたくさんあります。

こういったことを学んで仕事をすると、一段違った視野で考えることができます。

ここで知識を学んで日常でアウトプットして下さい!


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