企業経営理論

価格決定の戦略(企業経営理論)

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こんにちは!中小企業診断士のカズユキです。

今回は価格設定について、どのように決めていくかを解説します。

中小企業診断士試験では度々出題される分野ですので、しっかり学習していきましょう

理論自体は「そりゃそうだよね」って感じで、サクサク行けると思います。

それほど難しくありませんので、安心して学習してください(^^)

 

価格の設定方法

独学で中小企業診断士合格!経済学・経済政策編


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価格の設定自体は販売する会社が独自の判断で決めることができます。

しかしだからといって適当に決めてしまうと、商品がいくら良くても売れません。

そこでどのような基準で決めることが妥当かを解説します。

価格設定の基本戦略は4つあります。

  • 製品の費用で価格設定
  • 需要で価格設定
  • 競合で価格設定
  • 心理的価格設定

これらの要素は、競合の商品に勝つために考えたほうが良いです。

前回の価格設定の影響要因と似ています。

これらの要素が基本戦略になってきます。

 

製品の費用で価格設定

製品の費用で価格設定とは、作るためかかった費用を考えて価格設定することです。

 

企業が収益を上げるには、自分たちの商品に利益を上乗せして販売します。

じゃあ自分たちの商品って作るのにどれくらいかかっているかを計算しないといけません。

製造業の場合は材料と労務費と言われる人件費、水道光熱費等の経費を合わせた製造原価がこれに該当します。

流通業の場合は出来上がった商品を仕入れて販売するので、商品の仕入原価がこれにあたります。

 

これらにいくらかかっていたかを計算して、それに利益を上乗せしていきます。

 

コストプラス法やマークアップ法とも言います。

 

需要で価格設定

次は需要で価格設定です。

需要の価格設定は、需要が多いときは高くして、少ないときは低くする方法です。

 

例えば、旅行で宿泊するときに、繁忙期や土日が高く設定されているような感じです。

こちらから販促活動をしなくても良い状態であれば、価格を高く設定しておいても売れます。

逆に需要が少ないときは、価格を低くしないと思うように売れてくれません。

平日のみの特典といったキャンペーンも、需要で価格を設定しているような考え方です。

 

競合で価格設定

競合で価格設定は、ライバル企業を意識した方法です。

似ている商品やサービスを出している同士であれば、価格が安い方に流れやすいです。

とは言っても、価格が安くなると利益が取れなくなります。

忙しいのにもうけがほとんどないような「薄利多売」状態は苦しいです。

そのためにも他社がどれくらいの設定をしているか研究して価格をつけます。

この競合を意識した価格設定には主に2つあります。

  • 実勢型価格設定
  • 入札型価格設定

それぞれ解説します。

 

実勢型価格設定

実勢型価格設定は「競合企業が設定している価格に準ずる方法」です。

 

ではどの競合が設定している価格に合わせるのでしょうか?

それは一般的に「リーダー企業」です。

市場ではリーダー企業が設定している価格が基準になっていることが多いです。

それを踏まえて製品の優位性があれば高く設定します

同等レベル以下であれば、低く設定することが多いです。

競争地位別戦略で言うと「フォロワー」の動きです。

3つの戦略、価値連鎖、地位別戦略について(企業経営理論)

できれば差別化してリーダーと違う価値を提供したいところです。

ちなみに実勢型価格設定は「消費者が価格の差に対して、敏感になっている商品」によく使用されます。

 

入札型価格設定

入札型価格設定は「契約が入札で決定される場合の方法」です。

公共事業を扱っている建設業などは入札で仕事を取っています。

入札においては基本的に価格が一番低い企業が仕事を取ることができます。

ですので競合がどのような価格設定をしてくるかを予測して価格を決めなければいけません。

 

心理的価格設定

心理的価格設定は「消費者の心理を突いた価格設定」です。

ここでは3つ紹介します。

  • 名声価格
  • 端数価格
  • 慣習価格

どれも見たことがあるような価格設定です(^^)

 

名声価格

名声価格は、あえて高い価格を設定することで「これって高いから価値あるんじゃない」と思わせる方法です。

「価格高い=品質高い」って感じです(^^)

その手段から「威光価格」と呼ばれることもあります。

 

ハイブランドの商品は、どれも高価格が設定されています。

それによって「やっぱりハイブランドは良いもの」と消費者は思います。

変に安くするよりも高くした方が、価値を感じてもらえます。

逆に安いと「この商品大丈夫か?」と思われて帰って品質を疑われることにもなります。

 

端数価格

端数価格は「990円」や「1,980円」といった「9」とか「8」とか端の数字を使って安く見せる方法です。

 

古典的な方法なので最近の消費者にとっては「こんな方法で安く見せようとしている」って感じだと思います(^^;)

しかし「980円」のようにあえて3桁で止めたほうが、4桁の「1,000円」よりも安く感じてしまいますね(^^)

実際にはほとんど価格は変わりませんが、消費者の心理を突いて安く見せようとしています。

 

慣習価格

慣習価格は「消費者が慣習的に一定の価格のみを受け入れてくれる」ようなものです。

例に挙げると、ペットボトルの飲料水です。

最近は多様化していますが、500mlのペットボトルを自動販売機で購入すると「160円」ぐらいです。

これよりも高い値段設定をすると、売上が急激に落ちます。

それは消費者が「ペットボトルは160円が相場」と慣習的に思っているからです。

 

新製品の価格設定

市場に新製品を投入するときにどのように価格設定を行うか?

大きく分けると2つあります。

  • 高価格設定(スキミング・プライス)
  • 低価格設定(ペネトレーション・プライス)

こんな単純ではないと思いますが、それぞれにはメリット・デメリットがありますので、解説します。

 

高価格設定(スキミング・プライス)

高価格設定は「商品の価格にそれほど過敏でない新しいもの好き(イノベーター)に販売する方法」です。

別名「上澄吸収価格戦略」や「スキミング・プライス」とも言います。

 

利益率が高いので企業にとってはもうかります(^^)

開発等にかけたお金も早く回収できます。

 

しかし高いのでそれに見合う十分な機能がないと売れません。

 

高価格設定成立の条件は「需要の価格弾力性が低い」

高価格設定が成立するには「需要の価格弾力性が低い」ことが条件です。

需要の価格弾力性が低い状態というのは「値段が上がっても販売量に影響が出にくい商品」ということです。

 

ではどんな商品が該当するのでしょうか?

それは、

  • 品質やイメージが高い
  • 代替品が少ない

といったことが挙げられます。

品質が高いことで競合との差別化ができます。簡単にまねすることも難しいでしょう

また代替品がないと、その商品を求めるお客さんが集中します。

これらの条件がそろうことで、高くても求められる状態を作れます。

 

低価格設定(ペネトレーション・プライス)

低価格設定は「最初から安い価格で攻めて市場を独占しようとする戦略」です。

その戦略から「市場浸透価格戦略」や「ペネトレーション・プライス」と言われます。

価格が安いと新しいもの好きのイノベーターだけでなく大衆が関心を持ちます。

大量に販売することができればシェアを独占することができますよね(^^)

 

この戦略の良いところは「販売数が多いと、規模の経済性や経験曲線効果を発揮できる」ということです。

規模の経済性は「大規模になるほどに単品当たりのコストが下がること」です。

経験曲線効果は「慣れてくると生産性が上がってくる」といった感じです。

大量に作ればコストも下がるし、慣れも早いので、競合よりの優位な競争ができます。

 

低価格設定は商品の特性を見極めてから実行

何でも低価格設定にすればよいかというとそうでもありません。

商品の特性を分析しなくてはいけません。

高価格設定で説明しましたが、商品自体が競合がまねできないような素晴らしい商品であれば、安くしなくても売れます。

せっかくの儲かるチャンスを、自分の判断ミスで利益を減らしてしまいます。

 

逆にまねされやすい商品の場合は、スピード感を出してシェアを早く獲得したほうが良いです。

その場合は低価格設定の戦略とマッチします。

こうした商品特性に加えて、以下のような条件があれば低価格設定を検討します。

  • 需要の価格弾力性が高い
  • 規模の経済性と経験曲線効果が発揮できる

需要の価格弾力性が高いということは「価格設定によって販売量に影響が出やすい」ということです。

つまり「安くしたら消費者が買ってくれる」ということです。

 

商品の組み合わせによる価格設定

商品の価格設定は単体だけではありません。

組み合わせ(商品ミックス)によって価格を設定する場合があります。

主には3つあります。

  • 抱き合わせ価格設定
  • 価格ライン戦略(プライスライニング)
  • キャプティブ価格

普段からあなたも触れていることだと思いますので「なんだ、それか」と思いますよ(^^)

 

抱き合わせ価格設定

抱き合わせ価格設定は複数の商品を組み合わせて価格設定をします。

名前から簡単に想像できますね(^^)

靴下などの衣料品でセットになっていることがあります。

飲食店の定食などもセット商品です。

初心者の楽器セットとかもありますね。

 

価格ライン戦略(プライスライニング)

価格ライン戦略(プライスライニング)は価格を区分けして価値を消費者にわかりやすくする戦略です。

比較的安価なメガネ店では3,000円セット、5,000円セット、7,000円セットといった感じで販売していますね。

明確な区分けがされているので3,000円が「松」、5,000円が「竹」、7000円が「梅」って感じで価値がわかりやすいです。

ライニングはLineのingなので「線」ですね。

価値がしっかりわかるので消費者が商品を選択しやすいことがメリットです。

 

キャプティブ価格戦略

キャプティブ価格戦略は「メインの商品を安くして付属品で稼ぐ方法」です。

最近よくある方法です。

スマホアプリゲームなんかはゲームのダウンロード自体は無料ですが、ゲームを有利に進めるためには課金が必要です。

利用者が多くなれば一定層は課金してくれるので、そこで利益を得ることができます。

 

Captiveは「虜」という意味があります。

利用者を商品の虜にしてから利益を回収します。

 

今回のまとめ

今回は価格設定方法について解説しました。

企業は自由に価格を決めることができますが、価格は消費者の関心が高いので、よく考えて設定しないといけません。

今回の内容をまとめると

価格の設定方法は

  • 製品の費用で価格設定
  • 需要で価格設定
  • 競合で価格設定
  • 心理的価格設定

新商品の価格戦略は

  • 高価格設定(スキミング・プライス)
  • 低価格設定(ペネトレーション・プライス)

商品の組み合わせの価格戦略は

  • 抱き合わせ価格設定
  • 価格ライン戦略(プライスライニング)
  • キャプティブ価格

こんな感じですかね(^^)

こうした体系的な考えを持って仕事をすると、価格の設定や見直しの時に役に立ちます。

考えなければならない事項を漏れなく検討することができます。

内容はそれほど難しくないので、一緒にちょっとずつ覚えていきましょう!

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